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街乗りをナメてはいけない! レーシングドライバーが伝授する本当に役立つ公道での運転の極意とは

 Gの変化をいかに滑らかにするかがポイント

 よく市販車のテストをサーキットで行うと、「一体何の意味が?」と疑問を問いかけてくる人がいる。サーキット走行は限界特性を試すのに好都合だが、それだけではない。そのクルマのコントロール性、いわゆる「意のまま性」を試すこともできる。「意のまま性」とは、その走行条件でもっとも必要な動きをドライバーが自由に引き出すことができる、ということでもあり、それはそのまま市街地走行にも役立つ。

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 たとえば減速させたいときにブレーキを踏む。その操作にクルマが思ったとおりに応えてくれるのか。もしかしてブレーキが高温になりフェード現象を起こしていたら踏力に応じた減速力を引き出せないかもしれない。加速時に踏み込むアクセル操作、コーナリングで切り込むステアリング操作などにも同じように期待どおりの反応を求めたいものだ。

 とくに、ただサーキット一周を速く走ればいいだけなら「意のまま性」よりも「限界値の高さ」だけが重要になるが、速いラップで継続して走り続けるには性能の安定性が重要になってくる。そこで我々レーシングドライバーはクルマを常にコントロール下に置き「意のまま」に操れるようにするために独特なテクニックを心得ているのだ。エンジン、ブレーキ、ステアリング系(タイヤ)が安定して性能を発揮できるように、性能をバランスよく使いわけている。

 専門的に言うとブレーキは熱容量を超えないように、タイヤは摩耗特性と内圧変化を抑えるように、エンジン出力はトルク変動を小さく抑える回転数で繋ぐ、など。

 難しい表現に感じるかもしれないが、噛み砕いて言うと「急」の付く操作を避ける、ということになる。急加速、急減速、急ハンドルをしないように、という運転方法はじつは一般道でも役に立つ。教習所でもそのように教わった人は多いのではないだろうか。

 急の付く操作かどうかは「G変化」によって判断することができる。急ブレーキを踏めば制動Gが急激に立ち上がる。急加速では加速Gが、急ハンドルでは旋回G(横G)が急激に変化している。だから自分のなかのGセンサーを敏感にして、いかにG変化がスムースで自然に感じられるようにクルマを走らせるかが重要なのだ。

 スムースな街乗りにはサーキットと同様のスキルが必要

 このG感覚を意識した運転技術こそが市街地でも役に立つ。スムースで急なG変化を起こさない運転ができる人は「運転が上手い」と思われやすい。

 ただそれを意識しすぎると、ただただ速度を控えめにしてゆっくり走ればいい、と考えがちだ。レーシングドライバーが特殊なのは速度に関係なく速いスピード域でも「急激なG変化」を抑える運転テクニックを心得ているところにある。

 その基本になるのは「フラットライド」という車両姿勢を維持すること。加減速やコーナリング時に車の姿勢が過剰にピッチングしたりローリングを起こしたりしないよう、常に停止している時と同じく地面にフラットな姿勢となるようにコントロールするのである。

 クルマには重心を中心にX軸、Y軸、Z軸を軸としたヨー、ロール、ピッチという動き(姿勢変化)がある。この動きをなるべく抑えるように運転することで「フラットライド」を保つことができる。ブレーキを強く踏み込めばノーズダイブを起こしピッチングが起こるのは誰でも体験しているだろう。

 コーナーでは車体がロールするし旋回中はヨーが発生している。ヨー、ロール、ピッチはGが発生することで起こるのでGを抑えるように運転するのだが、速いスピードでそれを行うのは極めて難しい。高速からブレーキングではアクセルを抜いて加速を停止し、ブレーキをジワリと踏み込んで制動Gを立ち上げつつシフトダウンによるエンジンブレーキを併用し、ブレーキだけに大きな負荷をかけないようにする。

 その一連の操作をスムースかつシームレスに行い、フラットな姿勢を保てる範囲において強弱を使いわけている。加速や旋回も同じことが起こっているわけでレーシングドライバーは常に全方位に細かなGセンサーを広げて感知する努力をしている。

 助手席の同乗者に、スムースで、快適な、くつろげる運転、と感じてもらうにはドライバーは繊細な運転操作に集中し、サーキットを走るのと同じセンシング能力と操作スキルを発揮させ続けなければならない。それは決してラクではないし助手席のパッセンジャーとは違い、汗をかくほど真剣にドライビングしていることになる。

 フラットライドコントロールをラクと感じさせてくれるクルマこそが「意のまま」になるクルマとも言え、市街地をスムースでスマートに走るテクニックが活きてくるのである。

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