■最終型の「ツーリングセロー」で、あらためて林道ツーリングへ
1985年誕生以来、長きにわたって気軽に乗れるトレールモデルとして人気を集めてきたヤマハの「SEROW(セロー)」ですが、残念ながら2020年をもって生産終了となりました。そのセローに、旅で便利な純正アクセサリー(スクリーン、ハンドルガード、リアキャリア、アルミアンダーガード)を装備したのが「TOURING SEROW(ツーリングセロー)」です。
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ちなみに販売価格(税込)は、標準仕様の「セロー」が58万8500円、アクセサリーパッケージ仕様の「ツーリングセロー」が64万4600円です。あらためて、林道ツーリングに出かけてみました。
まず、準備段階で便利だと感じたのが、スクリーンの内側にあるマルチパーパスバーです。22.2mm径でハンドルバーとほぼ同じ太さなので、ナビなどを装着するにも選択肢がたくさんあって便利です。筆者(野岸“ねぎ”泰之)は普段、ナビをハンドルバーに固定していますが、このバーを使えばメーターの上にナビの画面が来るため、視線の移動が少なくて済むのが良いですね(今回はスマホを縦に使いたかったのでハンドルバーに固定)。
目指したのは神奈川県西部にある林道です。移動は東名高速を利用しました。高速道路では、スクリーンのおかげで少し体が楽になります。風の強い日には抵抗が増えてハンドリングに影響が出ることもありますが、走行風や虫から身を守ってくれるメリットの方がはるかに大きいと感じます。パワーがない、と言われるセローですが、高速道路では90km/hから100km/hで普通に巡航出来るので、250トレールとしては合格点かと思います。
セローの利点は、830mmと低めのシート高に、ハンドルの切れ角が大きく、とにかく乗りやすいところです。混雑する一般道でも気が楽なのはもちろん、これが林道においてもありがたいポイントとなります。
いよいよ林道に乗り入れます。標準仕様のセローは車両重量が133kgとなっており、ツーリングセローはアクセサリー装備の分だけ重くなっているはずですが、それほど気にはなりません。ホンダの「CRF250L」が140kgですから、ほぼ同じぐらいかと思います。
フラットダートでの走行性能はけして見劣りするものではなく、普通に走る分には十分です。ただ、少々ペースを上げ気味に走るとリアサスペンションがバタつく感じは否めませんし、マシンの性格としても、速く走るよりトコトコと進む方が気持ち良く、またぬかるみや滑りやすい路面でも、地面に足が届くことでとても安心感があります。
途中で大きめの石がゴロゴロする、少し荒れた脇道に入ってみましたが、両足を着いてバタバタと進むことが出来るので、意外と険しい道でも不安無く進むことができました。そしてこの先はもう無理だ、引き返そう、という時にも、ハンドルの切れ角が大きく、乗ったまま足を着いて切り返す動作が楽でUターンがしやすいので、とても助かりました。
エンジン下部にはアンダーガードが装着されているので、跳ねた石がエンジン下部にヒットしてもお構いなし。道幅が細く、木の枝が張り出している場所ではハンドルガードのおかげで手の甲が守られ、あまり神経質にならずにマシンを進めることができました。セローの素晴らしいところは、こういった走破性の高さにあると思います。そしてツーリングセローは、さらに安心感が増しています。
ツーリングセローのリアキャリアは荷物を載せるフラットな部分の面積が広く、最大積載量も6.5kgと、とてもガッチリしています。それは良いのですが、キャリアのフレーム部分にストレッチコードなどのフックを引っ掛けるピンは後部のみ、しかもピンには先端に頭がなく単なる棒状なので、ギャップで車体が跳ねた際などにフックが滑って抜けてしまいそうでちょっと心配です。
四角い断面の太いフレームはとにかくフックを掛けづらく、掛けたとしても横滑りするので荷物を固定しにくいのです。自分でナイロンループなどを使って固定ポイントを作るなど、使い勝手を工夫する必要がありそうですね。
身軽さはスタンダードなセローに分がありますが、高速道路を使ってキャンプツーリングという場合には、ツーリングセローだとより快適な旅になりそうですね。アクセサリーを装備していても、セロー本来の気軽で乗りやすいという特長はなんら変わることがありません。
安心して林道ツーリングを楽しめたことで、あらためてセローというバイクの偉大さを感じることができました。
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