日産「ムラーノ」の日本市場復活が決まり、2026年6月3日に注文受付が開始されました(実質的な発売日(納車開始)は2027年2月頃)。2026年2月に国土交通省が創設した「米国車認定制度」を活用し、「北米仕様そのまま」のパッケージで、2026年6月3日に注文受付が開始となりました。
ムラーノといえば、伸びやかなフォルムと北米生まれならではの個性が高く評価されたモデル。高級クロスオーバーSUVとしてすでに人気を集めていたトヨタ「ハリアー」とは真っ向から競合する存在であり、先進的なデザインとゆとりある室内空間で注目を集めました。日本復活を機に、独自の魅力で存在感を放った初代ムラーノを改めて振り返ります。
【画像ギャラリー】伸びやかなフォルムと北米生まれならではの個性が高く評価された日産初の本格クロスオーバーSUV 初代「ムラーノ」(22枚)
文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:NISSAN
ハリアー人気の日本へやってきた、北米生まれのムラーノ
初代「ムラーノ」は、2002年に北米で発売開始となった日産初の本格クロスオーバーSUVです。車名の「ムラーノ」は、イタリア・ヴェネツィアのムラーノ島に由来するもので、その名のとおり、ヴェネツィアングラスが持つ美しさや手作りの温もりをモチーフとし、曲面を生かした伸びやかなフォルムで高い評価を受けました。
日本導入のきっかけとなったのは、2003年の東京モーターショーです。当時すでにトヨタの2代目「ハリアー」が高級クロスオーバーSUVとして人気を集めており、参考出品された左ハンドル仕様の初代ムラーノにも多くの関心が寄せられました。
こうした日本市場の反応をみた日産は、右ハンドル仕様と日本向けの2.5L直列4気筒エンジンを設定。2004年9月、日本市場に投入されました。
日本仕様のグレード体系は、2.5L直4エンジンの「QR25DE」を搭載する「250XL」と、3.5L V6エンジンの「VQ35DE」を積む「350XV」「350XV FOUR(4WD)」を設定し、当時の価格は285万6000円から。この初代ムラーノは、日産がその後展開していくキャシュカイ(日本名デュアリス)やジュークなど、クロスオーバーSUV戦略の出発点となったモデルでもありました。
ハリアーとは違う個性を放った初代ムラーノのデザインと走り
初代ムラーノ最大の魅力は、やはりその豊かな曲面で構成されたボディデザインでしょう。北米市場を主戦場として開発されたことで、日本車とはひと味違う伸びやかなプロポーションで、シャープなキャラクターラインと豊かな曲面を組み合わせたボディは、全長4770mm×全幅1880mm×全高1705mmと、当時の国内モデルとしては立派なサイズ感。
2代目ハリアー(全長4735mm×全幅1845mm×全高1670~1680mm)と比較してもひと回り大きく、大径18インチタイヤや存在感のあるフロントグリル、張り出したフェンダーなど、北米らしい力強さを感じさせるデザインも相まって抜群の存在感を放っており、ハリアーとは異なる存在感を放つそのスタイリングは高く評価されました。2004年度にはグッドデザイン賞も受賞しています。
インテリアも「モダンリビング」をテーマに、「ラグビーボールシェイプ」とよばれる楕円形のインストルメントパネルに、本革や本アルミを効果的に組み合わせることで、開放感と上質感を兼ね備えた室内空間を実現しました。
走りにも北米仕込みの考え方が取り入れられており、当時のティアナなどにも採用されていたFF-Lプラットフォームを採用し、低重心でワイドな車体により、高速道路では安定感のある走りを実現。上級グレードには231psを発生する3.5L V6と6速マニュアルモード付きエクストロニックCVTを組み合わせ、4WD車にはエクストレイルにも採用されていた「オールモード4×4」を搭載しました。
セダンのような乗り心地と余裕ある動力性能を兼ね備えており、この高級クロスオーバーSUVらしい快適なロングドライブ性能も初代ムラーノの大きな魅力でした。
ただ、国内販売ではハリアーとの差を埋めることはできなかった
このように、デザインや走りでは高い評価を受けた初代ムラーノでしたが、国内販売ではハリアーとの差を埋めることはできませんでした。
2003年に登場した2代目ハリアーは、月販目標2500台に対し、発売から約1か月で約9300台を受注するなど好調で、2005年にはハイブリッドモデルを追加するなど商品力も向上。高級クロスオーバーSUVとしての地位をさらに確かなものにしていきます。
一方、初代ムラーノの国内における月販目標は1000台。北米では発売から約2年間で累計約8万台を販売するなど高い人気を獲得しましたが、そのまま日本市場で幅広く受け入れられるには、いくつかのハードルがありました。
そのひとつが、北米市場を前提に開発されたパッケージングです。当時のハリアーより全長で35mm、全幅も35mm大きいボディは、当時の国内モデルとしてはやや大柄。フロントノーズを大胆に傾斜させたデザインによって車両感覚をつかみにくいということもあり、日本の道路事情では扱いやすさの面で不利だったと考えられます。
燃費も課題でした。日本向けに設定された2.5L直列4気筒エンジンは、1.6tを超える車重に対して余裕のある動力性能とはいいがたく、アクセルを踏み込む場面が多くなりがちとなることで、燃費性能は伸び悩む傾向。2005年にハイブリッドモデルを追加したハリアーとの差は歴然でした。
北米で生まれ育ったムラーノには、ハリアーにはない魅力がある
それでも、豊かな曲面で構成された流麗なフォルムや、北米らしい伸びやかなデザインは、歴代ムラーノへと受け継がれてきた大切な個性です。
そして2026年、ムラーノは再び日本市場へ戻ってきました。米国生産車をそのまま導入し、日本初採用となる2.0L VCターボエンジンと9速ATを搭載するなど、初代と同様に北米で磨かれた商品力をそのまま日本へ持ち込んでいます。
筆者は、初代ムラーノが日本で発売される少し前、厚木付近で東名高速をテスト走行中のムラーノに遭遇したことがあります。当時の国産SUVとは明らかに違う雰囲気があり、素直に「カッコいい」と感じたことをよく覚えています。
そんなムラーノが再び日本市場へ戻ってきたことには、少なからず感慨があります。北米で生まれ育ったという経緯は当時と同じですが、今回、北米の空気感を色濃く残したまま日本に導入されることは、初代や2代目とはまた違った意味を持つはずです。
はたして約12年ぶりに戻ってきたムラーノが、いまの日本のユーザーにどのように受け入れられるのか。今後の動向に注目したいところです。
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みんなのコメント
日産ムラーノとマツダCX-7が本当にカッコよかったです。
燃費は・・・