「マイナンバー運転免許証」の運用開始から1年以上。免許証とマイナカードを一体化できるようになったが、従来型免許証との併用や、従来型のみを選ぶことも可能だ。では実際、更新や住所変更、紛失時などを考えると、どの持ち方がもっとも便利なのか。3つのパターンを比較しながら検証してみたい。
文:鈴木喜生/写真:写真AC
【画像ギャラリー】マイナ免許証vs従来免許証 結局どっちが得?(4枚)
「マイナ免許証」とは? 申請方法は?
そもそも「マイナ免許証」とは、マイナンバーカードのICチップに運転免許証の情報を電子的に記録したもの。道路交通法の改正に基づき2025年3月24日からスタートした制度だ。
総務省およびデジタル庁が公表しているデータによると、マイナンバーカードの保有率は2026年2月末時点で81.7%に達しており、これにともないマイナ免許証の注目度も上がりつつある。
マイナ免許証の場合、免許情報はICチップだけに記録されるため、マイナンバーカードの券面には免許情報(免許の種類・有効期限・色区分)などはいっさい印刷されない。つまり、マイナンバーカードの見た目はこれまでと何も変わらない。
マイナ免許証へ移行するには、以下の2つの方法がある。
1.運転免許センターまたは一部警察署で申請する
2.運転免許証の更新時に申請する
1の「運転免許センターまたは警察署」の場合、現在保有している運転免許証と、有効期限内のマイナンバーカードを持参する。
手数料は従来型免許証の場合が2850円であるのに対し、マイナ免許証のみの場合は2100円と安くなる。手続きには予約が必要なケースが多いので、当該施設のネットや電話で事前に確認したい。
マイナ免許証の申請は、運転免許証の更新時にも行うことができる。これが「2」のケースであり、申請の要領は「1」と変わらない。ちなみに、免許を初めて取得する時にも運転免許センターで申請可能だ。
マイナ免許証へ移行すれば、運転時に従来型免許証を所持する必要がなくなる。
ただし、マイナ免許証を申請した場合にも、希望すれば従来型免許証との2枚持ちも可能だ。つまり、マイナ免許証が義務でない現時点においては、ドライバーは以下の3つの保有形態が選択可能だ。
●マイナ免許証のみ
●マイナ免許証と従来型免許証の併用
●従来型免許証のみ
これら3つの形態の違いによって、どんなメリットとデメリットが発生するのか?
「マイナ免許証のみ」のメリットとデメリット
マイナ免許証だけを持ち、従来型免許証を返納(抹消)した場合には、以下のメリットが発生する。
●住所などの変更が必要な場合、一度の申請で完了する
●運転免許の更新手数料が安くなる
(従来型免許証のみ2850円、マイナ免許証のみ2100円)
●優良・一般運転者であれば更新時講習をオンラインで受講可能
●カードが1枚になる
一方で以下のデメリットもある。
●マイナンバーカードの申請・所持が前提とされる
●免許の更新時や新規取得時以外では、同申請のためだけに手数料がかかる
●マイナ免許証を紛失すると、再発行手続きをしない限り運転も本人確認もできなくなる
●マイナ免許証自体に免許情報が印刷されていない
(アプリや窓口で読み取る必要がある)
マイナ免許証を取得すれば一定のメリットが享受できる。しかし、手間と手数料をかけてマイナ免許証に切り替えるドライバーは現時点においては少ない。
その結果、マイナ免許証の保有率は2025年12月末時点で約2.7%に留まっている(警察庁のデータによる)。これは主に「必然性を感じない」「紛失・携行の不安」「手間」などが理由とされる。
「2枚持ち」と「従来型免許証のみ」
ただし、マイナンバーカードの普及を推進する政府としては、今後はさらにマイナ免許証のメリットを強化する可能性がある。
同時に、マイナ免許証でないと不都合が増え、その不便な状態が看過される可能性もあるだろう。そうした時流においては、マイナ免許証と従来型免許証の併用を検討するドライバーも少なくないようだ。
マイナ免許証と従来型免許証の「2枚持ち」であれば、カード紛失時のリスクを大幅に軽減しつつ、オンライン講習や住所変更におけるワンストップなどのメリットも享受できる。ただし、運転免許の更新手数料は2950円と少々高くなる。
しかし現状においては、マイナンバーカードやマイナ免許証が強制にならない限り、従来型免許証のみでよいというユーザーが多数を占めているのも事実。
その場合、マイナ免許証の付帯機能、つまり更新時オンライン講習や住所変更ワンストップが利用できないが、免許更新における手続きはこれまでと変わらず、マイナンバーカードの有無も運転には関係なくなる。
更新料は2850円であり、マイナ免許証のみ(2100円)よりは割高だが、2枚持ち(2950円)よりは安い。こうした理由から、マイナ免許証の普及にはもう少し時間がかかりそうだ。
要注意!! 海外では通用しない「マイナ免許証」
現時点において免許の保有形態は自由だが、もし海外で運転する機会があるユーザーの場合には、「マイナ免許証のみ」は避けるべきといえる。なぜなら前述したとおり、マイナ免許証自体には免許情報が印刷されていないからだ。
海外でクルマを運転するには国際免許証(国外運転免許証)が必要になるが、海外の現地警察やレンタカー会社などに対しては、国際免許証と併せて従来型免許証を提示する必要がある。
その際、海外でICチップが読み込めるはずもなく、券面に何ら情報が記載されていないマイナ免許証だけを提示すれば免許の内容を確認できず、トラブルになる可能性がある。
国際免許証とは国内免許の翻訳版といえ、海外においては従来型免許証とセットで提示するのが原則的なのだ。
マイナ免許証はある意味において先進的といえるかもしれないが、あくまでドメスティックな制度であり、海外では通用しない。海外に渡航する際には従来型免許証を携帯するよう、外務省や各都道府県警察なども公式の見解として強く推奨しているのが現状だ。
免許の保有形態の選択においては、今しばらく自由度が保たれるだろう。それぞれのメリットとデメリットを考慮しつつ、各ユーザーにとって最適なスタイルを選択したいものだ。
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