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【VW ID. Buzz】過去から未来へつなぐデザインとは

掲載 更新 4
【VW ID. Buzz】過去から未来へつなぐデザインとは

フォルクスワーゲンジャパンは、“ワーゲンバス”の愛称で親しまれた『Type 2』のヘリテージを継承しながら、新たなブランドアイコンとなるBEVのVW『ID. Buzz』を発表した。そのデザインには大きく3つのポイントがあるという。

◆ブランドシェイパーとしての存在
フォルクスワーゲンジャパンは昨2024年、大きく2つの柱を持つ戦略を発表し、そのフェーズ1のトリを飾るのがID. Buzzだ。

【画像全21枚】

日本市場におけるフォルクスワーゲンブランドの復活のために、「あらゆるライフスタイルとニーズに合ったクルマを提供することを目指し、内燃機関モデルと電動化モデルの双方を柱とした2本柱戦略を昨年発表した」とコメントしたのは、フォルクスワーゲンジャパンのブランドディレクター、イモー・ブッシュマン氏だ。1本目では『ゴルフ』や『パサート』、『ティグアン』などを矢継ぎ早に投入。そして2つ目の柱ではPHEVやMHEVなどをラインナップし、この柱の中心的役割を果たすのがBEVのIDモデルで、これまでにID.4を導入している。そこにID. Buzzという“パズルのピース”が加わることで、フェーズ1が完成するという。

ブッシュマン氏はこのID. Buzzについて、「アイコン的な存在だったフォルクスワーゲンマイクロバスのDNAを、電気モビリティの時代に復活させたモデル」と位置づけ、「レトロなデザインと最新鋭のEV技術、そして進化したドライバーアシスタンス機能を備え、おそらくフォルクスワーゲンがこれまで世に送り出した数々のクルマの中でも、とりわけエキサイティングなクルマだろう」と述べた。

さらにID. Buzzを、「フォルクスワーゲンにとってブランドシェイパー」、すなわち「新たに創造性を発揮して、新しい価値を形づくろうとするクルマ」と理解し、「フォルクスワーゲンファンの方々に、秀でたデザイン、イノベーション、そして画期的な時代を超えたコンセプトを持つブランドだと改めてアピールすることを目指している」と紹介した。

◆復活は必然
このID. Buzzがなぜ生まれたのか。フォルクスワーゲンジャパンのブランドディレクター、沢村武史氏はまずその歴史を振り返る。「今から75年前、1950年に生産開始されたフォルクスワーゲンType 2は、通称ビートルと呼ばれた『Type 1』の車体をベースに開発。多人数乗車での移動から商用バン、そしてキャンパーとして様々な用途で使われたクルマだった」という。

とりわけType 2がその名を一躍馳せたのは、「1960年代にカウンターカルチャーといわれるヒッピー文化の象徴のひとつになったことだろう。安価に手に入れられたType 2は、自由と平和を謳った彼らの主義主張を表現する格好のキャンバスだった」と話す。その後Type 2は、この初期のT1をスタートにT2、T3と歴史を重ね、1992年まで生産が続けられた。

そして、「こうした稀有な歴史を持つフォルクスワーゲンのアイコンの復活は、フォルクスワーゲン本社にとって悲願だった。その証として、T1の印象的なデザインをモチーフとした2001年のマイクロバス、2011年の『ニューブリー』、2017年のID. Buzzコンセプトカーを何度も登場させ、量産化の機運を高めてきた」と沢村氏は語った。そのいずれもが、「世界的に大きな反響を得ることとなった」と述べ、特にニューブリーとID. Buzzコンセプトは東京モーターショーで展示され、日本でも大きな注目を浴びた。

また、ID. Buzzコンセプトは、「フォルクスワーゲンの伝説的なオリジンと電動化の未来を、そのデザインでつないだ存在であり、(T1と)いくつもの共通点がある。それは、Type 2が醸し出す自由というフィーリングを、新たな電動モビリティの時代に引き継ぐことに他ならない。そして、ID. Buzzが現代に復活したのは必然だった」と沢村氏は説明した。

◆デザイン要素の取捨選択
そのデザインについて沢村氏にもう少し語ってもらおう。伝え聞く部分であると前置きしたうえで、「T1のアイコンでもある、フロントのVシェイプやツートンカラー、そして前後オーバーハングの短さが特徴だ」。このオーバーハングは、T1は後輪駆動のリアエンジン、ID. Buzzはリアモーター、リア駆動であることから生まれたものだ。サイドから見ると、フロントが丸みを帯びながらワンモーションで落ちるスタイルが、ID. Buzzとも近い印象だ。

そういったポイントをしっかり抑えた上で、「丸目であるとか、そういったところは引き継いでいない」と沢村氏。この理由は、「フォルクスワーゲンの電気自動車として、ID.ファミリーのアイコンをデザインに取り入れているから」と述べた。例えばそのヘッドライトは、「デイタイムランニングライトによってぐるりと囲む」ように共通性を持たせている。さらに、「ヘッドライトの端から始まるキャラクターラインがクルマを回っている様相も他のフォルクスワーゲン車にも共通する部分」でもある。

また、フォルクスワーゲンは水平基調を取り入れているが、それはID. Buzzも同様だ。さらに、Type 2の個性でもある2トーンの切り替え部分には、ID. Buzzにもキャラクターラインが3本くらい入っている。「そういったType 2のキーとなるデザイン要素を取り入れつつ、全くのコピーではなく、フォルクスワーゲンの次世代の電気自動車としてのファミリー感や統一感も持たせている。そうすることで、単なるかわいさだけではない、きちんとエッジの効いた大人の鑑賞にも耐えうるデザインになっていることがこだわりだった」と語る。つまり、フォルクスワーゲンファミリーであり、ID.シリーズの一員でもあり、またT1から連綿と受け継がれる自由というフィーリングを表現しているのだ。

もうひとつ、ID. Buzzの特徴として、「クロームを使っていないことも特徴だ」と沢村氏。これは、「サステナブルがこのクルマのキーワードでもあり、ステアリングホイールの真ん中のVWのエンブレムもクロームに見えるが、実は環境負荷の低い塗料を使っている」と述べている。

そのインテリアは、シートの素材もサステナブルを意識したもの。「ファブリックの部分はペットボトルや海洋プラスチックからリサイクルされた糸を使っている。そういったリサイクル素材もデザインの中に取り込んでいる」と説明した。

◆安心安全の上に成り立つこと
最後に沢村氏は、「当然のことながら、フォルクスワーゲンブランドとして安全運転支援システムは標準装備し、他のクルマと同様のものを搭載している」と強調した。同一車線内全車速運転支援システム“トラベルアシスト”をはじめ、レーンチェンジアシストやアラウンドビューモニターなどが備わっており、「安心と安全があって、かつ快適である。その上で、このID. Buzzというクルマの個性を楽しんでもらいたい」とコメントした。

そして、「コアなファンをしっかりと掴むことが大事だ。それはフォルクスワーゲンのこれまでの顧客はもちろんのこと、新しくこのクルマでフォルクスワーゲンを知ったお客さまもそうだ。このクルマが持つ価値観に共鳴し、購入し、乗っていただき、さらにそれを楽しむだけでなく広めていくこともあるだろう。これこそが、きっとType 2が受け入れられた所以であり、また、Type 2のようにカルチャー自体を作ったクルマはたぶんないだろうと考える」と語った。

近年のミニバンに感じられる“オラオラ感”がないデザインはとても好ましい。航続距離は500km以上を確保し、充電時間も、90kWの急速充電を利用すれば約40分でバッテリー残量20%から80%まで充電可能であり、150kWの急速充電器を使えばさらに早い充電もできるという。まさにフォルクスワーゲンの新たなピープルズカーが登場したといえるだろう。

文:レスポンス 内田俊一
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みんなのコメント

4件
  • mt********
    並べてしまうとタイプ2ばかりに焦点が集まってしまう
    タイプ2と並べないほうが良いかもしれない
  • kvg********
    >などを矢継ぎ早に投入
    日本ではパサートよりはるかに売れていたVWの高価格車アルテオンは、静かに消えていった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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