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平穏だったはずの2026年に向けたF1ドライバー移籍市場……しかし爆発的に活況を見せる兆しアリ。フェルスタッペンの動き次第でドミノ的連鎖が起きる!?

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平穏だったはずの2026年に向けたF1ドライバー移籍市場……しかし爆発的に活況を見せる兆しアリ。フェルスタッペンの動き次第でドミノ的連鎖が起きる!?

 本来ならば2026年シーズンに向けてのドライバー移籍市場は、平穏なモノになるはずであった。ほとんどのチームが、新レギュレーションが導入される2026年に向けてドライバーの面での安定を求めたため、各ドライバーと複数年契約を締結済み。今季限りでドライバーふたりとも契約の満了を迎えるのは、メルセデスとレーシングブルズの2チームのみであった。まあレッドブルとアルピーヌのセカンドシートの行く末が不透明であるのは、例年のことではあるが……。

 特に上位チームは、大勢は変わらないはずであった。マックス・フェルスタッペンはレッドブルと2028年までの契約を結んでおり、フェラーリとマクラーレンもドライバーふたりと長期の契約を交わしている。しかし……

■ラッセル、メルセデスとの契約延長交渉は進展なし……しかしフェルスタッペン加入は心配せず?「僕は自分の価値を証明してきた」

■フェルスタッペンの将来は、依然として大きな話題に

 しかしながらF1の世界では、ドライバー契約が事前に定められたように単純明快であることは稀だ。契約を結んだとしても不確定な要素は常に存在し、舞台裏では誰もが常に話し合いを行なっている。

 昨年同様、フェルスタッペンの去就はパドックにおいてもっともホットな話題のひとつだ。

 メルセデスのトト・ウルフは昨年、フェルスタッペンと話し合ったことを認めた。しかしながらオランダGPの際には、2025年に移籍するのは難しいと、夏休みの間に結論に至ったと明かした。

 それから1年が経った今、フェルスタッペンに再びスポットライトが当たっている。本人はレッドブルに残る「意向」を繰り返し表明している。しかし彼の契約は2028年まで結ばれているものの、それにはいくつか、契約を早期に解除できる条項が含まれている。レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコが認めているように、その条項のひとつは、シーズン中の特定の時期におけるフェルスタッペンのドライバーズランキングの順位であり、その特定の時期のひとつが”夏”ということになる。

「ドライバーの契約にはパフォーマンス条項があり、物事が具体化する時期は夏頃になることが多い」

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はカナダGPの際にそう語った。

 さらに重要なのは、契約や条項が全てではないということだ。ホーナー代表は以前、もし他のチームに移籍したいのであれば「ただの紙切れを根拠に」チームに引き止めることはしないだろうと認めたこともあった。

 そしてカナダGPの際にも、ホーナー代表は同じようなことを語った。

「我々にとって重要なのは、紙切れを見るのではなく、どうやったら改善できるか、どうすれば良くなれるかということだ。人生において、契約書を見なければいけないということは、何か問題があるのではないかと常々思っている。ドライバーとの関係、そしてお互いの信頼が重要なんだ」

カナダでのラッセルの興味深い発言

 カナダGPの際の、ラッセルの発言も注目すべきである。彼はこのグランプリで今季初勝利を手にしたが、メルセデスとの契約交渉の進捗について、次のように語っていた。

「正直に言うと、まだまともな話し合いはしていない。今はもっと重要な仕事がある。マシンを速くするんだ。来年もF1に参戦することは間違いない。僕の意志と目標はメルセデスに残ること。トトも同じ考えだと思う」

 これだけでも十分注目に値するが、さらに興味深いのは彼がこう付け加えたことだ。

「マックスのようなドライバーは常に注目されてきたし、当然だ。彼が注目されないはずがない。彼はGOAT(史上最高のドライバー)のひとりだし、それは理解できる」

 ラッセルが、フェルスタッペンの名前を聞かれたわけではないのに言及したのだ。

「自分の価値を証明できるかどうかは自分次第。F1での7年間、そしてキャリアを通じて、僕は何度もそれを証明してきた。だから、何も心配していない」

 このラッセルの発言からは、メルセデスが選択肢をオープンにしておくことが重要であると考えているのでは……ということを示唆している。昨年のオランダGPの際にウルフ代表は、フェルスタッペンとは、進むべき道が「いつか交わる」と感じていると語った。そして今季デビューさせたアンドレア・キミ・アントネッリを長くチームに留めておくならば、フェルスタッペンを獲得した場合には必然的にラッセルが放出されるということになる。ただその一方で、アントネッリを育てるならば、ラッセルを留めておいた方がいいかもしれない。既に彼は、その役割に馴染んでいる。

 なおメルセデスが決断しなければいけない最大の問題は、2026年に勝利するためには何が必要かということだ。新レギュレーション下の新しいパワーユニット(PU)の開発は順調だと言われているが、その性能が期待通りであれば、その上で何が必要か……ということだ。

 F1のドライバー移籍市場は常にチェスのようなものである。今年も例外ではなく、ほとんどの関係者が今のところ、選択肢をオープンのままにしている。メルセデスも、そしてフェルスタッペンやラッセルもそうだ。

アストンマーティンが、ラッセル獲得を検討中?

 これらを踏まえると、アストンマーティンがラッセル獲得を検討していると見られることも状況に合致している。

 アストンマーティンが獲得を狙っている第一候補はフェルスタッペンであるが、万が一に備えてラッセルを獲得する可能性も残しておく必要がある。ラッセルはメルセデスに残留する意向を示しているが、彼のコメントに「来年もF1に参戦することは間違いない」という文言があるのは、予期せぬことが起きた時の代替策を用意していることを示唆している。

 ラッセルが今季非常に安定したパフォーマンスを発揮していることを考えると、驚くべきことではない。

 一方でアストンマーティンの状況も興味深い。フェルナンド・アロンソは、来季以降も契約を結んでおり、チームオーナーのローレンス・ストロールは、息子ランス・ストロールの成功をサポートするためにチームに投資しており、ランスは望む限りはシートを確保することができる。

 しかしそんな中、カナダGPの際にアロンソが、アルピーヌのホスピタリティで度々目撃されたという噂が飛び交った。アルピーヌは、前身のルノー時代も含めると、3度も在籍したことがある関係性の深いチームである。しかも現在同チームのエクゼクティブ・アドバイザーを務めるフラビオ・ブリアトーレは、アロンソのマネージャーでもある。

 アストンマーティンのチーム代表であるアンディ・コーウェルは、このアロンソの動向に関する報道に動じることはなかった。

「フェルナンドが色々なチームのガレージに顔を出してくれるのは嬉しいね。彼は、ピットレーンに多くの知り合いがいるんだから」

「彼は来年も我々と契約を結んでいて、アンバサダーとしても長期的に我々と共に働いてくれることを嬉しく思う。フェルナンドと一緒に仕事ができるのは、素晴らしいことだ」

 そうコーウェル代表は語った。なおアストンマーティンによれば、アロンソがアルピーヌのホスピタリティを訪れたのは、顔馴染みの人たちと昼食を共にするためだったという。その真偽のほどは定かではないが、この時期ならば誰もが誰とでも真剣に話し合うものだ。

 しかしながらアロンソが、エイドリアン・ニューウェイが設計するマシンをドライブするチャンスを逃すとは考えにくい。しかも、アストンマーティンは最先端のファクトリーが完成したばかりであり、何よりも来年からはホンダのワークスPUを使うことになっている。ものすごい好環境を手にできる可能性があるのだ。

 確かにアルピーヌのシートのうちひとつは、完成度が高いと言われるメルセデスのPUを搭載するマシンの中で、空席となる可能性が高いとみられるシートではあるが……。

 アロンソがアストンマーティンを離れる可能性は低いと見られる。ただ繰り返しにはなるが、誰にとっても重要なのは、様々な選択肢を残しておくこと。それはアロンソとて例外ではない。

 いずれにしても鍵を握るのはフェルスタッペンということになるだろう。ドライバー移籍市場が活性化するか、あるいは比較的静かなまま終わるかは、このフェルスタッペンの選択にかかっている。もしフェルスタッペンがチームを移るとなれば、それが発火点となり、ドミノ倒しのように波及していくことだろう。

 最後に、マクラーレンがオスカー・ピアストリとの契約を、かなり早い段階で延長したことは賢明だった。レッドブルのホーナー代表は以前、マクラーレンのドライバーの中で誰と契約したいか? と尋ねられた際に「オスカーだ」と答えたことが、功を奏したと言えよう。

 2026年に向けたドライバー移籍市場が活性化、いや爆発的に活況を見せるかどうかはさておき、マクラーレンが発信したいであろうメッセージは明確だ。

「どうか我々に迷惑をかけないでくれ……」

文:motorsport.com 日本版 Ronald Vording
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