発売直後から話題だらけなBYDの軽EV「ラッコ」。注目のポイントは予想以上の好スタートを切った初期受注の勢い。しかも、最上級グレードに注文が集中しているとのこと!! 「黒船」とウワサされて中国メーカーの真価が図られているイマ、実際の売れ行きや利点、そして購入前に知っておくべき弱点まで徹底検証する!
文:渡辺陽一郎/写真:中里慎一郎
【画像ギャラリー】ついにクローズアップ! BYDラッコの噂のシフトレバーがコレ!!(13枚)
BYDラッコの最新情報!! ラッコ、いまどんな感じ?
中国の自動車メーカー、BYDが、日本専用車として開発した軽EV(軽自動車サイズの電気自動車)のラッコを2026年7月28日に発売した。
ラッコの受注台数は、8月4日時点で741台であった。ラッコの販売では、発売前の予約受注をほとんど行っておらず、先代型からの乗り替え需要もない。しかもEVであることを考えると、発売から約1週間で741台の受注があれば立派だ。
販売店はラッコの販売状況について以下のように説明した。
「ラッコのグレードは、ベーシックな200(価格は214万5000円)、中級の300プラス(239万8000円)、上級の300プレミアム(249万7000円)の3種類に分かれる。この内、生産は200からスタートしたので、納期も約2か月に収まる。300プラスと300プレミアムは、人気が高いこともあり、納期は3か月から4か月に達する。特に300プレミアムは、ラッコ全体の70%以上を占める人気のグレードだ」。
300プレミアムは人気が高く、200は逆に落ち着いた状況で納期も短い。この売れ方は、ラッコの装備や機能と価格のバランスに基づく。ラッコは上級グレードになるほど、買い得度を強めるからだ。
最上級グレードが最も売れ筋になったワケ
中級グレードの300プラスの価格は、ベーシックな200に比べて25万3000円高い。この価格差でリチウムイオン電池が拡大され、1回の充電で走れる距離(WLTCモード)は、200は210kmで、300プラスは1.5倍の320kmに増える。
さらに300プラスは、200に比べて装備も充実しており、幼児置き去り検知機能、フォグランプ、アルミホイール、前席&ステアリングヒーター、防水加工を施した上級シート表皮など21万円相当の装備も加わる。
そうなると価格差の25万3000円から装備換算額の21万円を引いた約4万円で、300プラスは航続可能距離が1.5倍の320kmに増えるわけだ。
一般的には、リチウムイオン電池の総電力量が約13kWh拡大され、航続可能距離も110km、比率に換算して1.5倍に増えれば、価格は20万円は高くなる。そこも踏まえると、300プラスは200に比べて25万3000円の上乗せで、約40万円の価値を加えている。従って300プラスが買い得だ。
そして上級グレードの300プレミアムは、300プラスの装備に、ドライバーの死角を補うアラウンドビュー、運転席の電動調節機能、カップホルダーの保温機能など15万円相当の装備を加えた。価格アップは9万9000円だから割安だ。このようにラッコの価格設定は、上級グレードほど割安になるため、300プレミアムが売れ筋グレードになった。
補助金面では不利だけれども……総合的にはお買い得!?
BYDの不利な点は、国が交付する補助金額が15万円に留まることだ。そのために300プレミアムの価格から補助金額を差し引いた実質価格は234万7000円になる。
国産の軽EVには58万円の補助金が交付されるため、サクラで最上級グレードのG(299万8600円)も、実質価格は241万8600円に下がる。
それでもラッコ300プレミアムの実質価格は234万7000円だから、サクラGの実質価格に比べて約7万円安い。
しかもラッコ300が1回の充電で走れる距離は前述の320kmだから、サクラGの180kmを140km上まわり、比率に換算すると1.8倍だ。ラッコの全高は1800mmだから、車内は広く、後席を格納すると多量の荷物も積める。後席の両側には電動スライドドアも装着した。ラッコは補助金が少ないものの、総合的な買い得度ではサクラを上まわる。
まだまだ弱点はあるけれども、のびしろのが大きそだぞ!
その一方で、ラッコにも購入時の注意点がある。まずは乗り心地だ。転がり抵抗を抑えたタイヤは指定空気圧も250kPaと高く、時速40km以下で路面の荒れた街中を走ると、路上の細かなデコボコを伝えやすい。タイヤが路上を転がる時のノイズも少し大きい。
エアコンのヒートポンプシステムは、コスト低減とスペース効率を向上させるために装着されていない。エアコンを作動させると電力消費量が増えやすい。
内装ではシートのホールド性があまり良くない。腰の近辺をもう少し確実に支えると良い。後席は座面を30mmほど長くするとさらに快適になる。
ATレバーの操作感にも、若干の慣れが必要だ。このほか内装を見ると、部分的にスチールパネルやワイヤーなどが露出している。
以上のような注意点はあるが、いずれも比較的軽微な内容だ。またBYDの店舗数は、今は全国で約80店舗に留まるが(トヨタは4600店舗で日産やホンダは2000店舗少々)、量販店のコジマと提携して充電設備の設置サービスを行ったり、整備を中心に行うサテライト店の展開に乗り出している。ラッコも日本車と同様、身近に使える軽EVに成長していくだろう
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