マツダは「マツダ3」を皮切りに新たなデザインを採用。SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition=火花点火制御圧縮着火)を採用したガソリンエンジン「SKYACTIV X」を搭載するなど、第7世代へとスイッチした。ここで注目するのは、新たなマツダ顔にはフォグランプが存在しないこと。マツダ3もCX-30もだ。ということは今後、マツダ車はフォグランプレスになるということになるのだろうか……。
そもそもフォグランプってどんなときに使うものなのか? そしてどういった意味があるのか。
フォグランプとは、「Fog=霧」の発生時に点灯させる「Lamp=灯」で、霧をはじめ降雪・降雨や砂埃などにより視界が悪くなった場合に使用する補助ランプである。濃霧のなかを走行すると対向車が近づいてくるのがわからなくなる。もちろん、こちらの存在も相手にわからなくなるのは同じで、自車の存在をアピールするというのが、フォグランプのおもな役割。前方視界の確保というよりは被視認性向上のために使うものなのである。
最近では“より白い光”もしくは“青白い光”でドレスアップ効果を狙ったイルミネーションとしてのカスタマイズにこのフォグランプが使われることが多いが、ひと昔前はフォグランプといえば“黄色”の発光色ばかりだった。
じつは、雨の日の走行には白い光よりも黄色光のほうが見えやすい。光の特性として白い光は波長が短く水の粒で散乱するため遠くまで光が届かない。黄色は波長が長いため光が通り抜けてより遠くまで届くという性質がある。一番波長が長い赤色は法規によって車両前方に設置することが禁じられるため、赤色の次により透過性の高い黄色がフォグランプに使われていたのだ。近年では白色でも十分に光が届くようにコーティング処理が施された灯体も多いため、黄色でなければ見えづらいということもなくなってきている。
そこでだ。マツダ3とCX-30にはフォグランプがない。それで濃霧などの悪天候時にはたして大丈夫なのだろうか? マツダに聞いてみた。
「マツダ3やCX-30に採用されているLEDヘッドライトは、フォグランプの機能を統合しています。フォグランプを搭載するスペースを確保することがなくなり、デザインの自由度が高まりました。」とのこと。「LEDヘッドライトの照射範囲を広げたことで、フォグランプの照射範囲をカバーしています。特にオン・オフスイッチなどは設けていません。」
フォグランプがなくなったのではなく、ヘッドライトがフォグランプの領域を担うことにより、別にフォグランプを搭載する必要がなくなったということらしい。
加えて「フォグランプは、2018年5月に大幅改良したアテンザ(現マツダ6)からなくなりました」……そういえば! アダプティブLEDヘッドライトのハイビーム用LED分割を従来の4ブロックから20ブロック化するとともに遠方照射性能を高めている。と大幅改良時の資料にある。「マツダ3」や「CX-30」も基本的にこのシステムを踏襲している。
マツダは魂動デザインで”引き算の美学”を取り入れたクルマづくりをしている。引き算の結果としてフォグランプがなくなったということか。
そして、こうした技術的進歩により、フォグランプが単体で存在するのが難しくなっていくのだろうか。
<文=編集部>
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