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【ヒットの法則164】パサート 4MOTION はトラクション性能が上がり走りの質が高まっていた

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【ヒットの法則164】パサート 4MOTION はトラクション性能が上がり走りの質が高まっていた

2005年2月にワールドプレミアされた5代目パサートは、ヴァリアントを追加した後、2006年1月には4WDモデル「4MOTION」を設定している。日本には2006年3月にパサート/パサートヴァリアントが同時に上陸、この時すでにセダンに「V6 4MOTION」も設定されている。さらに2006年7月には人気の後押しを受けて「ヴァリント V6 4MOTION」も登場する。では、5代目パサート 4MOTIONのデビュー当時の評判はどうだったのか、チェックしてみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年4月号より)

計算上では最大100%まで後輪にトルク配分する
ドイツ運輸省の統計によれば昨年登録された334万台あまりの乗用車の中で、4WD(この内SUVはおよそ45%)は27万8000台、8.3%を占める。厳しい冬が長く続くこの国でも4WDの割合はこんなものなのだ。

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というのも、この国は平坦なところが多いので、雪や氷の上では価格が高い4WDよりも、ウインタータイヤのほうがコストパフォーマンスが高く、また効果的であると信じられているからだ。冒頭に述べた8.3%は、南ドイツの山岳地方に住む人たちや、安全マージンの高いクルマを購入できるリッチな層を中心としたデータなのである。

そんなわけでドイツの各メーカーは、28万台の中のマスを目指して、4WDカーをカタログに掲載している。そして、フォルクスワーゲンの各モデルレンジのトップにも4WDシステムが用意されているが、ここで紹介するパサートは、なかでも最も新しい4WDのバリエーションである。

このモデルの試乗会はフォルクスワーゲン主催のウインタートレーニングと併せて開催され、持ち込まれたパサートには、最高出力250ps、最大トルク320Nmを発生する3.2L V6(挟角15度)FSIエンジンが搭載されていた。

このパワーは他のモデル、たとえばゴルフ4MOTIONのようにハルデックスクラッチを介して前後にディストリビュートされる。このハルデックスクラッチは、フォルクスワーゲンがスウェーデンのパートナーであるハルデックス社と共同開発したもので、オイルパンの中にある多板クラッチが、回転差を感知してトルクの配分を行う。しかもこの作動時間が非常に短く、エレクトロニックコントロールが可能なので、ABS、ASR(アンチ・スリップ)、EDS(エレクトロニック・ディファレンシャル・ロック)、あるいはESPなどの電子制御システムとの調和がとれる。

このパサート4MOTIONの場合、計算上では最大100%まで後輪にトルク配分を許す。これは坂道をトーイングするときには有利だ。しかし、摩擦係数が一定で平坦な道路をコンスタントに流している場合には、90%のトルクは前輪に残り、10%が後輪に伝わっている。

標準タイプより、さらに乗り心地に優れる
さて、上質なウッドとレザーで豪華に仕上げられ、高い質感を持ったパサートのキャビンに迎え入れられる。試乗したのは、V型6気筒3.2Lエンジンを搭載したヴァリンアト。旧モデルに比べると格段に向上したこのアップグレード感はドイツでは昨年の発売直後からユーザーの共感を呼び、2005年には合計9万8000台あまりを販売して、登録ベスト10では一昨年の7位から4位へと躍進したほどである。

BMW1シリーズのようなイグニッションキーを差込みエンジンをスタートさせる。フォルクスワーゲンスタッフの手によってあらかじめ暖機を終えているパサートは、すぐに温風をキャビンに流す。アイドリングはまったく静かで、DSGをローにエンゲージさせると軽いショックがわかるほどである。

250ps/6250rpm、320Nm/3200rpmのパワーは、十分すぎるほどで1715kgのボディを軽々と文字どおり滑り出すように発進させる。プレスキットにある性能は0→100km/hまでが7.2秒、最高速度は243km/hに達する。

ツインクラッチのDSGは淀みなくシフトアップ、そしてシフトダウンを行っている。ウインタータイヤを履いていることもあって、路面からのショックは柔らかなサイドウォールが吸収してくれるので乗り心地もスタンダードなパサートよりもさらに優れていた。

通常のオンロードでのテストドライブを終え、雪上でのトレーニングが始まった。長さ4770mmのワゴンボディはセオリーどおり常に細心の注意でスローイン・ファストアウトを行っている限りでは、狙ったラインどおりに進むことができる。

ただし、ちょっとでも大きくスロットルを開けると、たちどころにコーナーの外側に向かって突き進んで行く。またそんな時に大袈裟なステアリング操作をさらに与えても、何も起こらず滑り出した方向へずりずりと進んで行く。4WDは魔法のクルマではないのだ。しかし、トラクションは十分にあって、一度コントロールの範囲を見極めれば容易に発進、加速、コーナリングとも驚くほどの安定感をもって可能である。

このパサート4MOTIONはまだドイツで発表されたばかりで、V型6気筒3.2Lエンジンを搭載したバリアントのベーシック価格は3万6135ユーロ(約524万円)と発表されている。(文:木村好宏/Motor Magazine 2006年4月号より)



フォルクスワーゲン パサート ヴァリアント V6 4MOTION(2005年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4470×1820×1517mm
●ホイールベース:2709mm
●車両重量:1474kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3189cc
●最高出力:250ps/6250rpm
●最大トルク:320Nm/3200rpm
●トランスミッション:6速DSG
●駆動方式:4WD
●0→100km/h加速:7.2秒
●最高速:243km/h
※欧州仕様

[ アルバム : パサート/パサートヴァリアント 4MOTION はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

2件
  • これ以外と速かった。
    VW車は良く高速でもナメられるけどメーター読み250km/h出たからね。
    羊の皮を被ったなんとかてこの車の事だったなw
  • ハルデックスカップリングについていろいろ調べてみても、どれもいまいちで、ちゃんと説明されているものを見たことが無い。
    誰かわかりやすく説明して。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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