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チェーン規制施行から約1年 正しい規制内容は認知されたのか

掲載 更新 15
チェーン規制施行から約1年 正しい規制内容は認知されたのか

■チェーン装着による「過信」は禁物

 国土交通省と警察庁は、「大雪時における道路交の確保を図る」ことを目的としたさまざま取り組みを検討し、そのひとつとして「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」の規制標識(チェーン規制)を新設すると、2018年11月に発表しました。

スタッドレスタイヤ装着のタイミングは? どのくらい使ったら寿命を迎えるか

 チェーン規制が施行されてから約1年経った現在ですが、実際にはどのような規制内容なのでしょうか。

 2017年に全国各地で大雪の影響よりスタッドレスタイヤだけでは、対処できず多くのクルマが立ち往生するという問題が多発しました。

 公表当時、各メディアは「チェーン義務化」と報道をした影響により、ユーザーの間では誤った情報が拡散しました。実際の規制内容について、国土交通省の担当者は次のように説明しています。

「チェーン規制に関する発表は、タイヤチェーンを装着していない車両が通ってはいけない区間を、よりわかりやすくするための新しい道路標識に関するものです。

 国土交通省としては、『タイヤチェーン装着の義務化』という表現はしておりません。ただし、『チェーン規区間』を通行する場合には、タイヤチェーンの装着は必須となります」

※ ※ ※

 具体的なチェーン規制の内容は、大雪特別警報や大雪に対する緊急発表がおこなわれるような異例の降雪があるときに実施されます。

 大雪時に通行止めを実施する場合でもチェーン装着を条件として、積雪による通行止め時間を短くすることが目的です。

 実施区間は、急な山道など、過去に雪による立ち往生や通行止めが起こった場所のなかで、タイヤチェーンを着脱できる場所や通行止めが解除されるまで待機できる場所がある区間で実施。チェーン規制時には、規制区間の手前でタイヤチェーン装着状況の確認をおこなうといいます。

 実際に一般国道で、規制対象となっている山形県の月山道路(112号線)を利用するユーザーは、今回のチェーン規制について、次のように話します。

「いままで、積雪量が多い時期には、通行止めとなっていた112号線が、今回の『チェーン規制』によってチェーンを巻けば通行できるという点では良いことだと思います」

 また、一般国道の山中湖・須走区間(138号線)や高速道路の須玉IC・長坂IC区間を実際に利用するユーザーは、次のように話します。

「2017年の大雪時には、スタッドレスタイヤでも進むことができず立ち往生しているクルマが多くあり、それを避けるために地元住民が普段使うような道路まで渋滞していました。チェーン規制後には、そのような渋滞トラブルがなくなると思うので、規制化されてよかったと思います」

※ ※ ※

 チェーンを履いたことによる過信やチェーン規制というイメージによって、人は安易な考えをしがちです。

 しかし、どんな内容にも明確な理由や方法があるということを肝に銘じておくことが、安全運転につながるといえます。

■「チェーン規制」はどんな時に実際される?

 従来、積雪・凍結している道路では、スタッドレスタイヤを履いていれば「安心」というイメージがあります。

 その後、規制施行の影響などもあり「チェーンを履けば大丈夫」と認識されてきましたが、その過信は思わぬトラブルの原因となる可能性もあります。

 万全と思われるスタッドレスタイヤ+タイヤチェーンでも起こり得る意外なトラブルとは、どのようなものなのでしょうか。

 タイヤにチェーンを装着する場合、FF車(前輪)、FR車(後輪)というふうに駆動輪につけることが基本です。4WD車(AWD車)では、クルマによって装着位置が異なり、積雪地方に強いイメージのあるスバル車では、「チェーンは前輪装着とし、後輪には装着しないで」とアナウンスされています。

 一方で、日産「GT-R」やスズキ「ジムニー」などは、「チェーンは後輪に装着」と説明。各社の4WD制御システムによって、装着方法は変わってくるのです。

 一般的なイメージとして、「チェーン+4WD」という組み合わせであれば、雪道でも心配いらないと思われがちですが、これには意外なトラブルとなる要素が存在します。

 それは、4WD車(AWD車)にチェーンを装着すると、前後タイヤのグリップ力がアンバランスとなり、不安定な状態になるということです。

 積雪に慣れていないユーザーが過信した運転をすると簡単にスピンする可能性が高くなり、前輪にチェーンを装着した場合は前輪のグリップ力が高く、旋回時に後輪が流れスピンを誘発するのです。

 チェーンを装着したことによる危険性について、スバルの開発担当者である新田亮氏は次のように説明します。

「1990年代のスキーブーム当時、チェーンを装着してハンドルを切った状態で発進するとクルリと回るという話が結構ありました。

 とくに、物理的に見ても前輪にグリップ力の高いチェーンを装着し、後輪はそのままのノーマルタイヤだと4WDはスピンしやすい傾向です。

 スバルでは、その後の車両やタイヤの開発において『チェーン装着』という部分も考慮して開発をしています。

 スバルの4WDは、純正タイヤの雪上性能やチェーンの評価などを実施し、安心して雪道を走行できるように配慮しています」

※ ※ ※

 また、モデルやグレードによってはチェーン自体を装着できないクルマも存在。トヨタ「C-HR」の18インチタイヤを履くモデルでは、「タイヤとボディの隙間が狭いため、タイヤチェーンを装着できない」としているほか、欧州メーカーの一部でもチェーンの装着不可をうたっています。

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みんなのコメント

15件
  • この記事の「(完全)チェーン規制」が出来てから、
    一般的な「チェーン規制」との判別が難しくなった。

    表示を見かけてもどっちの「チェーン規制」か分からない。

    例えば一般的な「チェーン規制」は「滑り止め装着」とかの言葉に変えて、
    違いが明確に分かるようにしてほしい。

    あと、分けた後の表現も全国で統一してほしい。
  • 昔プレリュードの後輪にチェーン巻いてる奴を見かけた
    当然だが前輪が空転して全然走れていなかったw
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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