エンジンを長持ちさせるために、1週間に1回とかあまり乗らないほうがいいのか? またエンジンを労わるということを考えると、あまり回転を上げす高回転まで回さないほうがエンジンが長持ちするのか? 実際のところはどうなのか解説していきたい。
文:ベストカーWeb編集部、写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真:Adobe Stock@Chepko Danil)
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クルマは乗らないほうが長持ちする?
クルマは購入したものの乗る暇がなく、走るのは休日の週1回。場合によっては月1回なんて人も多いことだろう。そんな使用状況でもバッテリーが生きているかぎり、普通に動いてしまうが、「少しでも長持ちさせたい」と考えた場合、注意が必要だ。年数を経過したときの各部のヘタリ具合に差が出てくるからだ。
ほぼ毎日、クルマを走らせているタクシーの寿命はしっかりオイル管理やタイミングベルト交換をしていれば40万~50万km。そのタクシーのクルマの入れ替え時が、もっとも頑丈なデフレンシャルギヤが壊れたときとのことで、クルマ本来の寿命はかなりある。
距離を走れば当然、消耗品の交換も必要となり、業務車両の場合、それなりのメンテも行われているがゆえ……と捉えることもできる。しかし、一定のコンディションを維持できる最大の要因は「コンスタントに走らせている」という点にある。ただし、一般車両は先にボディにガタがくる。
定期的に身体を動かしていた人が日々のトレーニングを怠ったり、ケガや病気で長期間入院したりすると元のペースでは動けなくなり、復帰のためのリハビリに多くの時間が必要となる。
これはクルマも同様で、動かさずに置いておくだけという状況が、もっともコンディションを悪化させる原因となる。機械物は「動かさずに置いておく」と動きが渋くなり、スムーズに動かせなくなる。
単純な機械でさえ、そんな傾向にあるだけに、何万というパーツが組み合わさっているクルマの場合、多方面に影響を及ぼすことになるからだ。
例えば、粘度のあるオイルといえども時間が経てば垂れ落ちるため、エンジンオイルやミッションオイルは潤滑面から流れ落ちてしまい、回りが重くなる。そんな状態で無理に回せば、エンジンやトランスミッションを傷めることも。
ガソリンも流れていることで新鮮さを保っており、滞留させると腐り(揮発成分が蒸発して異様な臭いを発するようになる現象で、燃料系の詰まりや燃焼不良の原因となる)やすくなる。
川の水は常に流れているからきれいなのであって、流れが止れば澱んで濁ってくる。それと同じだ。また、冷却水ホースやブレーキホースといったホース類、オイルシールなどのゴムパーツは動かさずに置いておくと、変形したまま硬化。
ヒビ割れやすくなったり、シール面が回転に追従しきれなくなってオイル漏れを起こすようになる。
熱がかかって柔らかくなり、絶えず揉まれて伸び縮みすることで弾力を保っているからで、長期間放置すればタイヤも変形する。駐車中、荷重が一点にかかりきったままとなるからだ。このようなクルマの倦怠感、筆者も実際に経験している。
1~2週間クルマに乗れないことがたまにあるが、このようなときの最初の走り出しはエンジンの回りが重く、突然のトラブルに見舞われるケースも多いのだ。
このため、「長期間、乗らずに置いておくなら1週間に1度くらいはエンジンをかけたほうがよい」と、よく言われる。これは正しくもあり、間違いでもある。エンジン以外の足回りなどのリハビリも必要で、実際に走らせなければ意味がないからだ。
だからといって、ただ走ればいいというものでもない。エンジンオイルには燃焼室から吹き抜けた燃焼ガスも混ざり込むため、十分暖まって燃焼が安定する前にエンジンを止めてしまうと未燃焼ガスが混入。これはエンジンオイルを劣化(粘度が低下する)させることになるので、近所への「ちょい乗り」はクルマのためにはならない。
1週間以上動かしてなかったら最低30分、距離にすれば往復15km、片道6~7kmくらいは走らせる必要がある。
どのくらいのペースでクルマを走らせればいいのか?
では、長持ちさせるためにはどれくらいのペースで走らせればいいのだろうか? 耐久性が格段に増している近年のクルマであれば「年間1万5000km」。「1カ月1250km前後」を目処に、あまり日数を空けることなく(長くとも1週間)コンスタントに走らせれば、一定のコンディションは維持できるだろう。
ただし、油脂類と消耗パーツの適切なサイクルでの定期交換は必須で、これが絶対条件となる。また、長持ちしたとしても、スムーズに気持ちよく走れなければ、乗っていてストレスが溜まるため、走らせ方にも注意が必要だ。
例えば、エンジン回転を抑えてトロトロと走るだけで、アクセルをガバッと開ける走りをしなかったクルマのエンジンはヘンな回り癖がつく。回さずにいると燃焼室内にカーボンが堆積してやすくなるからで、吹け上がりがもたつく感じとなり、高回転域の伸びも悪くなってくるのだ。
無理な負荷をかけなければ回したことが原因でエンジンがヘタることはないので、たまには目一杯、引っぱって加速するなど、メリハリのある運転をすることが大切だ。
クルマを労わるならエンジンを高回転まで回さないほうがいい?
クルマを長持ちさせたいと考えると、多くの人は「低回転で優しく運転することが大切」と考えるでしょう。確かに過度な負荷や高回転の連続はエンジンの摩耗を招く。しかし一方で、街乗り中心で2000rpm以下しか使わない運転では、エンジン内部にススやカーボンが堆積し、逆に調子を悪くしてしまうのも事実。
実際のところ、「毎回高回転まで回す必要はない」が「全く回さないのもよくない」というのが答えに近い。
実はピストンが上下する速さでいえば、その頃のスポーツエンジンに負けないくらい、今のエコカーのエンジンのほうが攻めている。さすがにホンダのタイプR系NAエンジンのように8400rpm以上回るエンジンとなると別だが、高性能車でも7500rpmあたりがレブリミットであれば、平均ピストンスピードは20m/sあたりに収めるように設計されるのが常識。
ところがトヨタのダイナミックフォースエンジンA25FKS型(RAV4などに搭載)は、6600rpmで22.7m/sに達している。そのためピストンの軽量化やフリクション対策はまるでレーシングエンジン並みの仕様に仕立てられている。このエンジンは従来に比べ、ロングストローク化が図られているからです。ちなみに最高レベルのピストンスピードと言われたS2000前期型のF20Cは23.2m/s。
高回転性能も兼ね備えたエンジンだが、そのポテンシャルを最大限に引き出し、かつエンジンの耐久性を維持するには、カーボン除去を目的とした適度な高回転の使用と、適切なオイル管理が欠かせない。
ではエンジンを高回転まで回した場合のメリットとデメリットを紹介しよう。
■メリット
・油圧が高まり、オイル経路のスラッジ堆積を防ぐ
・高燃焼温度が維持され、カーボンやデポジットが焼却されやすい
・エンジン内部の動きがスムーズになり「調子が良くなった」と感じられる
■デメリット
・燃費が悪化しやすい
・燃料が濃い状態での加速ではデポジットが逆に堆積する可能性もある
・高回転常用は摩耗リスクを増やす
編集部まとめ
では最後に10万km・20万kmを目指す上で、どう走ればいいのだろうか?
・月に1度は高速道路を走る
合流加速時に3000rpm程度までしっかり回し、その後は巡航で燃焼温度を一定に保つ。これでデポジットを軽減可能。
・短距離走行ばかりを避ける
エンジンが十分に温まらないうちに停止を繰り返すと、カーボン堆積が進む。週末に長めのドライブ、高速道路での巡行がオススメ。
・ディーゼル車の場合
低回転域ばかり使っているとPM(粒子状物質)が溜まりやすく、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の再生が滞ることも。時々3000rpm前後まで回すことが、エンジンの健康維持につながる。
昔はキャブレター時代のクルマはたしかに高回転までぶん回さないとダメということがありましたが、今日の電子制御でダイレクトイグニッションのエンジンには、そうした儀式は不要。
油圧を高めて、油圧経路のスラッジの堆積を防ぐのがエンジンを回すメリットといえる。したがって、中回転域と言える3000rpmあたりまで回せば十分。それよりも軽負荷の燃焼を一定時間続けることが大事。理想は、高速道路でのクルージング。
月に1度くらいは高速道路を走り、合流時にはしっかりと加速してエンジン回転を高め、その後は巡航することで、燃焼温度が高めな燃焼を続けるになり、カーボンやデポジットを軽減させることができる。
筆者自身、高速道路を走行し、インターチェンジを降りた瞬間に「エンジンが軽くなった」と感じる経験を何度もしているのでぜひ試してほしい。
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みんなのコメント
古いクルマを大事に長く乗ると、自動車税や重量税が割り増しになるという理不尽な制度。
政官財の癒着や利権を無くすことが第一。
再度駐車して同じ場所に加重が掛かる事は確率的には低い。