日産のコンパクトカー「ノート」が2027年にもフルモデルチェンジするのでは、とウワサされている。コンパクトハッチバックとして国内トップクラスの販売を誇る現行ノートシリーズだが、昨今は徐々に販売台数を落としており、2025年は7万8123台と前年比で約77%となる販売に終わっている。はたして日産の主力車はどう進化するのか。次期ノートシリーズを大予想しよう。
文:吉川賢一/写真:NISSAN
【画像ギャラリー】2027年フルモデルチェンジか!?? 日産の主力コンパクトカー 「ノート」シリーズ(35枚)
3本柱の構成は維持、「一目で新しいとわかる顔」も必須!!
現行ノートシリーズには、標準の「ノート」に加えて、その上級仕様「ノートオーラ」、そしてスポーティモデルである「ノートオーラNISMO」がある。日産の純正カスタマイズブランド「AUTECH」が手がける「ノートオーラAUTECH」と「ノートAUTECH CROSSOVER」等もあるが、「ノート」「ノートオーラ」「ノートオーラNISMO」という基本構成は、次期型でも維持される可能性が高いだろう。ベースモデルは扱いやすさとコストバランスを重視し、オーラは上質志向、NISMOは走りの楽しさと、キャラクターの棲み分けが明確であり、商品体系として完成度が高く、ユーザーにとってもわかりやすい戦略だからだ。
ただし、中身は大きく変わらなければならない。とくに2025年の販売台数は、7万8123台と2022年から3年続いていた年間10万台の大台を大きく割り込んでおり、2026年に入ってからも、前年同月比で1月は68.9%、2月は84.4%となるなど、販売面で明らかに勢いを欠いている。
背景には競合の台頭もあるが、2023~2024年に実施されたマイナーチェンジを十分に活かしきれなかった側面も否めない。ノートシリーズはこのマイチェンで外内装デザインの変更を行ったが、とくにノートは新デザインのフロントフェイスの評判があまりよくない。デザインの訴求力強化を狙った改良が商品力の底上げにつながらず、モデルライフ経過による販売の減速を食い止めることができなかったのだろう。
次期型では、この点を踏まえたエクステリアの全面刷新が不可欠だ。近年の日産は、新型リーフやアリアに見られるように、薄型のヘッドランプと一体化した横基調のフロントデザインや、発光シグネチャーを活かした先進的な表現を強めている。次期ノートもこうした流れを取り入れ、「一目で新しいとわかる顔」へと進化することが必要だ。
欧州で実力が証明された第3世代e-POWERは「必須装備」
e-POWERの進化も不可欠だ。日産が新型エルグランドから国内に投入するとしている「第3世代e-POWER」の搭載は必須条件といっていいだろう。
第3世代e-POWERは、すでに欧州ではコンパクトSUVの「キャシュカイ」で市場投入されている。日産はこの第3世代e-POWERについて「初代比で燃費20%向上、高速域では第2世代比で15%改善」としていたが、実際キャシュカイのWLTPモード燃費は4.5L/100km(約22.2km/L)を記録し、従来型の5.1~5.3L/100km(約18.9~19.6km/L)を明確に上回っている。改善幅は約13~17%とされ、掲げていた性能目標を現実の数値で達成している。
実燃費はさらに素晴らしく、日産の発表によると、イングランド南西端のLand’s End(ランズ・エンド)からスコットランド最北東端のJohn o’ Groats(ジョン・オ・グローツ)までの英国本島縦断ルート、837マイル(1,347km)をなんと無給油で走破、なお約100マイル(160km)分の燃料が残っていたという。その際の燃費は実に75 MPG(3.76L/100km、約26.6km/L )。ドイツの自動車連盟ADACによるエコテストでも、5.4L/100km(18.5km/L)という優れた数値を記録している。
こうした性能を支えているのが、約42%という高い熱効率を実現する発電専用の新エンジンと、モーターやインバーターなどを統合した「5-in-1電動パワートレイン」だ。システム全体のロス低減と軽量化によって、従来よりも効率を大きく引き上げている。
発電効率の向上は、エンジンの作動頻度や回転域の最適化にもつながり、結果として静粛性やドライバビリティの向上にも寄与する。欧州の厳しい評価基準のもとで結果を残した第3世代e-POWERは、次期ノートにとって最大の武器となるはずだ。現行ノートのWLTCモード燃費は、2WDが28.4km/L、4WDが23.8km/Lだが、新ユニットでは、キャシュカイの燃費改善幅の最大である17%を上乗せし、2WDで33km/L、4WDは28km/Lを狙いたい。
さらに「ちょっとだけEV走行できるシステム」も欲しい
ただ、それだけでは想定の範囲内。ノートが、日産がここから躍進していくためには、もう一段踏み込んだ「切り札」が必要だと感じる。そこで筆者が期待しているのが、PHEVのような「ちょっとだけEV走行できるシステム」の搭載だ。
三菱「アウトランダーPHEV」のように100km以上のEV走行距離を確保できなくても、たとえば20km程度でもEV走行ができれば、通勤や買い物、送迎といった日常の移動の多くをEV走行のみでこなすことが現実的になるなど、日常用途においては十分に意味を持つ。
EV走行ができれば、入力と挙動が完全一致するBEV的ならではの運転感覚を手に入れることができ、静粛性の質も段違いになるほか、ガソリンと電力というエネルギー選択の自由度も増す。ガソリン価格が高騰するなかでも、自宅充電や夜間電力などを活用すれば、走行コストをユーザー自身がコントロールできるようになるのだ。ベースはe-POWERであるため、長距離移動では従来通りエンジン発電による安定した走行も可能となる。
現行のe-POWERは、モーター駆動の滑らかさを備える一方で、発電用エンジンが介入する以上、「完全にエンジンを使わない移動」はできない。筆者の見立てでは、(電費や使用条件に大きく左右されるため、あくまで目安だが)走行用バッテリーを約5kWhまで引き上げることで、実用域において20km前後のEV走行が視野に入ると考えられる。
この「e-POWERの進化形」を、たとえば上級仕様のノートオーラに設定できれば、ヤリスやフィットと比較して、大きなアドバンテージになるだろう。重量増やコストなど、実現するのは簡単ではないだろうが、実現できれば日産復活の旗印となるはずだ。ぜひとも「技術の日産」の意地をみせてほしい。
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