■日産ワゴンをぶった斬り!? バニングカスタムで仕上げる究極のトラックとは
2年ぶりの開催となり、待ちわびていたファンが多数来場している「ジャパンキャンピングカーショー2022」。
【画像】日産ワゴンを綺麗にぶった切りました! バニングカー風のトラックが凄かった!(11枚)
会場の幕張メッセには例年以上のキャンピングカーが集まり、大変な盛り上がりを見せています。
そんななか、展示ブースの一角でひときわ衆目を集めているモデルがあります。
AtoZが製作した「AT-Z」です。ちょっと見慣れないトラックですが、ベース車両は日産「NV200バネット」。
FF駆動のバンで、ボディの後部がカットされ、代わりにFRP製の荷台が付けられています。
実はこの車両、東京オートサロン2022で初お披露目されて、大きな話題を呼んだクルマなのです。
たくさんのキャンピングカーが並ぶ会場に、なぜこのような異色のトラックが並べられたのでしょうか。
AtoZは老舗のキャンピングカービルダーで、トラックや商用バンの後部に居住空間となるキャンパーシェルを取り付けた「キャブコンバージョン(通称キャブコン)」というタイプのキャンパー製造を得意としています。
このキャンパーシェルは、アルミなどの骨組みにFRPを被せて造られています。
実は多くのキャンピングカービルダーでいえることですが、キャンパーを造る前は「バニングカー」のカスタムパーツメーカーだった会社が多いのです。
バニングカーとは、トヨタ「ハイエース」などの商用バンに、大型で派手なエアロパーツを付けるカスタムスタイル。
内装は毛足の長いモケットやキルトなどのトリムに替えて、同時に部屋のようなレイアウトに変更するのがスタンダードです。
現在、バニングカーブースは廃れてしまいましたが、そこで培った技術をキャンピングカー製造に転用しているというわけです。
AtoZもその例に漏れず、かつては「バンキング」というバニングカービルダーでした。
その後、キャブコンをメインに手がけるビルダーとして、多くのファンに支持されています。
たしかに、同社の主力商品である「アルファ」シリーズを見てみると、フロントマスクやキャンパーシェルにエアロのテイストも残っており、今回紹介するAT-Zにもバニングカーの名残を感じます。
キャンピングカーのトップブランドとして成功している同社が、なぜ今になってこのようなクルマを造ったのでしょうか。
AtoZのPRマネージャー・小池宏樹氏は次のように説明しています。
「同社の前身は、バンキングというバニングカー製造の会社だったのですが、キャンピングカー以外の新しいアプローチとして、バンキングのブランドを復活させる方向になっています」
たしかに、AtoZの技術をもってすれば、エアロパーツの製造やFRP製の荷台を造るのはたやすいことです。
また、商用バンの後部をカットするという工程は、キャブコンを造るのとほぼ変わりません。
しかし小池氏によれば、このクルマを量産するわけではないといいます。
「AT-Zを製造したのは、当社の技術力のアピールとバンキングブランド復活の告知が目的です。
バンキングがどのような方向性のモデルを造っていくのかはまだ模索していますが、バニングカーの技術をキャンピングカーに転用できたらおもしろいと思っています。
ちなみに AT-Zをカタログモデルにするつもりはありませんが、ご要望があれば製造します」(小池氏)
ちなみに同社はこのショーで、従来のモデルとは違う新しい方向性のキャンピングカーを発表しています。
「アンナE」という車中泊モデルで、マツダ「ボンゴ」をベースに、ハイリフトサスペンション、エアロバンバー、バンパーガード、フェンダーモール、ルーフラック、オフロードタイヤを装備。
ボディカラーも全塗装で流行のグレーに変更しており、オフロード4WDテイストのカスタムは、いまキャンパー業界でトレンドになっています。
「このモデルはバンキングブランドではなく、AtoZのカタログモデルです。
ただ今後のバンキングブランドにおいて、キャンピングカーとカスタムを融合したおもしろいクルマが出せたらと考えています」(小池氏)
※ ※ ※
キャンピングカーの外観は、そのベース車両にほぼ依存するのが一般的です。
昨今は他社モデルと似たような外観になることを嫌い、一部のビルダーが積極的にカスタムをしていますが、多くはまだ個性が足りないというのが実情です。
しかし、コロナ禍の影響で従来よりも多様なユーザーがキャンピングカー市場に来ていることから、今後はスズキ「ジムニーの」ような機能と個性を追求したカスタムが広がっていくことが予想されます。
AtoZは、年内にもバンキングブランドの新作を発表する予定ですが、どんなベクトルのモデルになるか、業界でも注目を集めています。
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