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【PHEV版登場】 DS 7クロスバック Eテンス 環境性能も走行性能も最良のDS

掲載 更新
【PHEV版登場】 DS 7クロスバック Eテンス 環境性能も走行性能も最良のDS

最も環境に優しく、最も俊足なDS

text:Simon Davis(サイモン・デイビス)

【画像】DS 7とDS3のEテンス/アウディQ5 全72枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


個性的なフランスブランドのDSのフラグシップモデルとなるDS 7のEテンスは、DSシリーズの中で最も環境に優しいだけでなく、最も速い足の持ち主でもある。これまでの概念で考えると少し矛盾しているように思えるけれど。

DS 7クロスバックEテンスは、DSとしては待望のプラグイン・ハイブリッドを搭載した4輪駆動モデル。0-100km/h加速は5.9秒でこなしつつ、WLTP値での二酸化炭素排出量は33g/km、燃費は83.1km/Lとすこぶる良い。

SUVのプラグイン・ハイブリッドモデルは一気に一般的になりつつあり、優れた実用性や走行性能に惹かれる読者も多いだろう。ボルボXC60 T8やアウディQ5 TFSIeなども、スペック上は7クロスバックEテンスに並ぶ優れた環境性能を備えている。

一方で、バッテリーの充電量をうまくドライバーが管理できないと、実燃費は10km/Lを切ってしまう可能性があることを、最近の試乗で経験している。7クロスバックEテンスも同様だ。

搭載されている技術は、特に目新しいものではない。フロントに搭載されるのは1.6Lの4気筒ガソリンターボ・エンジン。PSAグループで共有されるユニットで、最高出力は200psに設定。そこに110psの1基目の電気モーターが組み合わされ、8速ATを介して前輪を駆動する。

もう1基の110ps電気モーターが後輪を駆動することで、4輪駆動としている。この3つの駆動源により、システム総合で300psと45.8kg-mを発生する。

気になるモーターとエンジンのバトンタッチ

電気モーターのエネルギー源となるのは、13.2kWhのバッテリー。床下に搭載され、リアシートや荷室の容量は犠牲になっていない。DSによれば、電気モーターだけで54kmから64kmまでの距離を、128km/hまでのスピードで走行できるという。

パワートレインの動きは、好奇心を掻き立てられる。低速域や低負荷時では、EVのようにスムーズで粒の揃った加速が味わえる。バッテリーをこまめに充電し、モーターの力だけで走行できるのなら、走りはかなりスムーズだ。スピードや加速度は控えめにする必要があるが。

しかし、少しアクセルペダルを深く踏み込んで4気筒エンジンが目覚めると、様子が違ってくる。まず、モーターからエンジンへ主役がバトンタッチする仕草が、シームレスではない。

1.6Lガソリンターボが主な役割を引き受け始めると、明確にパワー感が増加する変化を感じ取れる。洗練性も高いとはいえない。エンジンが穏やかに回転していても、振動がステアリングホイールに侵入し、アイドリング状態でも存在感のあるサウンドを聞かせてくる。

アクセルペダルを深く踏み込み、ATにキックオフを促すと、少し躊躇する傾向もあるようだ。ただし、今回の試乗車は量産前の段階だった。PSAグループのエンジンはしとやかで機械的に優れた傾向が高いから、今後ディーラーに届くまでに修正される可能性はあるだろう。そう期待したい。

少なくとも現状では、価格的に近似するアウディQ5 TFSIe並みの上質さには届いていないように感じた。

乗り心地やステアリングも要改善

もう一つ、乗り心地も気になった。DS 7クロスバックは以前から柔らか気味の乗り心地で、評価できるものではなかった。今回のEテンスでは、2基のモーターとバッテリーが追加されたことで400kgも車重は増加。良い影響は及ぼしていない。

高速走行時は増加した質量により、上下動をサスペンションがうまく抑えきれない様子。特に波打ったような路面では、振動が増幅される傾向にある。

減衰力は本来望まれるものほど煮詰められておらず、鋭い入力があると車内にそれを伝えてしまう。荒れた路面では、ロードノイズも小さくはない。

コーナリングでは明確にボディロールが発生し、フロントタイヤのグリップ力は不足気味。ステアリングの反応は鈍い反面、操舵感はとても軽いから、コミュニケーションも取りにくい。カーブの続く道を自信を持って走らせる、という気持ちにはなりにくい。

アウディQ5の場合はグリップ力は高く、明瞭で機敏なステアリング設定が、軽くない車重を補ってくれている。

インテリアデザインは、アウディとは一線を画す明確なアイデンティティを備えている。だがこちらでも、素材の上質さや組み立て品質では、定評のあるアウディには及ばない。

試乗車にはパノラミック・サンルーフが装備されており、ヘッドルームが広々とはいえなかったが、足元の空間は悪くない。荷室容量は555Lあり、アウディQ5の395Lと比較するとだいぶ大きく感じられる。

量産までの解決に期待

量産前の現段階で、DS 7クロスバックEテンスを多くの読者にオススメすることは、少々気が引ける。同じプラグイン・ハイブリッドを搭載するSUVとして、アウディQ5 TFSIeの方が多くの面で優れている。数歩先をゆく感じだ。

価格を比較すると、ややDS 7の方が手頃ではある。最も人気となるであろうトリムグレードのパフォーマンスラインの場合、英国では4万7725ポンド(668万円)。一方で299psのアウディQ5 TFSIeは、4万9735ポンド(696万円)からとなっている。

ただし今回の試乗車は、トップグレードのウルトラ・プレステージ。価格は5万6075ポンド(785万円)と、少々受け入れがたい金額だった。

2025年までに、DSはすべてのモデルを電動化技術を搭載したものにすると表明している。今後量産までに細かな調整を受け、上質さを高めることを期待したい。英国での試乗までに、まだ解決するべき項目は少なくなさそうだ。

DS 7クロスバックEテンス・ウルトラ・プレステージのスペック

価格:5万6075ポンド(785万円)
全長:4573mm
全幅:1906mm
全高:1625mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:5.9秒
燃費:83.2km/L(WLTP)
CO2排出量:33g/km(WLTP)
乾燥重量:1825kg
パワートレイン:直列4気筒1598ccターボ+ツインモーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps(システム総合)
最大トルク:45.8kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック

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