現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】独創的なデザインのビークロスはなぜ売れなかったのか?

ここから本文です

こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】独創的なデザインのビークロスはなぜ売れなかったのか?

掲載 21
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】独創的なデザインのビークロスはなぜ売れなかったのか?

 これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。

 当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は、優れたデザインで話題をさらった、ビークロスについて紹介していこう。

こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】独創的なデザインのビークロスはなぜ売れなかったのか?

文/フォッケウルフ、写真/いすゞ

■1代かぎりでも強烈な存在感を示したSUV

 次代を担うクルマが存在しないからこそ、過去が輝かしく思うのかもしれないが、何年経っても色褪せない魅力を持った名車は確実に存在する。それらは、車両のコンセプトや走行性能、そしてデザインといったクルマの個性を決定づける領域について、他車とは明らかに異なる特徴を持っていることが多い。「いすゞ ビークロス」もそういった類のクルマと言っていい。

 いすゞといえば、今でこそバスやトラックなど、物流を支える“働くクルマ”の専門メーカーとして世界にその名を轟かしているが、かつてはトヨタ、日産(プリンス自動車)と並び、「3大乗用車メーカー」と呼ばれていたことがある。

 1990年代初頭までは乗用車を自社開発しており、古くはベレットや117クーペ、1980年代ではジェミニやピアッツアといった日本の自動車史に名を残すクルマを世に送り出していた。現在は海外向けにSUVやピックアップトラックを販売しているものの、日本国内では2002年の乗用車事業撤退以降、開発・生産販売はストップしたままだ。

 そんないすゞが、1997年4月にリリースしたのが「ビークロス」である。当時のいすゞは、1993年にSUVとワンボックス車を除く乗用車の自社開発から撤退していたが、同年に開催された「第30回 東京モーターショー」に、ジェミニ4WDのプラットフォームを流用して作られたコンセプトカーを参考出品する。

東京モーターショーに出展されたヴィークロスは、当時のクロカン4WDの主流だった無骨でタフなイメージは一切ない

 これがビークロスの前身である「ヴィークロス」だ。SUVながら2ドアクーペのような斬新なスタイルは、今風に言えばクロスオーバーそのもので、後に、“いすゞ製乗用車最後の輝き”などと揶揄されることもあるが、これほどのクルマを生み出したことで、いすゞが乗用車開発から撤退することを惜しむ声があったのも事実だ。

 モーターショーから4年後、ヴィークロスは「ビークロス」と車名を変え、市販化される。ちなみにその車名は、Vehicle(乗り物)とVision(未来像)とCross(交差)を合わせた造語で、オンロードとオフロード、日常と非日常のクロスオーバーを表現している。

 まだクロスオーバーという言葉がなかった時代に「悪路も走破可能な全天候型スポーツカー」を謳っていたことは驚きだが、なにより当時のいすゞのデザイナーだった中村史郎氏がまとめた有機的かつ前衛的なスタイルは人目を引くもので、無骨なクロカン4WDが全盛だったSUVクラスなかではまさに「キワモノ」と称していいほど独特の個性に溢れていた。

[articlelink]

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

タイトル候補のハート・オブ・レーシングがGTDプロ参戦終了を発表。2025年投入のヴァルキリーは1台
タイトル候補のハート・オブ・レーシングがGTDプロ参戦終了を発表。2025年投入のヴァルキリーは1台
AUTOSPORT web
黄色の矢印って進んでいいの!? 忘れがちな信号の意味
黄色の矢印って進んでいいの!? 忘れがちな信号の意味
ベストカーWeb
入ったら出られん!? イマイチ普及せず…周回型交差点[ラウンドアバウト]の長所と短所
入ったら出られん!? イマイチ普及せず…周回型交差点[ラウンドアバウト]の長所と短所
ベストカーWeb
100台のマイクロカーが大集合! ガンダム「サザビー仕様」に「山崎製パン仕様」も…個性的すぎるクルマが埼玉県川島町に集結しました【マイクロカー図鑑】
100台のマイクロカーが大集合! ガンダム「サザビー仕様」に「山崎製パン仕様」も…個性的すぎるクルマが埼玉県川島町に集結しました【マイクロカー図鑑】
Auto Messe Web
冤罪を主張する元アルピーヌF1代表「私は関与していない」。ピアストリと契約し損ねた古巣の失態を明かす
冤罪を主張する元アルピーヌF1代表「私は関与していない」。ピアストリと契約し損ねた古巣の失態を明かす
AUTOSPORT web
驚くほどの中毒性? ローバー・ミニ(Mk6・7) UK中古車ガイド 理屈抜きの楽しさ
驚くほどの中毒性? ローバー・ミニ(Mk6・7) UK中古車ガイド 理屈抜きの楽しさ
AUTOCAR JAPAN
駐車スペースをめぐって住民とコンサート客がもめるのは日常茶飯事! クルマをぶつけられて謝罪を求めたら「脅迫」といわれ…【みどり独乙通信】
駐車スペースをめぐって住民とコンサート客がもめるのは日常茶飯事! クルマをぶつけられて謝罪を求めたら「脅迫」といわれ…【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
【試乗体験も!】すぐそこにあるテクノロジー Honda 0シリーズ搭載技術を公開
【試乗体験も!】すぐそこにあるテクノロジー Honda 0シリーズ搭載技術を公開
AUTOCAR JAPAN
“世界一タフ”な斬新「ゴツ顔SUV」がスゴイ! 全長“5.5m超”&泥棒に「電撃ビリビリ」機能あり! “画期的ギミック”満載の「ベンジェンス」とは?
“世界一タフ”な斬新「ゴツ顔SUV」がスゴイ! 全長“5.5m超”&泥棒に「電撃ビリビリ」機能あり! “画期的ギミック”満載の「ベンジェンス」とは?
くるまのニュース
マイケル・アンドレッティが第一線を退いた理由を語る。「数カ月間考え抜いた。バトンを渡す時が来た」
マイケル・アンドレッティが第一線を退いた理由を語る。「数カ月間考え抜いた。バトンを渡す時が来た」
AUTOSPORT web
ジープ、最高峰『ルビコン』の2ドアに初の2リッター直列4気筒直噴ターボ搭載の限定車を設定
ジープ、最高峰『ルビコン』の2ドアに初の2リッター直列4気筒直噴ターボ搭載の限定車を設定
AUTOSPORT web
中国格安ブランドのグローバル展開、背後にステランティスの支援 売上「共食い」懸念はないのか
中国格安ブランドのグローバル展開、背後にステランティスの支援 売上「共食い」懸念はないのか
AUTOCAR JAPAN
ロールス・ロイスがニューヨークに世界3番目のプライベートオフィスを開設! ビスポーク拠点を展開する目的は?…4番目は東京ではなくソウル
ロールス・ロイスがニューヨークに世界3番目のプライベートオフィスを開設! ビスポーク拠点を展開する目的は?…4番目は東京ではなくソウル
Auto Messe Web
「挑戦1年目で『これで、おしまい』はない」トヨタ/GR加地MS担当部長が語る宮田莉朋、平川亮の2025年の方向性
「挑戦1年目で『これで、おしまい』はない」トヨタ/GR加地MS担当部長が語る宮田莉朋、平川亮の2025年の方向性
AUTOSPORT web
阪神高速の「約3年通行止め」大幅前倒しで“通行再開”へ! 大動脈復活 “垂れ下がる橋”架替えで新しく
阪神高速の「約3年通行止め」大幅前倒しで“通行再開”へ! 大動脈復活 “垂れ下がる橋”架替えで新しく
乗りものニュース
FF対FRの同点最終戦は、劇的な1点差の雨天決着でBMWのヒルが初戴冠/BTCC最終戦
FF対FRの同点最終戦は、劇的な1点差の雨天決着でBMWのヒルが初戴冠/BTCC最終戦
AUTOSPORT web
GT-R G-SHOCKに新型登場。『ニッサン/ニスモコレクション』から全82商品の秋冬モデルが新たに発売
GT-R G-SHOCKに新型登場。『ニッサン/ニスモコレクション』から全82商品の秋冬モデルが新たに発売
AUTOSPORT web
最近流行りの「大径ホイール」装着したら燃費は悪化する? 「クラウン」は“特大”21インチ標準装備!? 大型化のメリット・デメリットとは
最近流行りの「大径ホイール」装着したら燃費は悪化する? 「クラウン」は“特大”21インチ標準装備!? 大型化のメリット・デメリットとは
くるまのニュース

みんなのコメント

21件
  • isu********
    現役のいすゞビークロス175リミテッドのオーナーです!デザインが斬新なので最新のSUVが隣に並んでも全く古さを感じさせずまだ先を行っていると思っています。流石に内装は旧車ですが。
  • kya********
    プリメーラやシーマを駄目にした日産鳴り物入りで入社した中村史郎氏のデザインでしたっけ
    奇をてらいすぎて失敗する天才
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

295.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

119.9232.9万円

中古車を検索
ビークロスの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

295.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

119.9232.9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村