UK版スタッフが選ぶ象徴的な1台
AUTOCAR英国編集部では、ほぼ毎日スタッフ同士でさまざまな議論が交わされる。中でも最大の論争は、「各メーカーで歴代最高の1台はどれか」というものだ。
【画像】日欧スーパーカーの殿堂【ホンダNSX、ランボルギーニ・ガヤルド、フェラーリ458を詳しく見る】 全70枚
スタッフの中にはMG ZT-T 260の価値を認める人もいれば、認めない人もいる。共感しやすい選択肢を出す人もいれば、難解な提案をする人もいる。
この議論に決着をつけるため、AUTOCAR英国編集部は28のメーカーでリストを作成し、スタッフによる投票を行った。本特集ではその結果を公開したい。編集者、記者、アシスタントたちによって選ばれた、各メーカーの最高のクルマである。
(翻訳者注:メーカーの並びはアルファベット順です。各モデルの価格や装備などは英国仕様または欧州仕様に準じます。また、当然と言えば当然ですが、英国で販売されていないモデルは取り上げられていません。あしからず)
アルファ・ロメオ
ジュリア・クアドリフォリオ
アルファベット順で一番目のメーカーから編集部内で大論争が始まったが、これは避けようがない。アルファ・ロメオの「最高」の1台について意見を一致させることなど、果たして可能だろうか? 33ストラダーレ、75、SZ、GTA、156、147、8C……トップ5すら決まらない。
だが議論の最中、偶然にもアルファ・ロメオがジュリア・クアドリフォリオの販売をもう1年延長すると発表した。スタッフは皆、その知らせに大喜びし、これが答えだと気付いた。
編集者の1人、クリス・カルマーは熱烈なエールを送っている。「アルファ・ロメオは2010年代で最もハンサムなクルマをデザインし、そのシャシーにも莫大な金額を費やし、フェラーリ譲りのV6エンジンを搭載した。故障していない限り、クアドリフォリオは素晴らしいクルマだ」
尽きることのない魅力を放つジュリアは、デビューから年月が経っているにもかかわらず、今でも人々を驚嘆させる。そして今、わたし達はこのクルマをもっと長く楽しむことができる。
アストン マーティン
V8ヴァンテージ
大方の予想に反する結果と言えるだろう。DB9、DB5、ヴァルキリーといった、ポスターになるようなモデルを凌駕し、アストン マーティンの最高傑作として台頭したのはこの「ベイビー・アストン」ことV8ヴァンテージだ。
チャーリー・マーティン記者はV8ヴァンテージについて「アストン マーティンを21世紀の真のスポーツカーメーカーとして復活させた」と評価し、「おそらくこれまで製造された中で最も力強いサウンドのV8エンジンを搭載している」と付け加えた。
マット・プライヤー編集委員は自分自身の選択に少し驚いているようで、「わたしはどちらかというとDB9が欲しい」と語ったが、シルバーストーン24時間レースで楽しい思い出があることを認めた。「V8ヴァンテージは素晴らしい。最高の週末だった」
アウディ
クワトロ
ラリードライバーのミシェル・ムートンはかつて、アウディ・クワトロが放つオーラに圧倒され、「わたしの感情を揺さぶるものがあるとしたら、それは間違いなくクワトロのエンジン音だ。あの音を忘れることはできない」と語っている。WRCステージに挑む際にも「何も感じなかった」という彼女のこの言葉は、クワトロの魅力を雄弁に物語っていると言えるのではないだろうか。
ラリーファンでもあるジェームズ・アトウッド記者は、これ以上語る必要性は「感じない」と断言し、「YouTubeで『アウディ クワトロ グループB』と検索すれば分かるよ」と言い残した。
カメラマンのジャック・ハリソンはクワトロを「スタイルの象徴であるだけでなくメカニカル面でも画期的な存在」であり、稀有な1台だと評した。現代の基準で見ても、その速さは紛れもないものだ。
BMW
3シリーズ
これまで3シリーズで、良くないモデルなどあっただろうか? 特定のニーズに合わないバリエーションは確かにある。M3ツーリングCSで走り回るUberを見かけることはまずないだろうし、質素な316iではサーキットで大した活躍はできないだろう。しかし、3シリーズは7世代にわたって幅広いバリエーションを展開し、ミドルサイズの高級車として圧倒的な人気を誇り、あらゆる分野で伝説的な地位を築いてきた。
マーク・ティショー記者は「今日でもさまざまな市場におけるベンチマークのような存在だ。ラインナップの幅も非常に広い」と考えている。
ジャック・ウォリック記者は3シリーズについて、「比類なき」卓越性を備え、「市販車の中で最高のオールラウンダーの1つ」と評した。近々登場する8代目にも、大きな期待がかかっている。
シトロエン
DS
AUTOCAR英国編集部が最近試乗したDSは、魅力的ではあるが冒険心に欠けるハッチバックで、いかなる点でも先駆者と呼ぶには難がある。対照的に、初めて試乗したDSは、それまでのどのクルマとも異なる先進技術の塊だった。初代DSは高級車の概念を永遠に変え、今や伝説的な存在となっている。
リチャード・レーン記者によれば、油気圧式サスペンションを備えた初代DSはまさに異端児で、「スタイルと技術の双方における象徴的存在だ。国内向けの最廉価仕様から、レザーをふんだんに使った豪華仕様の23パラスまで、すべての派生モデルが深い魅力を放っている」という。
フェラーリ
458イタリア
F40、エンツォ、250 GTO、ラ フェラーリが選ばれなかったのは意外なことだが、本特集の全モデルの中で、458の得票率は圧倒的なものだった。マット・ソーンダース記者によれば、その理由は「史上最高のミドシップ『ジュニア』フェラーリだから」だという。「優れたエルゴノミクスと室内の質感、現代的なアクティブディファレンシャル、センセーショナルなハンドリングを備えつつ、古き良き高回転型自然吸気V8を主役に据える。神格化されるのも頷ける」
458の中古車価格は今でも非常に高く、英国では後期型で17万5000ポンド(約3700万円)もする。「ターボチャージャーにかき消されることのない、見事なほどに甲高いV8サウンド」と純粋なドライビング・イナミクスは、いまだに他の追随を許さない。
フィアット
500
他を圧倒する生産期間の長さを誇るフォルクスワーゲン・ビートル、スポーティな走りを見せたミニ、技術的に優れていたシトロエン2CV。世に名車は数あれど、フィアット500ほど単なる移動手段という枠を超え、ファッションアイコンとなった「大衆車」は他にない。このトリノ生まれの小型車は幅広い層に愛され、ネガティブな意見よりも支持者が圧倒的に多い稀有なモデルだ。
「発売から60年近く経った今も、ミレニアル世代やZ世代がオリジナルの500を所有したいと切望している事実がすべてを物語っている」とリチャード・レーン記者は語る。
イリヤ・バプラート記者は「このクルマはイタリア中を走り、数十年にわたりメーカーを支え、2010年代のフィアット全モデルラインのデザイン基盤を築いた。これこそドルチェ・ヴィータの真髄だろう」と述べている。
フォード
フォーカス
フォーカスは30年にわたり欧州フォードを支えてきたモデルで、運転の楽しさ、経済性、実用性を異例のバランスで融合させ、数百万のドライバーを魅了した。
「ドライビングの魅力を製品の中核に据えつつ、量販車として大ヒットを狙えることを証明した」とマーク・ティショー記者は語る。
レイチェル・バージェス記者は「実用的で控えめなファミリーカーでありながら、コーナーを軽快に駆け抜ける走りを実現した。まさに一石二鳥」と総括した。
ホンダ
NSX
「NSXは量販車メーカーがハイテクスーパーカーを作ろうとして生まれたものだ。考えてみてほしい、フェラーリがジャズ(日本名:フィット)に対抗するクルマを作ろうとするだろうか?」とジェームズ・アットウッド記者は言う。1990年代のヒーローであり、欧州のライバルにも技術的には遜色ない存在だった。
マット・ソーンダース記者は「優れた油圧式ステアリング、魅力的なシフトフィール、そして心地よく回る自然吸気V6エンジンも同様に素晴らしい。ホンダはもっと頻繁に夢を見るべきだ」と述べている。
ジャガー
XJ
美しいEタイプ、レースで伝説を残したDタイプ、1つの時代を定義したXJ220、先進的な試みだったIペイス。数ある選択肢の中から1台だけを選ぶのは簡単ではない。しかし、「ジャガーは多くのことを成し遂げ、数多くのクルマを生み出してきたが、1つのモデルで定義できる自動車メーカーは稀だ。XJこそがジャガーである」とマット・プライヤー編集委員は結論付けた。
イリヤ・バプラート記者も同意したが、より具体的にこう述べた。「初代XJ6はあまりにも美しすぎて、ジャガーはその後継車開発に苦労した。当時のスポーツセダンより安価で、乗り心地とハンドリングも上回るラグジュアリーリムジンだった」
ランボルギーニ
ガヤルド
「耳が痛くなるほどの静寂」、「制御された混乱」、「公然の秘密」……これらはすべて矛盾した表現の好例だ。もう1つ例を挙げよう。「ベイビー・ランボ」だ。これは歴史的にランボルギーニのラインナップにおけるローエンドモデルを指す言葉として使われてきたが、2003年にガヤルドが登場した時点で意味をなさなくなった。豪快なV10エンジン、宇宙船のようなスタイリング、500ps以上の出力、そしてマラネロに警鐘を鳴らすようなスペックを備えていたからだ。
「見た目は最高ではないが、わたしにとってこれが究極のランボルギーニだ」とウィル・リメル記者は語り、特に初期のマニュアル車を絶賛した。
マレー・スカリオン記者がガヤルドを選んだ理由は、ランボルギーニを「恒常的な資金難からスーパーカー界の重鎮へ変えた」点と、「痛いくらいに美しく、ゲート式マニュアルを備えていた」からだという。アウディA4のスイッチ類は気にしないでおこう。
ランチア
ストラトス
リアエンドに積み込まれたフェラーリV6エンジン、息をのむようなシルエットに隠されたエンジニアリング、WRCを3連覇した事実……それらは一旦脇に置いておいてほしい。ただ見るだけでいい。そう、この外観こそが今回ストラトスを選んだ主な理由だ。
「厳しい冬の夜、グラベルをストラトスが走り抜ける姿と音を、わたしは決して忘れないだろう。まさに、このために設計されたクルマだ」とカメラマンのジャック・ハリソンは語った。
また、チャーリー・マーティン記者にとってストラトスは「ホモロゲーション・スペシャルの意味を完全に再定義した」クルマであり、単なるモータースポーツの域をはるかに超えた偉業であるという。
ランドローバー
レンジローバー
「クルマ自体が1つのブランドになるということは、正しいことを成し遂げたということだ」とマーク・ティショー記者は言う。レンジローバーが名実ともにブランドとして独立できたのは、あらゆる面における卓越性の証左だ。ティショー記者はまた、どの世代も「オンロードでもオフロードでも比類のない存在」だと付け加えた。
実際、現行世代のレンジローバーは非常に高性能で洗練されており、サム・フィリップス記者が言うように「巧みな洗練性と本格的な全地形対応能力を兼ね備えている」ため、世界最高のSUVの1つであるだけでなく、最高の自動車の1つであると言える。
(翻訳者注:この記事は「後編」へ続きます。)
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