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インシーズン・チャレンジ初戦でチェイス・エリオットが大逆転。44戦ぶりの復活勝利/NASCAR第18戦

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インシーズン・チャレンジ初戦でチェイス・エリオットが大逆転。44戦ぶりの復活勝利/NASCAR第18戦

 超高速1.54マイル(約2.47km)のエコーパーク・スピードウェイこと、アトランタで開催された2025年NASCARカップシリーズ第18戦『クエーカー・ステート400』は、序盤の小雨によるディレイや都合2度の“ビッグワン”を経て、総勢13名のドライバーが46回も首位を交代する緊迫した接近戦が繰り広げられた。

 そんななか最終ラップの完璧なタイミングでブラッド・ケセロウスキー(RFKレーシング/フォード・マスタング)を抜き去ったチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が、大逆転を決めて待望の今季初優勝。注目を集めたインシーズン・チャレンジの初戦で、昨季2024年テキサス以来となる自身44戦ぶりの復活勝利を飾っている。

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 今季第14戦ナッシュビルからの新規軸として、総勢32台による『NASCARインシーズンチャレンジ』が実施されているカップシリーズは、その後のミシガン、メキシコシティの3戦でドライバーの最高順位に基づいてシード順が確定され、優勝賞金100万ドル(約1億4000万円)を掛けて今夏の5戦を対象にブラケット形式のトーナメントが実施される。

 その初戦となった6月28日のアトランタでは、予選でジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)とジョシュ・ベリー(ウッド・ブラザーズ・レーシング/フォード・マスタング)が同タイムの30.979秒を記録し、タイブレーカーの結果ポイント獲得数上位のロガーノがポールウイナーに輝き、その他のペンスキー2台を含む提携両チームのマスタングがトップ4を占拠する意外な展開となった。

「知ってのとおり僕たちは同じ車両を持っているし、チーム・ペンスキーも同じマシンを素晴らしいカタチで作り上げているようだね」と昨今の“不祥事”も念頭に、自身32度目のポールポジション獲得を祝ったロガーノ。

「ショップの全員を誇りに思うし、とくにラウシュ・イェーツ・エンジンの仕事を誇りに思っている。このレースはつねに、マシンをどれだけ近づけられるかだけでなく、どれだけのスピードを出せるかが試される。予選で速いマシンでも、決勝でその実力を発揮できるかどうかが試されるんだ」

 そう語ったロガーノが序盤もリードを堅持した決勝は、36周を終えた時点で小雨による赤旗で約15分ほど中断。49周目にグリーンフラッグでレースが再開されると、その8周後には日曜最初の“ビッグワン”が勃発する。

 当該の57周目にクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)がターン3と4のエイペックス付近でサイドウェイに陥ると、ここで2列目発進だったライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)も巻き添えに7台が絡むクラッシュに発展。両車ともに作業エリア送りとなってしまう。

「前方で数人のドライバーがスピンして減速しているのが見えた」と状況を振り返ったブレイニー。「エプロン以外に逃げ場がなかったが、そこに辿り着いて逃れようとした瞬間に、ヤツらが急に落ちてきて右後部にぶつかり、フェンスに激突してしまった。あれは絶対に避けられなかったよ……」

 迎えた69周目のリスタートでも立て続けの悲劇が起こり、バックストレッチで首位エリオットへの追突を避けようとスロットルをリフトしたクリス・ブッシャー(RFKレーシング/フォード・マスタング)に対し、後続の車列が次々と玉突き状態に突入。制御不能に陥った集団がアコーディオン現象で次々と餌食になり、16台が玉突き事故の当事者、参戦40台中22台がさまざまな程度のダメージを負う大きなアクシデントへと発展する。

「ほとんど何も見えなかった」と述懐したのは、この事故でチェイス・ブリスコやデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)らとともにリタイアを余儀なくされた、ランキング首位のウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)。

「少し走って22号車(ロガーノ)に追いついたんだ。ステージブレイク中に上位陣は全員ピットインして20秒台半ばまでタイムを縮めていた。トップ5の集団で素晴らしいレースをしていたし、彼らが全員重なり合っていたとき、僕は少し右に振られてしまった。クラッシュはすでに始まっていて、そのまま押し込まれてしまったんだ」

 これによりインシーズン・チャレンジの展開にも大きな影響を及ぼし、第1シードのハムリンは第32シードのタイ・ディロン(カウリグ・レーシング/シボレー・カマロ)に敗れ去る結果となり「デニーファンの皆さん、お気に入りのドライバーに勝ったばかりです」と、レース後にはハムリンの決めゼリフを拝借し、8位フィニッシュで上機嫌のディロンが下剋上を演じることに。

 同じく第2シードのブリスコは親友ノア・グラグソン(フロント・ロウ・モータースポーツ/フォード・マスタング)に敗れ、バイロンは15位チェッカーのライアン・プリース(RFKレーシング/フォード・マスタング)に敗退。レース最多の51周をリードしていたロガーノもここで戦列を去り、ステージ1は僚友オースティン・シンドリック(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が、続くステージ2はエリオットを0.001秒差で抑えタイラー・レディック(トゥエンティスリー・イレブン・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が制覇して行く。

 レース終盤は僚友ブッシャーを従え46周をリードしたケセロウスキーが主導権を握ったものの、エリオットも最後の2周でアレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)の力強いプッシュを受け、ケセロウスキーを最後の追い上げで無力化することに成功した。

「9号車(エリオット)の背後には48号車(ボウマン)がいて、猛烈なプッシュをしてきた。僕にはそれをカバーする術がなかった」と2位惜敗ながら、インシーズン・チャレンジではカイル・ブッシュ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)を撃破したケセロウスキー。

「RFKでマシンを繋いだときは同じことができたが、そこで負けてしまい、まるで2対1のような状況になってしまった。僕らは精一杯戦ったよ」

 最終的にケセロウスキーに0.168秒差、3位に続いた僚友ボウマンに0.170秒差でフィニッシュラインを通過したエリオットが、対戦相手であるオースティン・ディロン(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)も打ちやり、不振を打破する劇的な勝利を手にした。

「信じられない……信じられない。どう思う? 冗談だろう?」と興奮を露わにしたエリオット。「人生でこんなことが起きる……信じられない。本当にありがとう。本当に特別なマシンで、パートナーのNAPAオートパーツと、アトランタ小児医療センターのために尽力してくれたすべての事象に心から感謝する。今夜のNAPAシボレーは、がん患者のリアリン・ミルズがデザインしてくれたんだ。とても楽しかったし、この瞬間は決して忘れないだろう」

 エコーパークで併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第17戦『フォーカスド・ヘルス250』では、フロントストレッチの芝生で68周目にスピンを喫していた24歳のニック・サンチェス(ビッグ・マシーン・レーシング/シボレー・カマロ)が、残り7周でのリスタート後に首位を奪い今季初優勝を飾ることに。

 そして単独ライムロック・パークで初開催されたNASCARクラフツマン・トラックシリーズ第15戦『リウーナ150』は、耐久スペシャリストでカップ経験も持つジョーダン・テイラーや、オーストラリアのスターであるキャメロン・ウォーターズら豪華ゲストが参戦するなか、そのテイラーを撃破してポールを獲得していたコーリー・ハイム(トライコン・ガレージ/トヨタ・タンドラTRD-Pro)が躍動。100周中99周をリードする完璧なドライブで今季5勝目、キャリア通算16勝目をマークした。予選16番手だったウォーターズも車列を這い上がって5位フィニッシュを果たしている。

https://youtu.be/rdz5O82fVCA

[オートスポーツweb 2025年07月01日]

文:AUTOSPORT web
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