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字幕付き動画 ホンダ・インテグラ・タイプR初代 vs シビック・タイプR 2019 比較テスト

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字幕付き動画 ホンダ・インテグラ・タイプR初代 vs シビック・タイプR 2019 比較テスト

現代の、そして優秀な

これが新しいホンダ・シビック・タイプR 2019年型。わたしの同僚たちからは現行の大型ホットハッチの中で最高の1台と評価されている。

【画像】インテグラ/シビック・タイプRを比較 全49枚

前輪駆動でありながら300ps超を発生し、史上最強のホットハッチの1台といえるだろう。たしかに素晴らしい出来栄えだ。強力なパワーを持ち非常に速く、グリップも高く有能だ。

ステアリングシステムのレスポンスも良好で、重さも適切かつフィードバックも十分だ。シャシーはまさに素晴らしい。繊細さや安定感、トガり具合ではかつてのルノー・メガーヌ・トロフィーやクリオやフォード・フィエスタSTにはかなわない。

しかし言葉では表現しきれないほどに優秀かつ走りがいのあるホットハッチだ。そしてエンジンも強力だ。ターボ化の影響により7000rpmまでしか回ないが、音は良くパワーも十分でわたし好みである。

このクルマを作ったホンダのクルマ作りを振り返れば、タイプRといえばいつも非常に良くできたクルマだった。ホンダはスポーツカー作りにおいて長い歴史を持つ。

本田宗一郎という男

創業者の本田宗一郎は偉大なエンジニアであり失敗を恐れない異端児でもあった。彼は第二次世界大戦のころピストンリング作りの会社を興した。そして戦後発電機を作りながら余ったエンジンを自転車に搭載、小さなバイクに仕立てた。

1950年代までに彼のバイクメーカーは大きな成功を収めレースの世界へと入った。そしてマン島TTレースを視察、1959年には出場も果たしまずまずの結果を残した。数台がトップ10前後で完走を果たしたが、本田はパワー不足を実感したという。

日本に帰国しさらに開発を続け、1961年には125ccクラスで優勝した。それどころか2位も3位も4位も5位もホンダであった。1962年にも同様の結果を収め、1964年には125ccクラスのトップ10のうち8台がホンダ製であった。

本田は四輪でのレースにも野望を抱いていた。1964年にはフォーミュラ1に参戦した。ひとつのレースでは13位に、参戦したあとのふたつではリタイアに終わった。しかし1965年には総合6位に入賞、シーズン最終戦では優勝も果たした。

F1におけるホンダの成功はエンジンによるところが大きい。ここ数年のマクラーレンの実績を見て疑問に思うひともいるでだろうが、これは1980年代の話である。6年連続のコンストラクターズ・タイトル獲得、ドライバーズ・タイトルは5回にのぼる。

近年の歴史において、ホンダはエンジン作りで最も実績あるメーカーといえる。その最大の特徴は可変バルブタイミングシステム、VTECだ。これこそがホンダ車の核心であり、お伝えしたいことはたくさんある。

初代インテグラ・タイプRを見てみると

これは欧州に正規輸入された初めてのタイプR。わたしが今までに乗った中で最高のドライバーズカーの1台だ。数年前までは忘れ去られていたが、いまではモダンクラシックの宝石のひとつともいわれるインテグラ・タイプRだ。

1990年代前半にはNSXタイプRやインテグラ・タイプRも日本市場では販売されていた。しかし英国に入ったのは1990年代後半のことであった。標準のインテグラは無くタイプRのみが設定された。これはボディの補強や溶接の追加、さらに軽量部品の多用により1125kgの小型クーペに仕上がっている。

欧州に正規輸入された初めてのタイプR、インテグラ。現在Bセグメントのスーパーミニでもこれより軽い車はそうそうないだろう。1.8L VTECをフロントに横置きし、LSDを介して前輪を駆動する。そして5速MTが組み合わされ、これらすべてが当時のパフォーマンスカーを定義付けた。これがVTECだ。およそ6500rpmに達するとスイッチが切り替わる。

VTECの仕組みをご説明しよう。

今日、多くのクルマが可変バルブタイミングを採用しているが、特にターボとの組み合わせではその効果はわずかだ。

しかしホンダのVTECが覇権を握っていたころは、ジェニファー・アニストン風に言えば、「秘密はここにある」のだ。低回転域ではバルブの開度は小さい方が良い。これは少ない空気と燃料で効率を高めるためだ。しかしパワーを求めて回転数を上げた時はこのバルブでは大量の空気を取り込めない。

しかし空気を多く取り込めるハイリフトカムでは、低回転域でのドライバビリティは損なわれる。VTECはその両方の利点を備えるシステムだ。カムシャフトには2種類のカムが取りつけられ、ひとつは低く、もうひとつは高くなっている。

低回転域では低いカムがロッカーを動かしバルブを少しだけ開く。これで十分なのだ。高い方のカムも一緒に回転しているが、空振りしている。ロッカーアームに秘密があり、これがVTECのキモだ。ある回転数に達すると油圧によりロッカーアーム内のピンが押されハイカムがロッカーを動かすようになる。

およそ6500rpmに達するとスイッチのように切り替わり、サウンドも強烈だが、加速の違いも強烈だ。これこそがホンダのVTECを当時の伝説的存在に押し上げたのだ。

わたしは今5速97km/hで走っており、回転数はおよそ3500rpmだ。このエンジンやクルマの素性に加え、軽さも相まって車内は賑やかだ。

インテグラ・タイプR、乗ってみると

インテリアはスパルタンで、エアコンすらもオプションだ。当時は多くのクルマでエアコンはオプションであった。キャビンはとても豪華とはいえない。現代と20年前のクルマでは内装に大きな違いがある。このプラスティックは軽量化のためと思うかもしれないが、20年前のクルマといえばこれが普通であった。

現代のクルマは大きく変わったが、今と昔のタイプRには共通点もあり、両車を比べて見ればどちらもタイプRだと思えるだろう。まずはこの素晴らしい真っ赤なレカロ製シートだ。このシートは不快さのかけらもなく、完璧なドライビングポジションを取ることができる。

ホンダ・インテグラ・タイプRのインテリア。ステアリングも他のクルマと同様、最近のクルマよりも良い。シンプルで円形だからだ。ドライビングポジションは素晴らしく、ギアレバーは冷たくも熱くもなるチタン製だ。これがインテグラ・タイプRのインテリアである。

そしてエンジンの素晴らしさは、慣性の小ささと強烈なパワーにある。タイプRは仮にハンドリングやステアリングがイマイチだとしても特別なクルマになっただろう。しかし実際のところハンドリングも素晴らしいのだ。エンジンだけではなくシャシーも見事だ。

パワーステアリングが装備されているが、パワステ無しが存在した最後の世代だろう。今時この重さはなかなかなく、ロータス・エキシージなどが近いだろう。アシストも少しは必要だが過剰である必要はない。十分なロードフィールがこのラックから伝わってくる。

ロック・トゥ・ロックはおよそ3回転で遅くも速くもなくちょうど良い。ホイールおよびタイヤはやや小ぶりで、ホイールは15インチ、タイヤは幅が195で扁平率は55%だ。

サスペンションは良くできているが、2000年代前半に初めて試乗した時は非常に硬い乗り心地に驚いた。しかし現代のホットハッチと比べたらまったく別次元だ。快適だと感じることだろう。タイヤが柔軟であることに加え車重も軽いため、シャシーのチューンによりボディの動きを抑制でき、歯が折れるような硬さはない。

「すべてがちょうど良いのだ」

乗り心地は良く、これらの組み合わせによりステアリングのレスポンスも良い。非常に俊敏ですばしこいクルマだ。パワーは過剰ではなく、トルクも18.0kg-m程度だ。これはターボ付きの現行シビックのベースモデルと同等である。LSDとの組みあわせによるトルクステアも弱く、初代フォード・フォーカスRSなどとは異なる。

すべてがちょうど良いのだ。まさに見事で現代のホットハッチより繊細だ。しかし重ステ世代のホットハッチよりは高性能であり、パーフェクトな組み合わせだ。

もし理想的なFF車のスペックを挙げるなら、おそらく1100kg程度の車重で、重すぎない自然吸気エンジンで、1Lあたり100ps超を発生し素晴らしいギアボックスとステアリングシステムを持ちボディは小さいことが望ましい。

そう考えると公道向けドライバーズカーの頂点は、15年から20年前のボディが肥大化し前輪だけで40kg-m超を受け止め、さらにNCAP対応のためノーズを延長させられ、大きく重くなる前のクルマだろう。しかし実用性や性能はもっと前のホットハッチに勝る。

わたしが今までに乗ったどんなFF車よりも好みだ。ホンダ車の中だけでなくあらゆるFFドライバーズカーの中でベストだ。欧州最初のタイプRの要素の一部は現行シビック・タイプRにまで引き継がれている。

しかしわたしの心に迷いはない。軽い気持ちで言っているのではなくインテグラ・タイプRは、今まで作られたFF車の中で最高の一台だ。

今後もわれわれは時々過去のヒーローをこのチャンネルで取り上げる。もしご覧になりたいモデルがあればコメントにてお知らせいただきたい。

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