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プールにどぼん! クラッシュテスト車を展示! タイで鈍化するBEVブームに中国メーカーが取った策は「安全性アピール」

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プールにどぼん! クラッシュテスト車を展示! タイで鈍化するBEVブームに中国メーカーが取った策は「安全性アピール」

 この記事をまとめると

■トレードショー色が強いバンコク国際モーターショーでの中国メーカーの出展に注目

BEVの大幅値下げによる乱売で中国メーカー車に対するユーザー離れの恐れがあるタイ! 遅いと言われる日本のBEV普及スピードこそが健全な姿

■GWMは衝突試験車を展示し、安全性と火災への懸念払拭を狙う

■BEVに慎重なタイ市場で、水害や火災対策をどう伝えるかがカギとなるかもしれない

 バンコクなどアジア特有のトレードショースタイル

 2025年3月26日から4月5日の会期にて、タイの首都バンコク郊外で開催された「第46回バンコク国際モーターショー」の会場を歩いていると、中国GWM(長城汽車)ブースに、衝突試験を行い、フロント部が派手に損傷したコンパクトハッチバックBEVのグッドキャットが展示されていた。

 会期中に積極的に新車を販売するトレードショーに特化したのがバンコクモーターショーなので、タイ国内初披露ぐらいはあるものの、ワールドプレミアや「初出しコンセプトカー」というものは会場内ではほとんど存在しない。

 たとえば今回なら、三菱自動車はショー開幕直前に、新興国向けコンパクトクロスオーバーSUVとなる「エクスフォース」のハイブリッド仕様追加を発表している。こうして開幕前に新型を発表し、ショー会場で事実上の「初公開」とすることで会場により多くのユーザーに来てもらい、販売促進につなげようというのが一般的な流れとなっている。

 しかし、あくまで筆者が見ていての話となるが、中国系ブランドはバンコクモーターショーをジャパンモビリティショーのような、「展覧会」と勘違いしているように思えてならない。正式開幕に先立つプレスデーでのカンファレンスでは積極的に新型車を発表するのだが、バンコク国際モーターショーの性格を考えると、前述した三菱のやりかたのほうが正しいように見える。

 バンコクモーターショーでは、新車を売りたいがために、購入見込み客にディーラーが無料招待券を渡して会場に新車を買いにきてもらうということも目立っており、単に新車が見たいというひとよりも、新車購入を前提として会場に足を運ぶひとが多いのである。

 東京モーターショーも、昭和のころには会場にセールスマンが多くいたのだが、いつからか技術展覧会のようになり、ジャパンモビリティショーになってからはさらにエンタテインメント性が強められている。

 もちろん中国系ブランドも自社ブースには商談コーナーを設けるのだが、エンジンカットモデルなど技術展示も目立つブランドもあり、どこかチグハグな印象を受けることも多い。

 消費者のBEVへの不安視をメーカーも危惧している

 かつて筆者が幼少のころ、1970年代の東京モーターショーの会場内で、ボルボが衝突実験を行ったあとの実験車を展示したことがあった。子どもの筆者だけではなく、その場にいた大人も「新車ではなく壊れたクルマをなぜ置くのだろう」と実験車のまわりで話していたのを覚えている。ほとんどのひとがシートベルトも締めずにクルマに乗っていたころなので、安全性をアピールされても来場者には響かなかったのである。

 GWMグッドキャットの衝突実験車両は、ややブースの奥まったところにひっそりと置いてあり、注目する来場者も少なかった。タイのひとが自動車の安全性にあまり関心がないというつもりはないが、新車を売ろうとするアピールとしては弱いのかもしれない。

 ただし、タイ国内ではBEVについて自動車保険加入を断る保険会社が多く、引き受けてたとしても高額の保険料を請求されるという報道を目にしたことがある。タイ以外でも、BEVの保険加入に厳格な国は一定数あるようだ。

 ICE車からBEVへ乗り換え、その特性の違いに慣れないうちに事故を起こすケースが多発していることも影響しているという噂もあるが、BEVでは気になる車両火災といえども実数把握はなかなか難しい。しかし、タイ国内でも「BEVが結構燃えている」というのは世間話レベルでよく聞く話となっている。

 そのなかでGWMはあえて、衝突安全性だけではなく、「ぶつかっても燃えませんよ」ということをアピールしたかったのかもしれない。

 タイでBEV販売が鈍った要因としては、「燃えやすいのでは」という不安に加え、2024年秋の深刻な水害被害、そしてバンコク市内でも雨季などを中心に道路冠水が多発する状況を見て、「ウチの国でBEVは大丈夫なのか」とブームによる過熱から消費者の目が覚めたことも大きいと聞いている。

 中国のBYDオートは、自社だけのホールを設け、水陸両用となるPHEV「ヤンワンU8」を特設プール内にて実際に水上走行させてみせていたが、これもグッドキャット同様に、「水に入っても大丈夫」というのをアピールしたかったのかもしれない。そうだとすれば、たとえトレードショーであっても、そこだけは押さえておきたいという願いがあったのだろう。

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みんなのコメント

9件
  • ********
    >タイで鈍化するBEVブーム

    メルクマールやEV TIMESが必死になって、日本と違って世界ではEVが人気だとウソの記事を書き続けているが、欧米と日本だけではなくタイも,鈍化しているんだね。
    EV推しメディアが自分の都合のいいようにねじ曲げた記事をあげ続けていることがよくわかった。
  • PHAT****
    そこまでやらないとBEVは売れないって事だろ。
    2年ほど前までは「出せば売れる」からテスラなど広告宣伝をしない事で有名だった。
    今後はEV同士での客の奪い合い。
    テスラと同じ運命となるんだろうな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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