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【カーボンニュートラルを目指す】メルセデス・ベンツ 有機バッテリーの開発に注力 実用化15年後

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【カーボンニュートラルを目指す】メルセデス・ベンツ 有機バッテリーの開発に注力 実用化15年後

未来を見据えた有機バッテリー

text:James Attwood(ジェームズ・アトウッド)

【画像】メルセデス・ベンツEQC、テスラ・モデルX、ジャガーIペイス、アウディeトロン【ライバル比較】 全83枚

メルセデス・ベンツは、革新的で環境にやさしい有機電池(有機バッテリー)を「非常に有望な技術」と評価し、研究を行っている。

このテクノロジーは、今年初めに発表された、未来を見据えたメルセデス・ベンツ・ビジョンAVTRコンセプトカーで採用されている。

有機電池は、水をベースとした電解質と、グラフェンをベースとしたオーガニックセルから作られており、希少物質、有毒物質または金属を一切使用せず、堆肥化によって完全にリサイクルが可能だ。

初期のテストでは、高エネルギー密度と急速充電機能の両方が、提供されるという結果がでている。

メルセデスのバッテリー研究のシニアマネージャーであるアンドレアス・ヒンテナッフは「非常に有望なテクノロジーです。実験ではその効果がすでに確認されており、結果は非常に良好です」

「しかし現時点では、生産モデルへの搭載が可能となるのは、およそ15~20年先と考えています」と述べている。

2039年までに完全にカーボンニュートラルへ

メルセデス・ベンツは、2039年までに完全にカーボンニュートラルとなることを、目標としている。

その目標を達成するため、常に論争の的となっているコバルトやリチウムなどの材料の使用を減らし、バッテリー生産による環境への影響を低減するための、多くの技術を研究している。

メルセデス・ベンツは、EQCを含む、同社のすべての現行EVモデルに採用している、リチウムイオン・バッテリーの効率改善に取り組んでおり、最大25%のキャパシティーを増やすことができると推定している。

また、今後5~15年以内の導入を目指し、全固体電池を含む将来の技術も検討している。

ヒンテナッフは、この技術は「魔法の解決策ではありませんが、これにより多くの可能性が開かれるでしょう」と述べている。

「ソリッドステート・バッテリー(全固体電池)は、多くのプラスの要素をもたらします。奇跡を巻き起こすわけではありませんが、大きな前進となるでしょう」と付け加えた。

現在の全固体電池は充電時間が長く、生産モデルに適しているとは言えない。

メルセデスは、今後5年から10年の間に、eシターロ・バスの生産モデルで初導入することを目指し、研究を行っている。

未来のために可能性を広げる

メルセデスは、他にも、効率、密度、重量の点で、それぞれ異なる利点と欠点を持つ、リチウムメタル・アノード、リチウム硫黄電池、およびリチウム空気電池などの研究を行っている。

異なるタイプのバッテリーが異なるモデルで使用される可能性が高く、リチウムイオンよりも軽いリチウム硫黄を、小型のバッテリーパックに採用する可能性があると指摘している。

複数のテクノロジーを追求することによるリスクについて、ヒンテナッフは「大きな挑戦ですが、斬新なアイデアが必要です。将来について真剣に考える必要があります」

「複数のオプションを検討することは、非効率ですし、すべての技術を実用化できるわけではありません」

「しかし、研究開発でリスクを取り、複数のアイディアを模索しなければ、結果的に失敗する可能性があります。未来のために可能性を広げておく必要があるでしょう」と述べている。

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