梅雨明け後、全国各地で連日、35℃を超える猛暑日を記録している。7月23日の静岡県内では高気圧に覆われ強い日差しが照り付けていて、浜松市天竜区佐久間では今年の最高気温となる41.1℃を観測。この異常な暑さのなか、駐車した車内は一体どれほど危険なのか? 編集部員が実際に車内温度を測定し、体感した恐怖とともに熱中症予防の具体的な対策を詳しく解説する。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock、JAF(引用)
【画像ギャラリー】暑くなった車内の熱気を素早く逃がす方法を写真でチェック!(10枚)
静岡県浜松市天竜区佐久間では今年最高の41.1℃を記録!
今年の暑さは例年以上に暑く感じる。高気圧が日本列島を覆った7月23日、静岡県浜松市天竜区では今年最高となる41.1℃を記録、愛知県豊田市は40.8℃、三重県桑名市は40.7℃、岐阜県美濃市は40.6℃など、国内では3日連続の酷暑日を記録した。
そこで、2024年7月31日、実際にベストカー編集部員が体を張って車内温度を測定する実験を行った結果を再度紹介したい。テストを行ったのは、埼玉県熊谷市。過去の最高気温ランキング(当時)でトップとなる、41.1℃(2018年7月)を記録した「日本一暑い街」だ。
テスト開始は、気温が最も高くなりやすい14時に合わせて13時から行った。その時点の気温は手元の温度計で38.8℃。試験車となるレヴォーグは、エアコンをLOWにしてガンガンに冷やした状態からスタート。まずは1時間放置してみたが、各部の温度は急上昇しており、なかでもインパネ(運転席側)は78.2℃を記録した。
シートの座面も、ルーフのおかげで影になっている後席でも46.7℃と高く、座っていたら熱中症間違いなしの状況となっていたことだろう。
14時を過ぎたくらいから天候は薄曇りとなったため、ボディの温度は低下したが、それでも気温は38.0℃で、密閉性が高く熱くなった空気を閉じ込めている車内各部の温度は、インパネを除き大きく下がることはなかった。
編集部員は、命の危険を感じたようで「60分後に車内に入った瞬間、熱風というよりも“焼けるような空気”を感じた。呼吸がしづらく、数分といられない状態だった」という。
もはや単なる不快感ではなく、命にかかわる危険な環境であることがわかりました。特に高齢者や子ども、体力のない方にとっては致命的なリスクといっていいだろう。
車内に卵を置くとどうなる?
さて、車内がいかに暑くなるかはこれで理解できたのではないだろうか。もし、その車内に人がいたとしたらどうなるだろうか? 今回のテストでは、車内のインパネ、前席中央、後席中央に生卵を置いて、その温度変化もチェック。
ちなみ、人体のたんぱく質は42℃を超えると変性し致命的なダメージにつながるが、卵のたんぱく質は62℃を超えると凝固が始まるとされている。そのため、テストでは目で見て変化がないように見えても、人体に置き換えてみた場合には致命的な温度である。
さて、そんな卵の温度だが、開始直後は最も高いもので20.5℃だったが、1時間経過時には最も日が当たるインパネに置いてある卵の温度が58.9℃まで上昇。薄曇りとなった2時間後でも54.7℃と高い温度となっていた。
そんなインパネの卵を割ってみると、見事な温泉卵状態に。これが人間とすれば、悲惨な状態……。
最終的な卵の温度は、前席中央が45.6℃、後席中央が40.8℃で、卵は変性しなかったが、人間なら2時間も平熱よりも高い状態で放置されることになる。体温調節機能が発達しきっていない子どもでなくても、命の危険がある空間だ。
また、最近のクルマのガラスはUVカットガラスになっているが、それでも紫外線の影響を受けやすいバナナをインパネに置いておくと、わずか1時間で日が当たる上面は真っ黒に……。車内温度だけでなく、紫外線も注意が必要だ。
サンシェードをフロントウインドウに装着しても気休め程度?
日本自動車連盟(JAF)が行った真夏のユーザーテスト(引用)では、炎天下に駐車した車内温度を比較している。気温35度の環境で、対策なしの黒いクルマでは車内最高温度が57度、ダッシュボード温度は79度に達した。これはもはや“灼熱地獄”といっていいレベルだ。
一方、サンシェードを装着した車両では、車内最高温度は50度、ダッシュボード温度は52度だった。つまり、車内全体の温度低下は約7度程度だが、ダッシュボード温度は27度も低下している。
サンシェードは「車内全体を冷やす」というより、「直射日光による熱の蓄積を抑える」効果が大きいのである。特にフロントガラスから入り込む日差しは強烈で、ダッシュボードやハンドル、ナビ画面などを直撃する。その熱が車内全体を温める原因になるため、サンシェードで遮光する意味は確実にある。
特に最近のクルマは、大型ディスプレイや電子制御部品が多い。高温環境はスマホや車載電子機器にも悪影響を与えるため、単なる快適装備ではなく、“機器保護”としても有効だ。
とはいえ、JAFも「サンシェードだけでは車内温度上昇を防げない(引用)」と明言している。実際、サンシェードを付けていても車内温度は52℃に達している。
つまり、「サンシェードを付けたから子どもやペットを車内に残しても大丈夫」という考えは極めて危険だ。JAFのテスト(引用)では、エアコン停止後わずか15分で熱中症危険レベルに達したという結果も出ている。
サンシェードはどれほど効果があるのか? ここで2つの指針を紹介しておこう。「遮光率」は太陽の光(可視光線)を遮る割合、「遮熱率」は熱(太陽熱)を跳ね返す割合を指す。光を遮っても熱が通過すると室内は暑くなるため、車内の温度を上げないためには熱を反射・吸収する「遮熱率」のほうが重要だ。
JISが定める遮熱率のレベルは、最高ランクの「S65+(65%)」をクリアすると高い効果が見込める。その下は高性能レベル=S55(55%以上~65%未満)、優秀レベル=S45(45%以上~55%未満)、基準=S35(35%以上~45%未満)と数値が高いほど性能が優れている。この遮熱率65%をクリアしているサンシェードを装着するのをおススメだ。
加えて、意外にもフロントウインドウのサンシェードを取り付けただけのクルマが多いが、後席のスモークフィルムや後席サイドウインドウシェードを活用することで日差しを遮り、温度上昇を抑えることができる。
特に小さな子どもや高齢者を後席に乗せる場合は、安全のためにもこうした対策を取り入れることをおススメだ。
最近は、工具不要で装着できる吸盤式シェードや、車種別のサイドウインドウシェードが販売されており、効果的。UVカット率99%以上の高性能フィルムも普及しており、誰でも簡単に導入できる。
暑くなった車内を素早く冷やすには
日本自動車連盟(JAF)が行った実験(引用)によると、外気温35℃の状況で閉め切った車の車内温度は、30分後に約50~55℃、ダッシュボード表面は70℃以上にも達したとのこと。小さなお子さんやペットの熱中症リスクも非常に高く、特に注意が必要。
1/まずはドア開け・窓開けで換気!
クルマに乗り込む前に、運転席と助手席のドア、可能なら後席ドアも全開にして空気を通したほうがいい。もっと効果的なのは、「助手席の窓を開けて運転席のドアを10回ほど開け閉めする」方法。空気の入れ替えが素早く進み、熱気を外に押し出すことができる。
2/エアコンは「外気導入+強風」が基本
乗り込んだ直後は、エアコンを“外気導入”モードで最大風量に設定し、熱気を排出するのがポイント。その後、温度が下がってきたら“内気循環”に切り替えることで、冷えた空気を効率よく循環させられる。
3/走り出してから窓を少し開ける
走行風を利用して熱気を逃がす方法も効果的。運転開始から2~3分間は、前後の窓を数センチ開けておくと車内全体の熱気が外に流れ出る。
4/サンシェードの活用
駐車時にはフロントガラスにサンシェードを設置しておくことで、直射日光を遮断し、ダッシュボードやハンドルの表面温度の上昇を抑えられる。
とはいっても過信は禁物。サンシェードは見た目は効果がありそうですが、車内温度は対策なしに比べて、たった2度しか下げることができない。それほど車内温度の低下を期待できないものの、ダッシュボードやハンドルが火傷するほど熱くなることを効果的に防止してくれる程度と認識しておきたい。リアガラス用やサイド用のサンシェードも活用すれば、全体的な熱遮断効果が向上する。
5/シートやハンドルカバーも有効
特に黒系シートや革シートは熱を吸収しやすいため、タオルや専用カバーで保護しておくと、乗車時の「アツッ!」が軽減される。
ちなみにJAFの試験によると、車体に水をかけたり、冷却スプレーを使う、ドアをパタパタして車内温度を下げる……といった巷のウワサを検証した結果、いずれも車内温度を大きく下げる効果は期待できなかったそうだ。
ここまで紹介してきた通り、車内の熱気対策は「遮熱」「換気」「冷却」の3要素を組み合わせることで、より高い効果を発揮します。単独で使うよりも、複数の対策を併用することで、真夏の車内環境は大きく改善される。
車内温度が充分下がって外気温よりも低くなったところで「内気循環モード」に切り替えることでエアコンコンプレッサーへの負荷が軽減され、燃費向上にもつながる。
たとえば、サンシェードと窓開け走行、エアコンの外気導入の3つを実践するだけで、乗車直後の不快感が劇的に変わるはず。ポイントは「乗る前の一工夫」。これだけでドライバーと同乗者の快適性が段違いになる。
実際に筆者も真夏の取材で、駐車中のハッチバック車にサンシェードと換気ファンを併用し、乗車前に助手席窓を開けて運転席ドアを10回ほど開け閉めしたところ、乗車直後の体感温度が格段に違った。車内のモワッとした熱気が消え、エアコンの効きも早まった印象。
こうした実体験を通じて感じるのは、どんなに便利な装備や用品でも、ちょっとした工夫と知識の有無で快適性に大きな差が出るということ。暑さが本格化するこれからの季節、ぜひ実践してみてほしい。
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
なぜ韓国人は「日本」を何度も訪れるのか? 訪日経験者の78.8%がリピーター! 旅行を繰り返す人たちに何が起きているのか――変わり始めた「日本旅行」とは
ロシア海軍の拠点が「大炎上」夜空を切り裂く爆発の瞬間を捉えた映像が公開 ウクライナ軍が大規模攻撃
絶望的にも見えた赤字からすぐに黒字化したホンダと日産! 日本の自動車メーカーに何が起こっている?
トヨタ「カローラクロス」一部改良モデル 注文殺到で「受注停止」に 販売店の状況はどうなっている?
「103万円安いのはありがたい」 トヨタ新型「クラウン・セダン」SNSで好評! 新グレード「G」の追加を歓迎する一方でパワートレーンには注文も
ストロールのFP2のトラブルは、バッテリーに異常なデータ……ホンダ折原エンジニア「HRC Sakuraで詳しく解析する」
欧州で益々高まる日本の軽自動車への人気 ホンダ スーパーNだけでなく、彼らはダイハツ ハイジェットのようなミニバンも欲しがっている!
ホンダF1「新サーキットの路面変化を踏まえてPUセッティングを最適化」ストロールは走行を早期終了、バッテリーのデータに異常
指定空気圧は“絶対”じゃない! 季節や荷物で変えるべき「タイヤ空気圧」究極の0円チューニング術
出発が24分早くなった寝台特急「サンライズ」利用実態は? あえて「1号車1番」を選択 一方で車両に忍び寄る「限界」
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント