155由来エンジンのホットハッチ
text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)
世界的に名を馳せる、カーデザイナーのクリス・バングル。成功は間違いないが、その作品は好き嫌いを二分するものでもある。
フィアット・クーペ、BMW Z8、ロールス・ロイス・ファントム。クルマ好きがスタイリングの話しを始めたら、意見は大きく別れてしまうだろう。一方で彼の初期の作品、アルファ・ロメオ145なら、否定的な意見は少ないはず。
低く姿勢を整えたプロポーションは、もともとはランチア・デルタとしてデザインされたもの。成長の勢いがあったファミリー・ハッチバック市場へ、トリノ・ブランドがリリースを計画。4年をかけて開発されたモデルだ。
いま見かける同年代のフォード・フィエスタやオペル・コルサと比較すると、アルファ・ロメオ145は台数がはるかに少ない。しかし容姿は優れ、クルマ好きはその存在をちゃんと理解している。
特に145で狙いたいグレードが、四つ葉のクローバー、クアドリフォリオ。自然吸気の2.0L 16バルブ4気筒ツインスパーク・エンジンは、一回り大きいアルファ・ロメオ155と共有する。
可変バルブタイミング機構を備え、初期のクルマで150ps、後期のフェーズ2で155psを発揮。トランスミッションは5速MTで、前輪を駆動した。
0-100km/h加速時間は、当時としては優秀だった8秒ちょっと。最高速度は207km/h。1.5Lのマツダ・ロードスターといい勝負をする数字だった。
希少性は高いものの価格は手頃
シャシーは、当時の自動車評論家から高い評価を集めた。標準の145の、フィアット・ティーポ譲りのサスペンションはアップグレード。機敏なターンインを得つつ、トルクステアを最小限に抑え、FFホットハッチとして異例なほど優れた特性を獲得している。
ダッシュボードのデザインはやや古く、着座位置も高め。しかし、紛うことなきドライバーズカーだった。現在でも残る状態の良い145は、希少性から注目度も高い。
ホットハッチが多い英国でも、アルファ・ロメオ145クアドリフォリオの残存台数はわずかに270台程度。同時期の3代目フォルクスワーゲン・ゴルフGTIは約4000台だから、その差は歴然だ。
見つけるのは難しい。しかし価格は、まだ手に届く範囲にある。
AUTOCARでも、1990年代のホットハッチの希少な選択肢として、2010年に試乗。走行距離26万5000kmも走った145の動的性能に、感銘を受けている。厳しいコーナリングで、フィラーキャップからガソリンが滲んでいたけれど。
2010年以降、近年まで取引価格に大きな変化はない。希少性は高まっているのに、145クアドリフォリオは、英国なら1500ポンド(20万円)程度から見つけられるのだ。
ガレージに収まる145は、とても見栄えが良い。しかし適切なメンテナンスを怠ると、そこから動いてくれなくなってしまう。注意して車両選びをしたいところだ。
不具合を起こしやすいポイント
エンジン
専門家は、5万8000kmか、3年毎のタイミングベルト交換を推奨している。始動時にディーゼルエンジンのようにガラガラうるさい場合、カムバリエーターを同時に交換した方が良いだろう。
ツインスパーク・エンジンはオイルを消費する。しかし過度の消費は懸念材料にもなる。
ボディ
赤いボディは退色が進む。一部分だけ塗り替えると、2トーンに仕上がってしまう。錆びるのは日当たりの悪い部分。フロアパンとサイドシルのジョイント回りなど。
スペアタイヤの収納部分やリアシートの足元、フロントバンパーのマウント付近も、錆びやすいポイント。
電気系統
運転席側のエアバッグ・センサーが故障すると、警告灯が点きっぱなしに。逆に警告灯がすべて付かない場合、電球が外されていることも。
パワーウインドウは、経年劣化で動きが悪くなり、ランナーから外れてしまう。しかし、適正な潤滑油を補充すれば、動きを回復してくれる。
サスペンションとステアリング
フロントのウイッシュボーンが劣化すると、タイヤの偏摩耗につながる。リア側では、ラジアルアーム・ベアリング付近の汚れを確認し、試乗で動きを確かめる。フワついた乗り心地の場合、ショックアブソーバーの交換時期。
トランスミッション
MTは、経年劣化でフィーリングが悪化する。激しい運転を繰り返されている場合、リビルトの必要性も出てくる。変速時に、引っ掛かりや曖昧なゲート感がないか確かめる。
中古のMTは出てくるが、初期のフェーズ1と後期のフェーズ2は仕様が異なる。交換時には気をつけたい。
知っておくべきこと
1997年から、ツインスパーク・エンジンは145ラインナップ全体に導入。さらにトップグレードのクアドリフォリオ譲りとなる、スポーティなサスペンションとステアリング、ブレーキ、シートを獲得した、1.8Lモデルが投入された。
いずれも非常に珍しい一方、価格は手頃なまま。クアドリフォリオ独自のアルミホイールはつかないが、魅力的な145でもある。
専門家の意見を聞いてみる
イアン・スタンパー オートブリタリア代表
「ここ最近、アルファ・ロメオ145は目にしていませんね。良いクルマだっただけに残念です。しかし、よく錆びます。サビはドアシールを原因に、リアアスクル・マウント付近から始まります」
「アルファ・ロメオらしく、進行に一貫性はありません。すべてのクルマが、同じ場所で錆びるとも限りません。錆びないクルマも、実際あるんです」
いくら払うべき?
500ポンド(7万円)~999ポンド(13万円)
走行可能でも、沢山の時間とお金をかけた修理が前提。ひどく錆びたクルマは避けた方が良い。
1000ポンド(14万円)~1999ポンド(26万円)
車検取得には、いくらかの整備が必要な145。ボディの退色や、純正ではないアルミホイール、インテリアの傷みなどには注意したい。
2000ポンド(27万円)~2999ポンド(40万円)
よく整備され、タイミングベルトの交換歴も比較的新しい、状態の悪くない145。
3000ポンド(41万円)以上
コレクターが大切に乗っている145。走行距離が短く、サビが少なく塗装の状態も良い。
英国で掘り出し物を発見
アルファ・ロメオ145クアドリフォリオ 登録:2000年 走行:16万7300km 価格:3995ポンド(54万円)
後期型のクアドリフォリオ。走行距離は16万kmと短くないものの、ボディの締りは良い。レザーシートに破れはなく、ホイールのガリ傷も残っていない。
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