Porsche 911 Turbo
ポルシェ 911ターボ
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ビル・マッキーンカーンが恋に落ちた911ターボ
ビル・マッキーンカーン(Bill MacEachern)は、彼のポルシェ 911ターボと非常に長い“恋愛関係”にある。彼の911の走行距離は120万kmを超えており、これは月まで3往復できる距離だ。
100万kmオーバーというインパクトのある数字だけでは、マッキーンカーンを言い表すことはできない。彼は44年前に初めてターボチャージャーを搭載した911(Gモデル)を購入した。その後、楽しい時も傷心の時も、すべての年月を愛車と過ごし続けてきた。
「私自身はアメリカ製のマッスルカーで育ってきたんです」と、トロントに住むカナダ系スコットランド人のマッキーンカーンは語る。
「若い頃はオールズモビル4-4-2に乗っていました。ドライブインに行ったりドラッグレースを楽しむのにはピッタリでしたが、まるでミルク運搬車のようだったんですよ(笑)」とマッキーンカーンは笑顔で振り返った。
マッスルカーからドイツ製スポーツカーへ
彼は1970年に初めてポルシェ 911を試乗し、まさに衝撃的な経験をする。それは真っ赤な911 Tだった。
「とにかく機敏で、良くできていて、信じられないようなクルマでした。コンパクトなサイズと印象的なパフォーマンスにもかかわらず快適だったのです」
このテストドライブはマッキーンカーンの人生の分岐点になった。彼は自身が立ち上げ、ぐんぐん成長中だったカーペットクリーニング会社のカンパニーカーとしてシルバーの911を購入する。そして間も無く彼は次なる“啓示”を受けることになる。
「1972年、カナディアン-アメリカン・チャレンジカップ(Can-Am)のレースで、917/10を初めて見ました。当時、ターボチャージャーは最新技術でした。まるでロケットのようでしたよ」
その数年後、ポルシェは911にターボチャージャーを搭載した「930ターボ」をカナダで販売する。マッキーンカーンはすぐに「手に入れねば!」と考えたが、当初ディーラーは彼に思いとどまらせようとした。ポルシェ初の市販ターボモデルは扱いにくく相当にパワフルだったのだ。ディーラーの担当者は、他の“マイルド”なモデルを勧めたという。
「君の人生ではない、私の人生だ」
そう、マッキーンカーンは恋に落ちてしまったのだ。
1973年 0km:オイルショック
1973年に世界的な石油危機、オイルショックが発生する。あらゆるガソリンスタンドに行列ができ、燃料を湯水のごとく消費するアメリカ車のオーナーたちは、コンパクトカーへの買い替えを検討していた。
だが、マッキーンカーンの決意は揺るがない。彼は1975年の秋、911ターボを注文する。ディープミッドナイトブルーのボディカラーにコークレザーのインテリア、スポーツドライバーズシート、そしてオプションのLSDが装着されていた。彼は今後、真の超高性能スポーツカーを購入できるチャンスは、もう来ないだろうと考えていたのだ。
1976年 23km:初ドライブの衝撃
彼の911ターボは1976年5月にドイツからカナダへと納車された。そのシリアル番号から、350番目に製造された個体であることが分かる。マッキーンカーンは空港のフェンス越しに初めて自分の愛車となるクルマを見たが、彼の心は沈んでいた。
「あの時は『間違った色が運ばれてきてしまった』と思いましたよ」。しかし注文に間違いはなかった。
「クルマはただ埃に覆われていたんです(笑)」
長い旅の証が洗い流されると彼はすぐにステアリングを握った。以来ずっと、今日も同じように。
1976年 4312km:結婚
マッキーンカーンは最愛の人、リーズと結婚した。
1976年 6245km:レースへの熱狂
「最初のロングドライブは、オンタリオ州とケベック州を横断しました。トロワリヴィエールで行われたトランザムレースを観戦しに行ったのです」と、マッキーンカーンは懐かしそうに振り返った。
このレースではポルシェが大活躍する。ジョージ・フォルマーがドライブするポルシェ 934が優勝し、同じマシンで参戦したアル・ホルバートが2位で続いた。マッキーンカーンはレースの虜になった。
このロングドライブの後も、彼は北米のサーキットへ幾度となく愛車の911ターボで巡った。フロリダ州セブリングとウェストパームビーチ、ジョージア州ロード・アトランタ、ニューイングランド州ライムロックパークとワトキンスグレンなど、数えきれないほどの旅を繰り返し数十万kmを刻み続ける。
マッキーンカーンは、カリフォルニアで行われた伝説的な「モントレー・ヒストリック・オートモビルレース(Monterey Historic Automobile Races)」にも5回参加しており、そのたびに911ターボで大陸横断ドライブを行なっている。
1978年 1万3800km:息子世代もまた・・・
ビル・マッキーンカーンの息子クレイグが、ファミリービジネスであるカーペットクリーニング会社に入社。現在、彼は会社のジュニアCEOを務めている。
同年、ビルの次男ブライアンは、カナダ人レーサーのルードヴィヒ・ ハイムラスがポルシェ 935で参戦するメキシコシティでのレースを観戦。ハイムラスが優勝したこのレースで、ブライアンもまたレースの魅力にとりつかれてしまう。この時、父の情熱が次の世代に引き継がれた。
1981年 8万8713km:家族に受け継がれしもの
「息子のブライアンは1981年に初レースを経験しています。彼は前だけを見ているんですよ(笑)」と、父であるビル・マッキーンカーンは誇らしげに明かす。最愛の911ターボは、彼が亡くなったあとも家族のもとにとどまり続けるはずだ。
2006年 64万1312km:時には即興での修理も必要
すべてがスムーズに進んだわけではなかった。ある時、モントレーへのロングドライブ時にオレゴンを南下していると、911ターボのファンプーリーが壊れてしまった。
「交換パーツをすぐに見つけることができなかったのです。でも、私は損傷箇所を溶接できる店を見つけることができました」
その数時間後、彼は予定通りにレースに参加している。
2009年 85万km:SUVとのアクシデント
33年の幸せなパートナーシップは、危機に耐えることができなければ続けられなかった。2009年、1台のSUVがセンターラインを越えてマッキーンカーンの911ターボに衝突。この衝撃でフェンダーがへこみ、足まわりにダメージを受けてしまう。
しかし幸運な偶然が解決策をもたらしてくれた。マッキーンカーンと赤ら顔のSUVドライバーがダメージを負ったビンテージカーを調べていると、フォルクスワーゲンのロゴが付いたトレーラーがクラクションを鳴らした。
「あれは誰ですか?」とマッキーンカーンが尋ねると、SUVのドライバーは「あぁ、あれは友達のエリックです。彼はこの街でフォルクスワーゲン・ショップをやっているんですよ」と、答えたのだ。
911ターボはすぐにエリックの店へと運ばれて、30時間にも及ぶ修理が施された。結果、当初の予定通りにマッキーンカーンはモントレーに到着することができた。
2012年 100万km:シャンパンでのお祝い
「このクルマは、ペンシルベニア州ハーシーで開催されたスワップミーティングに向かう途中で100万kmを超えました。そして、トロントに戻ってからシャンパンで乾杯しました」
2020年 125万3584km:これからも伸び続ける走行距離
911ターボの走行距離計は、現在約77万9000マイル(125万3584km)を示している。 そして、その数字は今後も増え続けるだろう。マッキーンカーンは現在も毎日ドライブを続けており、現代的なスーパースポーツに買い換えることも考えていない。
「911ターボはまさに最高の“マシン”です。ポルシェ初のターボモデルは、レーシングカーの世界と市販モデルの世界に新たなスタンダードを打ち立てました。そして、このクルマを今でも所有しドライブするのは、ここにしかないドキドキをもたらしてくれるからなのです」
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みんなのコメント
並の維持管理では到底成し遂げられない距離でしょう。ましてやクラシックカーなど。
目が眩むほどの丁寧なメンテナンス、車を気遣うドライビング、綺麗な整備路を巡行する事で、、と言ってもまだ信じられないくらい。
想像を絶する愛情と、それに応える911の頑強さが生み出した奇跡の数字だと思います。
素晴らしい。
私もEV時代になる前に一生物の愛車に出会って、ずっと愛し続けたいものです。