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【日産ノート試乗】走りの「質」向上 ラインナップの中核担う「プレミアム感」

掲載 更新 4
【日産ノート試乗】走りの「質」向上 ラインナップの中核担う「プレミアム感」

ノートの立ち位置は?

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)

【画像】マーチ超スカイライン未満を担う?【ノートと2モデルを比べる】 全180枚

photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)

editor:Taro Ueno(上野太朗)

国内向け現行ニッサン登録車ラインナップのどこに新型ノートを置けば1番しっくりくるか。

現在、SUV系とスポーツカー、および生産終了モデルを除いたラインナップは6車種。

このなかでは、上級のFRセダンが3モデルなので、標準系は3モデル。価格や先進性を考慮するならリーフが標準系最上位モデルとなるが、航続距離や急速充電インフラの点から肝心の「実用」で分が悪い。

結果、ノートはマーチ超スカイライン未満をカバーしなければならない。トヨタ車のラインナップならヤリスからプリウスを1モデルで賄うようなものだ。

キャビンユーティリティ重視のタウン&ファミリー用途は軽乗用のデイズ/ルークスがカバーしているので、プレミアム志向の強いダウンサイザー向けコンパクトが立ち位置。

あるいは実践的なリーフという見方もできるが、いずれにしても「プレミアム」は新型ノートにとって商品価値の根幹を成し、eパワー専用車としたのも理解できる。

しかも、内外装を飾りつけた表層の演出ではなく、快適性や走りの質感というハードウェアや制御の実力が試される部分に注力。「本物」を目指して開発されたと換言してもいいだろう。

その「プレミアム」の実現には進化したeパワーも大きく作用し、新型ノートがスカイライン未満をカバーする正真正銘のプレミアムコンパクトとするための必須条件と考えていいだろう。

新型は走りの質が向上

新型ノート用eパワーはPCU(パワーコントロールユニット)も含めて新開発され、新旧で駆動用モーターのパワースペックを比較すると最高出力で約6%、最大トルクで約10%向上している。

最大トルク発生回転域が多少狭まったものの、車重や総減速比はほぼ同じなので、パワーアップ分はそのまま動力性能の向上に繋がる。

ただし、新型の動力性能の本領は速さではない。速さを感じさせない力、量よりも質を高めるゆとりが見所だ。

滑らかで力強い発進。0rpmから最大トルクを発生できる電動モーターにすれば力強い発進は当然だが、急激な駆動力が加われば駆動伝達機構やタイヤの弾性(歪み)で駆動トルク変動が起きやすい。

そこでトルク増時の過渡特性やトルク変動を打ち消すトルク制御をおこない、力強さと滑らかさを両立させる。従来のeパワーから採用されている制御技術だが、特性が変わっていた。

従来車は初期トルク立ち上げが大きめのパンチが利いた加速感、新型は、初期は抑えめに連続的に加速が増す繋がりのいい加速反応を示す。

ワンペダルモード時のエンブレ回生時の制御も同様で、従来車では唐突にエンブレが入るような感じで空走から緩エンブレのコントロールに神経を使わされたが、新型は大きく改善されている。

効率のいい運転では空走から緩減速を穏やかに繋ぐための扱いやすさは必須。スムーズな走りと運転ストレスの軽減の両面からドライバーに余裕をもたらし、コンパクトな車体からは想像できない良質なドライブフィールをもたらしていた。

いざ試乗「プレミアム」実感

プロト車をテストコースで試乗した時も乗り心地は硬めに感じられたが、その印象は公道で走らせても大きくは変わらない。

とはいえテストコースに比べると舗装状況は不安定で目地などの段差も多い公道である。そこでも同じように「ちょっと硬め」と感じられるのは微小ストローク域でのしなやかなサス制御の賜である。

また、ホイールベースのわりにピッチ挙動が目立たないのも乗り心地の車格感アップに寄与している。

加えて静粛性の高さである。エンジンの始動頻度抑制による静粛性の向上も新eパワーの特徴の1つに掲げられているが、頻度を減らして低出力長回しといった感じで、トータルしたエンジン稼働時間が著しく減少した印象はない。

静かさのポイントはエンジン騒音そのものの減少とロードノイズなどの総合的な遮音低減にある。

加減速とエンジン音の変化で走りの手応えを味わいたいドライバーには走行状況と無関係なエンジン稼働や静かさは不興かもしれないが、シリーズ式ハイブリッドの特徴を活かした静粛性でもある。

ライントレース性に優れた据わりのいいハンドリング。的確なライン補正をおこなうLKAや全車速型ACCなどの先進運転支援機能を備えた最新のプロパイロットもある。

高速クルージングも悠々としている。スモール&コンパクトで最もプレミアムを実感できる走りである。

グレード展開に少々の不満も

「燃費1等賞」を狙わないハイブリッド車というと聞こえが悪いが、WLTC総合モードで30km/L前後まできて多少実用燃費との乖離が大きくても、乗用車全体からすれば圧倒的な省燃費車に変わりはない。

同様の走りの車格感を得られるモデル同士で比較するなら尚更である。ファミリー&レジャーでの使い勝手やカジュアル&スポーティな味わいを求めるならほかの選択肢も考えられるが、快適な長距離走行を前提にしたダウンサイザーには最適な1車といえよう。

ただ、グレード展開には少々不満もある。

新型ノートは3グレード設定され、ベーシックのFはシンプル装備の普及仕様、Sはオプションの拡張性も加えた中間グレード、Xはラグジュアリー内装の発展性も加えた上級設定となる。

グレード展開は一般的だが、意外なのはプロパイロットがXに限定されること。それも「ニッサン・コネクト」とのセットオプション設定で、価格は40万円以上である。

フィットはホンダセンシング全車標準、ヤリスは1Lモデルを除きLTA込みトヨタセーフティセンス標準。

プレミアムを求めて選ぶならXでプロパイロットなどのオプションをプラスでも割高とは思わないが、標準化が進む先進運転支援機構が最上級グレード限定というのはちょっと残念である。

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みんなのコメント

4件
  • この車がしっかり作られたことはわかったけどノートってボトムラインを担うべきなんじゃないの?
    スカイラインみたいに価格上げて失敗したのと同じような事にならんと良いけど
  • でもお高いんでしょう?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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