スバルの新型クロストレックは、先代までスバルXVと呼ばれていた、インプレッサ(新型)をベースにしたクロスオーバーモデルである。エクステリアデザインはインプレッサに対して”アウトドアアクティビリティの相棒”と称するだけあり、SUVテイストを強め、最低地上高もインプレッサの130mmから200mmへと70mm高め、スバル自慢の脱出性能に富むXモード、ヒルディセントコントロールを備える、雪道、悪路にも強い、全高1575mm(シャークフィンアンテナ込み。レス車は1550mm)の本格SUVとも言える1台だ。
FFとAWDが選択可能に
日産の電気自動車「アリア」 が上質感にこだわる大人を魅了する理由
パワーユニットはこのクロストレックでは水平対向2Lエンジン+モーターのe-BOXERと呼ばれるマイルドハイブリッドのみ。ちなみにハードアウェアは先代からのキャリーオーバーで、そのスペックは先代XV、クロストレックともにエンジン145ps/6000rpm、19.2kg-m/4000rpm、モーター13.6ps、6.6kg-mと不変。ただし、エンジンのねじり剛性を高め、制御は全面刷新されている。
駆動方式は先代XVがAWDのみだったのに対して、クロストレックではFFとAWDが選べるようになっている。価格、使用条件による選択、そして燃費的にも嬉しい配慮と言えるだろう。グレードはシンプルで、ベースグレードで17インチタイヤを履くツーリングと、上級かつ設計基準の18インチタイヤを装着するリミテッドの2種類。タイヤはいずれもクルマのキャラクターからオールシーズンタイヤとなる。
リミテッドの18インチタイヤ
ツーリングの17インチタイヤ
今回、一般道、山道、高速道路を含む約50kmの公道で試乗したのは、まずはリミテッドのAWDモデルである。クロストレックに乗り込めば、フル液晶メーター、最大11.6インチの大画面縦型ディスプレイが新型らしさを強調。インパネのソフトパッド面積は減少しているように感じられるのが惜しいが、レヴォーグやアウトバックに準じる最新のスバルのインテリアに満足できた。
フラットかつ文句なしに上質で、体に優しく快適な乗り心地
最初に感動したのは、なんとシートのかけ心地だった。医学的、人体構造に基づいた新たなアプローチによる新フロントシートは、分厚いクッション性もさることながら、上半身、腰回りを包み込む自然で心地よいサポート感が絶品。「これなら長時間の着座でも疲れないはず」と、例えばフランス有数のインテリアメーカーであるリーン・ロゼのパーソナルソファのかけ心地を思わせるほどだった。そのやさしくしっかりとしたかけ心地が、本革シートでも得られるところに大きな価値があると思えた。
走り出せば、アクセル踏むとスッと濃厚なトルクがリニアに沸き上がり、ペダルコントロール性に富み、走りやすさは文句なし。レヴォーグにも採用されるデュアルピニオン式アシストを持つパワーステアリングは軽く扱いやすく、マイルドハイブリッドだけにごくスムーズに、静かに加速を開始する。この時点でも「これいいい」と思わず笑みがこぼれるほどだった。
乗り心地もまた、前席のかけ心地同様、感動モノである。オールシーズンの18インチタイヤだから、決してソフトなタッチではないものの、乗り心地は路面の凸凹、うねりに対する足回り、ボディの吸収性能が素晴らしく、フラットかつ文句なしに上質で、体に優しく快適だ。ここにも新型クロストレックの大きな進化のポイントがある。そしてロードノイズの遮断の見事。クロストレックはルーフに高減衰マスチックシーラーを採用し、振動を抑え、静粛性に貢献しているのだが、ボディ、足回りの剛性UPによって、下回りからのノイズも効果的に遮断されている印象である。何しろ、路面を意図的に凸凹させたゼブラゾーンの上を走っても、振動、騒音は最小限。よって、このクラスのクロスオーバーモデルとして例外的に静かに、心地よく走ってくれるというわけだ。
動力性能自体はエンジンのハードをキャリーオーバーしていることもあって、スペックは不変で、とくに速い印象はないものの、水平対向エンジン+モーターによる濃厚なエンジンフィール、ウルトラスムーズな吹け上がりが気持ちいい。それこそ5000回転まで回しても、まったくうるさくなく、むしろ水平対向エンジンならではのビートを伴った快感と思わせるほどのエンジンフィールを示してくれるのである。
ドライブモードはI(インテリジェント)とS(スポーツ)モードの2種だが、燃費重視のIモードでもトルクのツキがよく、アクセルコントロールに対して、ゆったりかつ正確に応えてくれるところが好ましい。だから走りやすいと感じさせてくれるのである。
操縦性はある意味、穏やかだ。ステアリングの切り始めのレスポンスはマイルドで、そこからさらに切り込んでいくと狙ったラインに正確に乗せられるリニアさが顔を出す。軽快感というより落ち着き感ある大人のドライビングフィールというイメージである。
試乗区間の高速道路セクションではアイサイトに含まれるACCの使いやすさが際立った。追従性能、再加速性能の良さは今さら言うまでもないのだが、感心したのは前車との車間距離設定。多くはバー表示だったりして近くなのか、遠くなのかの理解になやむこともあるが、クロストレックのACCの車間距離調整は、前車のリヤとこちらのクルマのアイコンの距離感で調整できるため、実に分かりやすいのである。
そして高速走行時のAWDならではの直進性の良さ、安定感、リラックス感の高さもさることながら、ロードノイズとパーユニットからのノイズの遮断も文句なし。当日は横風が強かったのだが、運転席で聞こえてくるのはそんな横風の音が主体だったほどだった。
山道では本領発揮、新採用された「正確な位置情報システム」のwhat3 wordsにも注目
かなりタイトなカーブが連続する山道のセクションでは、AWDらしい極めて高い安定性、ハンドリングの自在度、パドルシフトによるスピードコントロール性とともにシートの自然なサポート感が際立ち、今乗っているクルマが最低地上高200mmのクロスオーバーSUVであることを完全に忘れさせてくれるほどの低重心感覚かつファンな操縦感覚を味わせてくれたのだから痛快だった。ブレーキフィールに特筆すべき点はないものの、ブレーキング→加速という一連の流れは、e-BOXER+リニアトロニック(CVT)の連系の良さもあってスムーズそのもの。これでもう少しパワーの余裕があれば、なお良しだろう。ちなみに坂道で一時停止した際は、ディスプレイに勾配角度が表示されるから安心である。
17インチタイヤを履くツーリングのAWDに乗り換えれば、まずは走りの軽快感が印象的だ。パワーユニットはリミテッドと同一だが、タイヤの違いによって乗り味は、いい意味で、段差、うねり路面を問わず、よりしなやかかつおおらかになる。クルマの動きもまたやや穏やかで、ゆったり。誤解してほしくないのは、操縦性がダルになるという意味では決してなく、その感覚もまた気持ちよく、リラックスした運転が可能になるというわけだ。ただし、路面によって車内にこもり音が発生。同じ路面で18インチタイヤでは出なかった症状で、ステアリングの微振動もこちらは気になった。製造初期の個体差なのか、17インチタイヤ装着車の固有の問題なのかは判明していないが、重箱の隅をつつかなければ、ほぼ無視していい症状ではある。
今回、残念ながらクロストレックに新設定されたFFモデルの試乗は叶わなかったが、ロングドライブ、限界性能ではAWDが有利、走りの気持ち良さ、軽快感ではFFに分があるというイメージだろうか。
そうそう、AWDからFFの乗り換えポイントでの目的地設定では、クロストレックに新採用された「正確な位置情報システム」のwhat3 wordsを使ってみた。世界を3m四方ずつに区切り、そこにランダムな3ワードの組み合わせを割り当てるもので、詳細な目的地設定が可能になる。カーナビゲーションの誘導だけでなく、スマートフォンなどで今いる位置を3ワード化して相手に伝えれば、例えば広い駐車場の特定の位置、スタジアム敷地内の特定の待ち合わせポイントを正確に相手に伝えられるのである。それをカーナビゲーションに応用することで、例えば今回の試乗会の基地となった袖ヶ浦フォレストレースウェイの特定の位置を目的地として設定できるのだ。一般的なカーナビゲーションで袖ヶ浦フォレストレースウェイに設定した場合、大まかな敷地のどこかに目的地設定されるのとは大違いの精度というわけだ。
3ワードは、例えば富士山の絶景を望むことのできるある場所を、///たこやき、でんちゅう、ひやけどめ・・・という3ワードで表現するのも面白い。what3 wordsのアプリをダウンロードしている相手に、その3ワードを伝えれば、富士山の絶景を望むことのできるある場所を共有でき、待ち合わせポイントとしても利用できるのである。
ただ、what3 wordsは「正確な位置情報システム」であり、カーナビゲーションでの誘導はナビゲーションシステムに依存することになる(スマホの場合はグーグルマップなどのソフト)。クロストレックのナビゲーションシステム内では、what3 wordsのアイコンをタッチし、ひらがなで3ワードをハイフンで区切り、入力すればOKだ。結果、3m四方ずつに区切られた場所にたどり着くことが可能である。
それにしても、新型クロストレックのシートのかけ心地の良さ、乗り心地の良さ、そしてあらゆる走行シーンでの絶大なる安心感、安定感は、さすがスバル渾身の新型車であると思わずにいられなかった。リミテッドとツーリングの価格差は、装備差から40万円ちょっとになるのだが、どちらを選んでも満足度は極めて高いと思えたのも本当だ(ツーリングでもリミテッド同様の装備が付けられるのも嬉しい)。
スバル・クロストレック
文/青山尚暉
写真/スバル・青山尚暉
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みんなのコメント
写真写りが悪いのか実車は案外良かった
この人、ちょいちょい間違えるな。