トライアンフの伝統的な一台「ボンネビルT100」が新型となって2021年4月より日本でも発売。パワーアップや装備の強化などあらゆる面で進化を遂げています。2003年式ボンネビルT100オーナーの編集部・西野がチェックしました!
トライアンフは2021年春に新型車を続々とリリース
英国のバイクメーカー・トライアンフは2021年に入ってから新型車を続々とリリースしています。
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ブランニューモデルとして特に注目を集めているのは「トライデント660」。3気筒エンジンを搭載したスタイリッシュなスポーツネイキッドです。
扱いやすい軽量・コンパクトなボディとパワフルな水冷3気筒エンジンは、日本の道路環境や日本人の体格にもマッチし、多くのライダーが乗った瞬間に「これは面白いバイクだ!」と思うはず。
そして、トライアンフの看板ともいえる「ボンネビル」シリーズもこの春に一挙リニューアルを遂げました。
2021年4月17日~5月16日の期間、全国のトライアンフ正規販売店にてデビューフェアを開催。期間中に対象モデルの試乗を行なうと、オリジナルキーホルダーがゲットできますよ。数に限りがあるため、興味がある方はどうぞお早めに。
この記事では、少しだけ乗る機会があった新型「ボンネビルT100」を紹介します。
トライアンフ新型「ボンネビルT100」に乗った感想
扱いやすさはこれまでどおり!
跨った瞬間に、「いい意味で変わっていない」ということを確信できました。私西野は、2003年式のボンネビルT100オーナーで、T100がモデルチェンジするたびにチェックしてきました。
ライディングポジションは、これまでどおり安心感のあるニュートラルなもの。足つき性は欧州メーカーの大型バイクでは、かなりいい方でしょう。
私の身長は175cm。かかとまで接地しますが、踏ん張りがきくほどではなく、触れている程度。でもつま先立ちなら跨ったまま前後に自在に動かせます。
車両重量は229kg。特別軽いわけではありませんが、排気量900ccのバイクとしては、すこぶる扱いやすい。それはハンドルの位置が自然なことと、切れ角が充分に確保されていることなどが要因だと思います。ちなみにこの新型は、先代と比べて4kgの軽量化を実現しました。
私が愛車にボンネビルT100を選んだ理由のひとつに、「ポジションの自由度が高いから」ということがあります。もちろん見た目に惚れた、というのが決め手ですけれど。
ロングツーリングをする際、ときどきお尻の位置をずらしたり、腰の曲がり具合を変えたりできることは、大きなアドバンテージとなります。また、足つきがいいので小道やフラットダートにも安心して入っていける。これ、旅するうえでかなり大事な性能です。
高速道路の長距離移動は、大型のアドベンチャーやツアラーモデルの方がうんと楽です。でも総合的に考えると、扱いやすくて乗りやすいボンネビルT100がツーリング好きの私にとってはベストでした。加えて、ノーマル状態で荷物が積みやすいというのも、ボンネビルT100の旅バイクとしての隠れた魅力ですね。
私は旧型ボンネビルT100を通勤にも使っています。「バイクは一台だけ」という人にもおすすめですよ。
エンジンの最高出力が10PSアップ!
さて、新型ボンネビルT100の話に戻りましょう。イグニッションをオンにすると、並列2気筒エンジンが小気味よく、かつ重厚感のあるジェントルなサウンドを奏でます。
エンジンは、排気量を変えずに前モデルから10PSアップ。最高出力は65PS/7400rpmに。レスポンスの向上も図り、レブリミットは500rpm上昇しています。
先代モデルは2016年10月にデビュー。それまでの空冷865ccモデルからフルモデルチェンジをとげ、水冷900ccに生まれ変わりました。
エンジン形式や排気量だけでなく、このときすでにスロットルバイワイヤが採用され、ガラッと乗り味は変わりました。2016年に初めて乗ったときは「なんて速くなったんだ!」と感動したものです。
それが新型2021年モデルではさらに10PSもアップしたのですから、空冷790ccボンネビルT100オーナーとしては、隔世の感というのでしょうか、ただただ進化の度合いに驚かされます。
しかし、今回新型に乗ってみて思ったのは「やっぱり愛車の旧型T100の延長線上に、新型T100も存在している」ということ。
レスポンスのよさはまるでちがうし、2気筒エンジンのクランク位相角が360度から270度に変わっているのに、「これだよ、これ。これがボンネビルT100、最高だ!」と思ってしまうんです。
走りはスポーティでクイックネス
よくボンネビルT100とカワサキのW800が比較されることがあるのですが、乗り味はびっくりするほど異なります。
W800は見た目のクラシカルさを鼓動感や出力特性でも表現したような乗り味で、ドコドコ感がたっぷり。
それに対してボンネビルT100は、意外なほどに高回転までスムーズに回り、2気筒ネイキッドスポーツようなテイストが特徴的。ハンドリングは再度見直され、レスポンスも向上させた分、より俊敏性が際立ちました。
もしW800やメグロK3とボンネビルT100で悩んでいるのなら、ディーラー等で試乗してみるのがおすすめ。どっちが良い悪いではありません、好みの問題なのです。
またボンネビル・シリーズは、1200ccのボンネビルT120も新型になりました。T100とT120も異なる乗り味なので、購入前にぜひ比較を。
ひとつ付け加えておきたいのは、「ボンネビルT100にも2気筒の味わいはしっかりとある」ということ。
低速だと少しわかりにくいかもしれませんが、高速道路を80~110km程度で流しているときの快感は、ハマる人には猛烈にハマります。公道でよく使う速度が最高に気持ちよく感じるバイクです。
ブレーキが強化された
新型ボンネビルT100は出力アップと合わせて、ブレーキも強化されました。
新設計のブレンボ製2ピストンフロントブレーキを採用しています。これは旧モデルオーナーからすると、非常に魅力的。もちろんABSも搭載し、切り替え式のトラクションコントロールまで装備されていますから、安全面では私の愛車空冷T100とは雲泥の差です。うらやましい。
ボンネビルT100の隠れた伝統
最後にチェックしておきたいポイントがありました。それはシートを外すと見えてきます。
これ何だか分かりますか? 落書きではないですよ。サインです。
ツートンカラーのモデルには、燃料タンク部分に「コーチライン」と呼ばれる線が引かれています。この線は職人さんによる手描きによって引かれるというのが、ボンネビルT100の伝統なんです。
つまりこのサインは、コーチラインを引いた人が残した手作業の証。イニシャルか何かでしょう。
コーチラインは美しく引かれていますが、よーく見ると、手描きならではの風合いが感じ取れます。海外の職人さんが一生懸命に集中して線を引いている姿が浮かんでくるんです。
また、近年のトライアンフ車は、外観の仕上げにもこだわっていて、細部の処理が美しいのも特長。メッキパーツやアルミの削り出し感、黒塗装の質感など、実車を間近で見ると上質さがよく分かるはず。
トライアンフモーターサイクルズジャパンは、2021年3月まで10カ月連続で月間登録台数の記録を更新し、絶好調な様子。
魅力的な新型車が続々と登場しているという背景もありますが、もしかしたら、細かな仕上げやコーチラインのような人間の体温を感じさせてくれる部分が日本市場でもウケているのかもしれませんね。
文:西野鉄兵/写真:森 浩輔・西野鉄兵
[ アルバム : 【写真をもっと見る】トライアンフ新型「ボンネビルT100」(18枚) はオリジナルサイトでご覧ください ]
トライアンフ新型「ボンネビルT100」の主なスペック
[ 表が省略されました。オリジナルサイトでご覧ください ]
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