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戦うセダンってカッコイイ! 黎明期のハイパフォーマンス4WDセダン3選

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戦うセダンってカッコイイ! 黎明期のハイパフォーマンス4WDセダン3選

■初期のハイパフォーマンス4WDセダンを振り返る

 高性能なターボエンジンを搭載した4WDセダンの代表的なモデルというと、スバル「インプレッサ WRX」シリーズと三菱「ランサーエボリューション」シリーズが、真っ先に思い浮かぶでしょう。

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 この2台は世界ラリー選手権(WRC)をはじめとするモータースポーツへの参戦を目的に開発され、同じ土俵で戦ったことで異常なまでの短期間で進化を続けました。

 当時のWRCはグループAというカテゴリーに該当する市販車をベースにしたマシンで戦われており、改造の範囲が厳しく制限されていたことから、市販の状態での性能がそのまま競技でのポテンシャルに影響したからです。

 すでに両車は伝説的な存在ですが、それよりももっと前に、これら高性能4WDセダンの礎になったモデルがありました。

 そこで、黎明期のハイパフォーマンス4WDセダンを、3車種ピックアップして紹介します。

●日産「ブルーバード SSS-R」

 かつて、日産の中核を担っていたセダンの1台が「ブルーバード」です。古くから高性能グレードとして「SSS(スーパー・スポーツ・セダン)」をラインナップして、大衆車ながらモータースポーツで活躍しました。

 そして、1987年に登場した8代目の「U12型 ブルーバード」は、それまでのコンセプトを大きく変えた、ターニングポイントとなったモデルです。

 U12型 ブルーバードは先代の「U11型」に続いてFFを基本として開発され、発売当初は4ドアセダンと4ドアハードトップで、外観はボンネットのラインをわずかに傾斜させ、全体的に角を丸くすることで、オーソドックスなセダンのフォルムながらもスマートな印象です。

 そして、U12型のトピックスはトップグレードの「SSSアテーサリミテッド」にありました。

 SSSアテーサリミテッドに搭載されたエンジンは1.8リッターDOHCターボ「CA18DET型」で、最高出力175馬力を発揮。

 駆動方式はセンターデフにビスカスカップリングを組み合わせた、新開発のフルタイム4WDシステム「アテーサ」を採用し、4輪操舵システム「HICAS」と「STC-Sus(スーパー・トー・コントロール・サスペンション)」の採用によって、高い旋回性能と安定した走りを実現しました。

 さらに、モータースポーツへの参画を果たすために、NISMOによって開発され、オーテックジャパンによって生産されたのが「SSS-R」です。

 エンジンはCA18DET型をベースに、専用のピストンとカムシャフト、ターボチャージャー、ステンレス製エキゾーストマニホールド、ブーストアップなどのチューニングで、最高出力185馬力にパワーアップされた「CA18DET-R型」を搭載。トランスミッションはクロスレシオの5速MTのみとなっています。

 また、快適装備を排除して軽量化され、室内にはロールケージを標準装備したことで2名乗車(後期型では4名乗車)です。

 外観は廉価グレードの加飾に近く、インタークーラーに導風するためにボンネットに取り付けられたエアスクープが控えめに高性能さをアピールしていました。

 オプションで大型の補助灯や、アンダーガード、タワーバーなどが装備できるなど、購入してすぐにでも競技に参加することも可能でした。

 その後、1989年のマイナーチェンジでは1.8リッターエンジンが「SR型」に換装され、SSS-Rの最高出力は205馬力にアップ。

 SSS-Rは主に国内のラリー選手権で活躍し、「パルサー GTI-R」へと引き継がれました。

●三菱「ギャラン VR-4 RS」

 三菱は1969年にスポーティなセダン、初代「コルトギャラン」を発売。国内外のラリーで活躍するなど、高性能さをアピールしました。

 その後、ギャランは三菱の主力車種として代を重ね、大きな転換期となったのが奇しくも前出のブルーバードと同じく1987年にデビューした6代目です。

 外観は精悍な印象の逆スラントノーズのフロントフェイスが特徴的で、全体ではオーソドックスなセダンですが、均整のとれたスタイリッシュなフォルムです。

 そして、トップグレードにはWRCに参戦することを目的に、フルタイム4WD+ターボエンジンを搭載した「ギャラン VR-4」をラインナップ。

 ギャラン VR-4の外観は控えめなエアロパーツが装着されるにとどまりつつも、エンジンは最高出力205馬力を発揮する直列4気筒DOHCターボで、センターデフとビスカスカップリングを組み合わせたフルタイム4WDに油圧制御の4輪操舵を装備し、優れた加速性能と運動性能を発揮しました。

 さらにモータースポーツベース車として1988年に登場した「VR-4 RS」では、パワーウインドウやエアコンなどの快適装備と、遮音材を廃止して大幅に軽量化され、ラリーだけでなくダートトライアルでも活躍。

 発売後もマイナーチェンジを繰り返して段階的にパワーアップが図られ、1990年には最高出力240馬力に到達しました。

 ギャラン VR-4は当初の目的だったWRCでの勝利も獲得し、ランサーエボリューション誕生の礎になりました。

●スバル「レガシィ RS type RA」

 スバルは1989年に、次世代のセダン/ステーションワゴンとして初代「レガシィ」を発売。シャシからエンジンまですべてが新開発され、高性能なターボエンジンとフルタイム4WDシステムを組み合わせたグレードを設定するなど、スポーティなモデルのイメージを確立しました。

 セダンの外観はスラントノーズのフロントフェイスに、6ライトウインドウの伸びやかなフォルムから、見た目にもスポーティな印象です。

 トップグレードの「RS」には最高出力220馬力を誇る2リッター水平対向4気筒の「EJ20型ターボ」を搭載。駆動方式はセンターデフにビスカスLSDを組み込んだフルタイム4WD(MT車)で、前後駆動力配分は50:50を基本とするトルク可変型で、さらにRSにはリアデフにもビスカスLSDが標準装備されました。

 また、開発時点からラリーをはじめモータースポーツへの参戦を想定しており、レースベース車の「レガシィ RS type RA」をラインナップ。

 エンジンはSTI(スバルテクニカインターナショナル)によってチューンナップされた2リッター水平対向4気筒DOHCターボを搭載。最高出力220馬力はベースのRSと変わっていませんが、エンジン内部にも手が入れられた高バランスエンジンとなっており、後のSTI製コンプリートカーにも受け継がれています。

 さらに、足まわりの強化とギア比が変化するバリアブルクイック・パワーステアリングを装備し、エアコンやオーディオ、パワーウインドウといった快適装備が省かれ、軽量化が図られていました。

 初代レガシィはWRCに参戦し、強力なライバルがひしめくなか優勝は1回のみでしたが、インプレッサ WRX誕生のベースとして多大な貢献を果たしたといえるでしょう。

※ ※ ※

 故本田宗一郎氏は生前に「レースは走る実験室」という言葉を残しましたが、今回紹介した3台は、まさにその言葉を具現化していました。

 ラリーで培った技術はその後の市販車の開発に数多くフィードバックされ、国産車の高性能化に大きな影響を与えました。

 近年は各メーカーともモータースポーツへの参戦に対して消極的になってしまったこともあり、そうしたフィードバックはあまり見られなくなってしまいましたが、それだけ技術的に成熟した結果なのかもしれません。

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みんなのコメント

3件
  • さぶやミニバンに手を出してから車って一気に退化したよな
  • 戦う?www

    四駆でも何でもないけど、コンビニ襲撃に乱用されているプリウスのほうが、まだ兵器として運用されている感はある。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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