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官能と軽快が融合する、自然吸気&後輪駆動という絶滅危惧種

加速のプロセスが楽しめる官能的な大排気量NAエンジンと、前輪への駆動配分に頼らず山道を駆け抜けるときの爽快感。5.2リッターV10エンジンがドライバーを昂揚させる、RWD(後輪駆動)のウラカン EVOで京都へ。

後輪駆動のウラカン EVOで京都へ“凱旋”

自動車メーカーになった男──想像力が全ての夢を叶えてくれる。第20回

ランボルギーニで京都へ帰る。これまでに何度も経験しているけれど、いつだって“子供の遠足前”のような気分になる。さすがに夜眠れなかった、というほどではないけれど、東京を駆って出る段になり、「さぁ、行くぞ! 」、と何やら勇ましいというか晴れがましいというか、そういう気持ちになるのだった。フェラーリやマクラーレンに比べて、歳を取ってから“凱旋感”をより強く感じるのは、やっぱり小さい頃から憧れ続けてきたブランドのなせるわざ、だろうか。若い頃には圧倒的に跳ね馬のほうがそういう気分になれたものだったが。

今回のパートナーは登場したばかりのウラカンEVO RWDクーペだ。最新のランボといえば4WDのスーパースポーツだが、V10を積むウラカンには後輪駆動(二駆)の設定が以前からあった。ウラカンそのものがEVOへとマイナーチェンジを受け、その二駆版が遅れてデビューしたというわけだ。先だってRWDスパイダーも登場したから、これでマイチェン版ウラカンもひととおりのラインナップが揃ったことになる(EVOベースの高性能版ペルフォルマンテやスペシャルモデルはさておき…)。

鮮やかなブルーメタリックのボディにブラック&オレンジのインテリアで、足元はオーソドックスにシルバーでまとめた。オレンジのキャリパーがアクセントといて効いている。なんだかアヴェンタドールっぽいや(笑)。

RWDとなって顔つきが変わった。ちょっとビジーなAWDの表情よりもこちらの方がワイド感もあって好みだ。リアのディフューザーデザインも異なる。それ以外は同じ。

Rei.Hashimoto背負っているエンジンが“存在”を主張する

京都へ向かっていつものように都内のホテルを出た。前アシが自由に動く感じはAWDにはないもので、クルマの動きもはっきりと軽やか。逆に言うとAWDのような“適度に身が詰まった”印象は薄く、AWDのしっとりしたライドフィールが恋しくなるのも事実。長距離ドライブにはAWDのほうがいいかもなぁ、と思いつつ、ノーズを高速道路に向ける。

気分が自然とアガっていくのは、どうやらブランド名だけのせいではなさそう。背後から聞こえてくる、というか迫ってくるエンジンサウンドが、最新のスタンダードからすると随分けたたましい。

同クラスのフェラーリF8トリビュートやマクラーレンGT&720Sといった最新モデルたちは排気量4リッターに満たないターボエンジンを積んでいるから、日本の高速道路におけるクルーズ領域においては驚くほど静かに振る舞う。エンジンを背負っているという事実を忘れてしまうほどに。

一方、ウラカンは常にエンジンが“われ、ここにあり! ”と、あの手この手でその存在を主張する。たとえば新東名の120km/h区間ではエンジンが7速3000回転に達しており、ボリュームも大きい。加速時にはピストン運動だけでパワーを振り絞る感じもあって、音も振動も明らかにライバルたちを上回る。もちろん、これらはクルマ運転好きには“好ましい”性質で、ドライバーの気分を大いに昂揚せしめるというわけだった。

ウラカンのミドに搭載される5.2リッターのV10エンジンは自然吸気タイプである。流行りの過給器(ターボも含め総じてスーパーチャージャーという)が組み合わされていない。これはもう超レアな存在というべきで、現在、新車でオーダーできる5リッター以上の大排気量マルチシリンダー自然吸気エンジンを積んだモデルといえば、フェラーリ812GTSとランボルギーニアヴェンタドールSの両12気筒モデルとこのウラカンRWDしかないのだ。絶滅危惧、どころか絶滅指定の種。大排気量自然吸気エンジンの妙味を存分に楽しむこともまたウラカンの魅力のひとつだと言っていい。

ターボの魅力は排気量をそこそこに抑えつつ絶大なパワーを出せること。いわゆるダウンサイジングブームはスーパーカーの世界にも起きていて、フェラーリやマクラーレンのV8はすでにそうなっている。モアパワーとレスCO2を両立するには今のところ、電気モーターによるアシストを含めてエンジン自体を弱め別の手段で助ける“スーパーチャージ”しかなかった、というわけだ。

Rei.Hashimoto加速のプロセスを楽しむという心地よさ

ターボカーならば、街中や高速道路のように積極的にアクセルペダルを踏まないゾーンで排気量を下げたエンジンが比較的大人しく回るように設計されている。静かだということは、それだけ効率よく回っているということだ(音や振動もまたエネルギーのムダな使用である)。対して大排気量のままの自然吸気エンジンではそうとはいかず、それなりに回し続けて力を出さねばならない。だから同じ速度域で比べるとターボ車よりうるさく感じてしまう。

実際、ウラカンのV10エンジンはクルーズ中であっても常に精緻なメカニカルサウンドを鳴らしている。それが運転好きにはとても心地よいのだけれど、ガソリンを食っているなという印象もまた強い。翻ってV8ターボエンジンであえれば、クルーズ中はほとんど活動をさぼっているようなもので、単にお付き合いで回っているようにさえ思える。それでいて、ここ一発の加速は圧倒的に最新ターボカーのほうが強力だから、それに優るパワーユニットは他にない。自然吸気が淘汰されるのも必然なのであった。

そう、自然吸気エンジンの魅力は官能性に尽きる。スーパーカーブランドで、しかも12気筒や10気筒エンジンとしてかろうじて残っているのは、まだしも官能性が評価されるカテゴリーだからだ。4リッター水平対向6気筒を積むポルシェなどは、その官能性とスポーツ性を今のところ高いレベルで両立するが、それは6気筒であるがゆえだろう。

ウラカンEVO RWDによる追い越し加速は、だからフェラーリF8やマクラーレンGTと比べて強烈ではない。速いけれども加速が線形だから、身体がふわっと浮くような数次関数的な加速のスリルがないのだ。でも、そこがクルマ運転好きにはたまらない。V10エンジンが力を振り絞ったその成果を手足や腰で感じつつ、残滓を背後に棚引く音に変えて、加速のプロセスを楽しむのだ。ターボカーでは絶対に味わえない心地よさがある。

感心したのはたとえRWDであってもGTとして十分使えるだけの安定感を有していたこと。もちろんAWDの圧倒的かつ絶対的なスタビリティの高さには及ばない。けれども前輪が自由になる感覚を適度に残しつつ、ひとたび真っ直ぐ走るのだとドライバーが構えたならば、その前輪もまた路面をしっかりと咥えてくれる。この自由になる感覚を適度に残した前輪のフィール、というのが難しく、以前のミドシップスーパーカーの不得意とするところだったが、電子制御シャシーの発達した今では、フェラーリもマクラーレンも、そしてもちろんこのランボルギーニも、満足できるレベルに達していると思う。

今回の個体で唯一気になったのが、シートだった。色鮮やかなオレンジレザーでくるまれたカーボン製のスポーツシート(オプション)が装備されていたのだが、これが長距離ドライブには辛い。中距離でもしんどい。短距離でも腰が痛くなる。まったくもって日常ドライブには適さなかった。サーキットを攻めたい人向き、か、格好だけは良いからガレージに飾っておきたい方用の装備だと思ったほうがいい。ランボルギーニのスポーツシートはそれだけ“本格派”ということもできるけれど、ロードカー用として使うには限度があるというものだろう。

オシリとコシが痛くなるので、サービスエリアへの立寄りがいつもより多くなってしまった。クルマを停めるたびに注目を浴びるので、それはそれで悪くないのだけれど。

Rei.Hashimoto本領発揮はもちろんカントリー&ワインディング

個人的にはAWDモデルの重厚なクルージングフィールを好む。RWDのミドシップカーなら他にも選択肢があるじゃないか、とさえ思ってしまう。4WDだからこそランボルギーニの特異性が際立つとも思っている。とはいえ、やっぱり自然吸気V10エンジンと二駆の組み合わせも捨て難いと思ったのは、京都の街中と山道に出掛けたときだった。

AWDモデルにはしっとりとした乗り味で劣るとはいえ、そのぶん軽快感で優る。これは街中を走るときに重要な感覚で、たとえば京都には多い路駐のクルマを避けつつ対向車を気にするという場面や、広い道路から狭い路地に入ったときの気構えなどに大いに影響する。ミドシップカーは前が短い(自分のアシと前輪の位置が同じだ)のでたいてい軽快に動くものだが、そこに自然な初動の旋回フィールが加わると無敵ではあるのだ。ウラカンEVO RWDにはそれがあった。

Rei.Hashimoto本領発揮はもちろんカントリーロードやワインディングロードである。V10エンジンの、パワーを振り絞るプロセスを楽しみながら前輪への駆動配分に頼らず山道を駆け抜けるときの爽快感は他のモデルでは味わえない。いっそマニュアルトランスミッションだったらもっと楽しかったのに、と思いつつ、そこはパドルシフトのマニュアル操作で我慢して、アクセルペダルの動きに自然な反応をみせるV10自然吸気エンジンを存分に味わった。どこまでも回っていくかのような伸びやかなエンジンフィールはマルチシリンダー&自然吸気ならでは、だ。

自然吸気のV10はほぼ確実にこのウラカンで終わる。次からはダウンサイジングするほかなくなる。V12はハイブリッドとなるだろう。自然吸気を堪能するなら今のうちというわけである。

文・西川 淳 写真・橋本玲 編集・iconic

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