乗ってはいけないコンバーチブル
天気の良い日には誰もがオープントップを好むものだが、ここで紹介するモデルについては好ましいとは言えない。
【画像】ニッチでレアな存在【アランテとイオスを写真で見る】 全46枚
すべてのコンバーチブルが同じように作られているわけではない。魅力的で、つい太陽の下で走りたくなるものもあれば、少しお荷物になってしまうものもある。
今回は、あまりおすすめできないコンバーチブルを、英AUTOCAR編集部の独断と偏見でアルファベット順に紹介する。
キャデラック・アランテ
キャデラック・アランテが発売された当時、問題が1つだけあった。メルセデスのSLだ。
1987年以前の米国の富裕層は、趣味や購買力を表現する手段としてしかドイツ製のオープンカーを持っていなかった。そこでキャデラックは、ピニンファリーナの協力を得て、ヨーロピアンなデザインを実現したのである。アランテは、一見すると成功したように見える。
しかし、雨漏りなどの不具合が発生し、慌てて改良したにもかかわらず、評判に傷がついてしまった。アランテが売れなかったもう1つの要因は、1987年に5万ドルという価格で販売されたことである。
この価格は、イタリアとデトロイトの間を、アランテ・エア・ブリッジと呼ばれる専用設計のボーイング747型機で、車両1台につき大西洋を2回横断するという壮大な生産方式によるものだった。
その結果、現存するアランテは、そこそこ優秀な駆動系とV8エンジンをリーズナブルな価格で提供しているにもかかわらず、失敗作のにおいがプンプンする。
シボレーSSR
シボレーSSRは、2000年のデトロイト・モーターショーで発表されたコンセプト「スーパースポーツ・ロードスター」を忠実に再現したモデルである。ルックスはコンセプトから現実へとほぼそのまま引き継がれ、ドロップトップ・ルーフに曲線的なレトロスタイルを備えていた。
しかし、2トンを超えるピックアップトラックのエンジンが、コンセプトモデルの6.0L V8ではなく、わずか300psの5.3L V8であることを知ったとき、顧客は踵を返した。ブルーザー(大男)というより、クルーザーだったのである。
2005年にエンジンを395psの6.0L V8に置き換えても、SSRを救うことはできなかった。しかし、6速MTを搭載した後期モデルは、0-97km/h加速を5.3秒で駆け抜けることができ、誰がハンドルを握っているのかを視認できる人はほとんどいなかっただろう。
クライスラーPTクルーザー
オープンカーといえば、ちょっとした華やかさや生きる喜びを感じさせてくれるもの。しかし、クライスラーPTクルーザーは、まるで人生を諦めたかのように見えた。
2ドアのドロップトップ仕様は、ハッチバックの兄弟車よりドラマチックに欠けており、ルーフを下げるとボディラインよりも上に突き出てしまうため、猫背のようなスタイリングになってしまうのだ。
しかし、PTクルーザー・コンバーチブルは、手頃なカブリオレが少なかった当時、4人分のキャビンスペースをきちんと確保していた貴重なクルマだった。ルーフは電動式で20秒ほどで開閉でき、閉じた状態では遮音性が高いのが特徴だ。
クライスラー・セブリング・カブリオレ
クライスラーは、1996年から米国でセブリング・カブリオレを販売していたが、欧州導入には少し時間がかかった。しかし、導入されてからは特に見向きもされなかった。
アウディ、BMW、メルセデスなどの高級4シーター・オープンが飽和状態にある市場では、無関心の嵐が吹き荒れた。これによりセブリングは、ビーチサンダルを脱ぐこともなく、数えるほどしか売れない運命となった。
後に登場した折りたたみ式メタルルーフの3代目セブリング・カブリオレも、クライスラーを救うことはできなかった。今買うメリットは、非常に手頃な価格で、4人乗りで、あなたが何のクルマに乗っているのか誰にもわからないことだ。
シトロエンC3プルリエル
シトロエンは、C3プルリエルを「5つのクルマが1つになったオールシーズンカー」と謳っていたが、それがフランス人だけが知っている謎の第5の季節があるということなのかどうかはわからない。
フランス語で「複数」という意味を持つプルリエルは、ハッチバック、パノラミックサンルーフ、スパイダー、カブリオレ、さらにはピックアップにまで変形させることができる。1台5役。恐るべし。
ボディが変形するからと言って、決して便利なわけではない。というのも、別のスタイルに変えるには、足場職人でも敬遠するような作業が必要になるからだ。また、ルーフを外した場合、車内に収納する場所がないため、どこに置いておくかという問題もあった。
これらを我慢したとしても、今回の特集の(裏)テーマである「雨漏り」の問題がある。
フィアット・プント・コンバーチブル
フィアット・プント・コンバーチブルは、カブリオレの中でも「他人がどう思おうと気にしません」カテゴリーにしっかりと入っている。
調和のとれていないスタイリング、巨大なルーフ、限られた後部座席スペース、小さなトランクを嘲笑する人もいるかもしれないが、乗っている本人はドライブを楽しむことで精一杯だろう。
1990年代に作られたハッチバックベースのドロップトップ車の多くがそうであったように、プントもボディの剛性不足に悩まされているが、それでも賑やかなドライブを楽しむことができる。
搭載された1.2Lと1.6Lのエンジンは、楽しむために必要なだけのパワーを持っており、3層構造のルーフは遮音性に優れている。
フォード・フォーカスCC
フォード・フォーカスCCの部品の多くはボルボC70と共有されていたが、フォードは同車ほどの賞賛を受けていない。これは、フォードの地味なルックスのせいもあるが、発売時のシーリングの具合が悪かったことが大きく影響している。噂が広まって買い手が離れていったのだ。
シーリングの問題は保証期間中に解決されており、フォーカスCCは同タイプのカブリオの中では運転しやすいクルマの1つとなっている。一番の問題は、はるかに安価で実用的なハッチバックのフォーカスに比べて、走りが良くないことだった。
日産ムラーノ・クロスカブリオレ
「世界初、唯一の全輪駆動クロスオーバー・コンバーチブル」。日産は2010年末に米国で発売したムラーノ・クロスカブリオレをこう紹介した。SUVの販売で好調な日産は、日差しの強い米国ではドロップトップでその魅力を広げることができると考えたのだ。
クロスカブリオレには、ガラス製のリアスクリーンと天窓を備えた電動ルーフが搭載されており、後席の乗員が閉塞感を感じることはなかった。しかし、ニッチすぎる存在であることに変わりはなく、2014年に廃止された。
ランドローバーは2015年にこのアイデアを復活させてレンジローバー・イヴォーク・コンバーチブルを作り、フォルクスワーゲンも最近Tロック・カブリオレをデビューさせた。が、批評家の意見はムラーノの時ほど優しくなかった。
ポンティアック・サンファイア
1995年に発売されたポンティアック・サンファイアは、手頃な価格のスポーティなオープンカーとして、非常にまっとうな試みだった。
初期の121psの2.2Lエンジンは刺激に欠けるが、152psの2.3Lを追加することで改善された。しかし、残念ながらコーナリング時のボディ・ロールが大きく、衝突安全試験ではあまり良い結果が得られなかった。
発売当初はそれを理由に購入を断念する人もいたが、ショールームで見栄えのする派手なカラーリングのキャビンは人々の印象に残った。
ルノー・ウインド
ルノー・スポーツのクリオをベースにしたコンバーチブルが登場するというニュースは、スポーツカーを買う人にとっては絶対に見逃せないものだった。そして、その期待を見事に外してしまったのが、ずんぐりとしたウインドだった。
そのネーミングはさておき、ウインドは1.2Lまたは1.6Lのエンジンと期待通りのシャシー性能で、確かによく走った。
わずかな時間で上下に反転するコンバーチブルトップも、目新しいものがあった。もしルノーがウインドの走りに見合ったルックスを与えてくれていたら……。
ローバー100カブリオレ
ローバーは1990年、ハイドラガス・サスペンションとKシリーズ・エンジンを搭載してメトロを延命させた。カブリオレが登場したのは、この驚くべきアップデートから4年後のことだった。その後、メトロはローバー100となったが、ドロップトップのメトロを買う人はまだいなかった。
巨大なルーフがリアキャビンに覆いかぶさり、開けても閉じてもダイナミクスは何も変わらなかった。しかし、真の売上キラーは価格の高さであり、太陽を崇拝するメトロファンの中でも、カブリオレを選ぶ人は限られていたのである。
スズキX90
1990年代に大成功を収めたスズキ・ビターラと、小さなロードスター、カプチーノ。この2台を合体させたニューモデルがX90である。しかし、その成否は紙一重で、1995年から1998年にかけて販売されたX90は販売不振に終わった。
SUVとロードスターの良いところではなく、悪いところを組み合わせたようなモデルだが、ニッチなX90はそれなりにエキセントリックなファンを獲得している。トライアル競技の世界では、そのコンパクトなサイズ、頑丈なドライブトレイン、優れたグランドクリアランスにより、人気の高いマシンとなっている。
トヨタ・カムリ・ソラーラ
トヨタ・セリカのコンバーチブルは、ドロップトップの中では地味な存在だったが、世界ラリー選手権で優勝した経歴を持ち、本物のスポーツカーとしての資質を備えていた。しかし、米国でミドルクラスのオープンカーを担うことになったカムリ・ソラーラには、そのような遺伝子はなかった。
名前の通り、信頼性は高いものの、面白みのないカムリがベースとなっていた。2001年のフェイスリフトや2003年のニューモデルの登場も、購買意欲を掻き立てるものではなかった。
アウディ、BMW、フォード・マスタング、メルセデスのコンバーチブルが手に入る時代に、カムリはディナーパーティーでの両親の会話のようにスタイリッシュで魅力的な存在だった。
ヴォグゾール・キャバリエ
ヴォグゾールは、BMW 3シリーズ・コンバーチブルの売上奪取を狙って、1986年にキャバリエ・コンバーチブルを発売した。ドイツのコーチビルダー、Hammond and Thiede社が設計したこのモデルは、ルーフを折り畳むための大きなルーフボックスを備えていた。残念ながら、トランクはほとんどなかった。
ルーフを開けると、それなりにハンサムなソフトトップカーになったが、エンジンは116psの1.8Lのみで、パワフルな3シリーズには叶わなかった。最終的にキャバリエ・コンバーチブルは1265台しか販売されなかったため、今ではBMWよりもずっとレアな存在となっている。
有名人では、英国人コメディアンのハリー・エンフィールドが所有しており、彼の歌「Load Samoney」のビデオにも登場している。
フォルクスワーゲン・イオス
フォルクスワーゲンは、イオスの外観と雰囲気を単なるゴルフのドロップトップではなく、さらに一歩進んだものにするために努力を惜しまなかった。名前や折りたたみ式のメタルルーフなど、すべてがBMW 3シリーズに匹敵する上品なオープンカーであることを物語っていた。
しかし、エンジンやスイッチ、時計、インフォテインメントなど、中身は他のフォルクスワーゲン車とほとんど変わらない。それ自体は悪いことではないが、価格を正当化するのが難しい。ビートルやゴルフのカブリオレ仕様とイオス、どちらを買うか選択を迫られたユーザーは、より馴染みのあるモデルに軍配を上げた。
イオスは兄弟車よりも後席のスペースが広く、金属製の重いルーフを折りたたんでも収納スペースは確保されていた。だが、そのルーフはシールが破損して水が入ってくるという厄介な癖があったのだ。
ジマー・ゴールデン・スピリット
ジマーを購入する人は、他人にどう思われようと気にしない。結局のところ、レトロスタイルの巨大な「キッチュ」を移動手段として選ぶには、時折指をさされても動じない性格が必要なのだ。むしろ、それこそがジマー・ゴールデン・スピリットを所有する意義なのかもしれない。
ポール・ジマーとアート・ジマーが製作したこのクルマは、フォード・マスタングのシャシーをベースにしたネオクラシカルな高級車であった。突飛な長さの2ドア・コンバーチブルは、米国の日差しの強い州で驚きのヒットを飛ばし、他のストレッチリムジンを圧倒した。
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みんなのコメント
19年目のコペンに乗ってますが、大雨だとトランクに深さ3cmの水溜まりが出来たりして、常に雨漏りとの戦いになってますが、それでもオープンは楽しいのでやめられません。
まぁ人それぞれかと?