前日とは打って変わり分厚い雲に覆われた富士スピードウェイ。気温8度、路面温度13度と今シーズンの中で一番寒いコンディションでレースがスタートした。
このコンディションを考慮して当初はフォーメーションラップを2周行なう予定だったが、予想以上に気温と路面温度が低くなったこともあり、さらに1周フォーメーションラップが増やされ、65周でレースが争われた。
■RAYBRIGブランド終了に伴い、”RAYBRIG NSX-GT”今週末ラストラン。チームは活動継続
シグナルがブラックアウトすると、ポールポジションの#37 KeePer TOM’S GR Supra(山下健太)がトップで1コーナーを通過したが、そこに#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン)、#36 au TOM’S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ)も接近。ヘアピンでは三つ巴のバトルが展開された。さらにその後方から6番手スタートの#23 MOTUL AUTECH GT-R(ロニー・クインタレッリ)が猛烈な追い上げてくると、ダンロップコーナーで一気にGRスープラ3台を抜き去り、トップに浮上した。
3周目には36号車と39号車がGRスープラコーナーで接触。39号車はマシンの左サイドを破損したことで緊急ピットインを余儀なくされ、クラス最後尾に後退した。
1周目の快進撃でトップに浮上した23号車。そのまま後続との差を広げにかかろうとしたが、37号車の山下はタイヤが温まり始めたのかペースアップ。徐々に差を縮めていき、7周目の1コーナーで逆転に成功した。追い抜かれてしまった23号車はなかなかペースを上げられず、その後も順位を落としていく苦しい展開となってしまった。
トップに立った37号車は順調にリードを広げていき、16周目には11.8秒ものアドバンテージを築き独走状態となった。2番手には36号車が続いていたが、それに迫ったのが#100 RAYBRIG NSX-GT(牧野任祐)だった。20周目に36号車を抜いて2番手に浮上し、37号車との差を詰め始めた。
レース3分の1である22周目を終了したところで、いち早くピットストップを行なったのが100号車。牧野から山本尚貴に交代したのだが、同じ周でピットに入った#14 WAKO’S 4CR GR Supraがタイヤ無交換作戦を実施したため、先行を許してしまった。14号車は翌周にピットインした37号車がアウトラップを走っている際にオーバーテイク! 一気にトップに浮上した。
しかし、なんとかタイヤ無交換でゴールまで走り切る作戦だった14号車の坪井翔はペースが上がらず、37号車、36号車、100号車の先行を許すこととなった。その際、31周目の1コーナーで36号車(関口雄飛)と接触してしまった影響でマシンが破損。しばらくは走行続行を試みたが、最終的にマシンをガレージに戻しリタイアとなった。
トップを奪い返した37号車は後半スティントを担当した平川亮が安定したペースで周回を重ね、一時は2番手の山本に対して16秒ものリードを築いた。これで勝負ありかと思われたが……山本は少しずつペースを上げ、平川との差を徐々に縮めていった。
山本は1周1秒ずつのペースで縮めていき、残り10周を切った段階でその差は6秒に。山本はさらに追い上げていくと、残り3周で2秒後方にまで近づいた。もちろん平川もこれに気づいており、最後はスパートをかけて、2秒のリードをキープしたままファイナルラップへと突入した。
これで37号車のチャンピオン決定かと思われたが、最終コーナーを立ち上がったところで37号車がガス欠で突然スローダウン。まさにゴールラインの直前で100号車が逆転を果たし、トップチェッカー。2020シーズンのシリーズチャンピオンを勝ち獲った。
2位には37号車が入ったが、メインストレートでマシンを止め、平川は悔し涙を流した。3位には36号車が入り、今季3度目の表彰台となった。
レースウィーク開幕前には“RAYBRIGブランドの終了”に伴い、長年親しまれてきたレイブリックブルーのカラーリングがなくなることが発表されたのだが、その最後を飾るにふさわしい勝利、そして戴冠となったと言えるだろう。
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