現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 当時スーパーカー世代は“カウンタック派”と二分された 41年前のフェラーリ「512BB」がオークションに登場 20年以上一人のオーナーに愛された極上の「赤いフェラーリ」最終進化版とは

ここから本文です

当時スーパーカー世代は“カウンタック派”と二分された 41年前のフェラーリ「512BB」がオークションに登場 20年以上一人のオーナーに愛された極上の「赤いフェラーリ」最終進化版とは

掲載 17
当時スーパーカー世代は“カウンタック派”と二分された 41年前のフェラーリ「512BB」がオークションに登場 20年以上一人のオーナーに愛された極上の「赤いフェラーリ」最終進化版とは

時代を超えた官能 ベルリネッタ・ボクサーが築いた伝説

 2025年10月、アメリカのオークションサイト「Bring a Trailer」で1984年式のフェラーリ「512BBi」が発見されました。

【写真】当時の少年はランボ派とフェラーリ派に分かれた! フェラーリ派が大好きな「512BB」を見る(34枚)

 512BBiは、1970年代から1980年代にかけて生産された「ベルリネッタ・ボクサー(BB)」シリーズの最終モデルです。

 1971年のトリノ・モーターショーで初登場した「365GT4 BB」は、フェラーリ市販車として初めてミッドシップレイアウトを採用。当時の象徴であったフロントエンジンの「デイトナ」から、よりレース志向の構成へと大きく舵を切ったモデルでした。

 その進化形として1976年に登場した「512BB」は、4.9リッターの水平対向12気筒を搭載し、340馬力を発生。

 最高速度は約280km/hに達し、ライバルであったランボルギーニ「カウンタックLP400」と肩を並べる性能を誇りました。

 ピニンファリーナのレオナルド・フィオラヴァンティ氏が手がけたデザインは、低く構えたノーズと流れるようなウェッジシェイプが特徴で、当時のスーパーカー像を決定づけた存在といえます。

 そして、その最終進化版が1981年のフランクフルト・モーターショーで発表された「512BBi」です。

 キャブレターに代わってボッシュKジェトロニック燃料噴射を採用し、排出ガス規制への対応とともに、より滑らかなレスポンスを実現しました。

 総生産台数はわずか1007台。北米では正規販売されなかったため、当時の愛好家たちは“グレーマーケット”を通じて手に入れたといいます。

 鋼管チューブラーフレームの上に、スチール製キャビンとアルミ製の前後クラムシェル、FRP製の下部パネルを組み合わせた構造も特徴的でした。

 軽量で高剛性、そして美しいという、フェラーリらしい哲学が宿った構造です。

20年愛された1台 オリジナルの輝きを保つロッソコルサ

 今回落札された1984年式の個体は、まさに512BBiの完成形といえる仕様でした。

 とくに、鮮やかなロッソコルサのボディに、タンレザーのインテリアを組み合わせた王道の組み合わせが特徴的な個体です。

 この個体は1983年12月にアメリカへ輸入され、1995年に現オーナーが購入して以来、約20年にわたり丹念に維持されてきました。

 外観にはボディ同色のリップスポイラーとブラックのインテークカバー、そして高く設けられたリアウイングを装備。

 前方にはポップアップ式ヘッドライトとイエローのフォグランプが備わり、サイドのNACAダクトや4本出しマフラーが往年のスーパーカーらしい雰囲気を漂わせます。

 また、足もとはセンターロック式の5本スポークホイール(415mm)にミシュランTRXタイヤを装着。ブレーキ系統は2015年にマスターシリンダーとキャリパーがオーバーホールされ、ディスクも新品に交換されています。

 そして、足まわりは4輪ダブルウィッシュボーンにコニー製ショックアブソーバーを採用し、後輪はダブルコイルオーバー仕様。当時のフェラーリとしては高い接地感と操縦安定性を誇りました。

 一方の室内空間は、デイトナスタイルのシートがタンレザーで仕立てられ、センターコンソールやドアパネルにも同素材が使われています。

 さらに、ステアリングはMOMO製3本スポーク、そしてゲート式5速シフトレバーが中央に鎮座。

 ダッシュボードにはパイオニア製カセットデッキとグラフィックイコライザーが収まり、時代を感じさせる佇まいながらも完成された美学を感じさせます。

 くわえて、ボルレッティ製のエアコンは2021年にコンプレッサーやバルブ類が交換されており、機能面も良好です。

 メーターはベグリア製で、200mphスピードメーターに換装。交換時にリセットされ、現在の走行距離は約9000マイルを示しています。

 長年の保管にもかかわらず、外装・内装ともに高いオリジナル度を保っています。

 そして、ボンネットの下に収まるのは、4.9リッター水平対向12気筒「F110A」エンジンです。

 2021年にはタイミングベルト交換、インジェクター洗浄、ウォーターポンプ再生、スパークプラグ交換、排気系シール再施工など大規模な整備が施されました。

 同時に燃料ポンプやレギュレーターも交換され、機関系はきわめて健全な状態が維持されています。

 また、駆動系では2015年にクラッチ一式が交換され、2021年にはトランスアクスルシールを刷新。長年の愛情と整備記録が積み重ねられた理想的な個体です。

 なお、今回のオークションでは42件の入札を経て、最終的に25万5000ドル(約3900万円)で落札されました。

※ ※ ※

 1970年代のスーパーカーブームを象徴したベルリネッタ・ボクサーは、フェラーリにとってミッドシップV12という新たな章を切り開いた存在でした。

 その集大成となる512BBiは、機械としての完成度と美しさを高次元で融合させた1台です。

 今回の落札個体のように、オリジナルの輝きを保ちながら手厚く整備された例は今後さらに価値を増していくと考えられます。(Peacock Blue K.K.)

文:VAGUE Peacock Blue K.K.
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

時速225キロは当時の“世界最速”バイク 45年前の直6「ホンダ」が米国オークションで落札 約30年 一人のオーナーに愛され続けたビッカビカの「CBXスーパースポーツ」の価値とは
時速225キロは当時の“世界最速”バイク 45年前の直6「ホンダ」が米国オークションで落札 約30年 一人のオーナーに愛され続けたビッカビカの「CBXスーパースポーツ」の価値とは
VAGUE
世界限定918台 最高時速344キロの“ハイパーカー御三家” ポルシェ「918スパイダー」をオークションで発見 軽量オプション“ヴァイザッハ仕様”の予想価格とは
世界限定918台 最高時速344キロの“ハイパーカー御三家” ポルシェ「918スパイダー」をオークションで発見 軽量オプション“ヴァイザッハ仕様”の予想価格とは
VAGUE
今こそ注目したい黄金期 1990年代前半の名車 47選(後編) 解き放たれる強烈な個性
今こそ注目したい黄金期 1990年代前半の名車 47選(後編) 解き放たれる強烈な個性
AUTOCAR JAPAN
今こそ注目したい黄金期 1990年代前半の名車 47選(前編) 先進的で美しいアイコンたち
今こそ注目したい黄金期 1990年代前半の名車 47選(前編) 先進的で美しいアイコンたち
AUTOCAR JAPAN
“音速の貴公子”の名を冠した超軽量スーパーカーをオークションで発見 走行距離わずか385キロ “ほぼ新車”のマクラーレン「セナ」の価値とは
“音速の貴公子”の名を冠した超軽量スーパーカーをオークションで発見 走行距離わずか385キロ “ほぼ新車”のマクラーレン「セナ」の価値とは
VAGUE
今こそ注目したい黄金期 1990年代前半の名車 47選(中編) 評価され続ける至高の逸品
今こそ注目したい黄金期 1990年代前半の名車 47選(中編) 評価され続ける至高の逸品
AUTOCAR JAPAN
こういうバイク、昔憧れたよね... 半世紀以上前に登場した真っ赤な「アイローネ スポルト」がオークションで落札 イタリアの“粋”が詰まった特別な一台とは
こういうバイク、昔憧れたよね... 半世紀以上前に登場した真っ赤な「アイローネ スポルト」がオークションで落札 イタリアの“粋”が詰まった特別な一台とは
VAGUE
創業70周年を記念した赤白の特別カラーがカッコいい! ヤマハのスーパースポーツ「YZF-R1」2026年モデルが米国で発表 ネットでの反響とは
創業70周年を記念した赤白の特別カラーがカッコいい! ヤマハのスーパースポーツ「YZF-R1」2026年モデルが米国で発表 ネットでの反響とは
VAGUE
レクサスのスーパーカー「LFA」復活に向けて開発中! 新時代の電動スーパースポーツはコア技術を共有する「GR GT」と“スポーツカーの頂点”を目指す
レクサスのスーパーカー「LFA」復活に向けて開発中! 新時代の電動スーパースポーツはコア技術を共有する「GR GT」と“スポーツカーの頂点”を目指す
VAGUE
まだ残ってたのか... 28年前の三菱「パジェロ エボリューション」がオークションで落札 限定生産された“ホモロゲーションスペシャル4×4”の現在の価値とは
まだ残ってたのか... 28年前の三菱「パジェロ エボリューション」がオークションで落札 限定生産された“ホモロゲーションスペシャル4×4”の現在の価値とは
VAGUE
進化したレクサスの“FRスポーツセダン”新型「IS」のディテールとは? ルックスはよりアグレッシブに! “パワステ”刷新で実現した“格上の走り”にも注目
進化したレクサスの“FRスポーツセダン”新型「IS」のディテールとは? ルックスはよりアグレッシブに! “パワステ”刷新で実現した“格上の走り”にも注目
VAGUE
見た目どおりの空力の怪物! 世界に8台しか現存しない幻のスーパーカー「スバッロ・チャレンジ」とは
見た目どおりの空力の怪物! 世界に8台しか現存しない幻のスーパーカー「スバッロ・チャレンジ」とは
WEB CARTOP
令和のいま「憧れのスーパーカー」はいくらで買える? 走行距離は1万キロ以下 37年前の極上「赤いカウンタック」がオークションに登場 気になる落札価格は?
令和のいま「憧れのスーパーカー」はいくらで買える? 走行距離は1万キロ以下 37年前の極上「赤いカウンタック」がオークションに登場 気になる落札価格は?
VAGUE
SUVなのに「走りが楽しい」の声 日産「エクストレイルNISMO」登場から3か月 販売店に寄せられる反響とは
SUVなのに「走りが楽しい」の声 日産「エクストレイルNISMO」登場から3か月 販売店に寄せられる反響とは
VAGUE
【アップデート情報】60年に亘り進化を続けてきたアイコンスポーツカー ポルシェ911にモデルチェンジの時期が訪れている 試乗記を含む全情報
【アップデート情報】60年に亘り進化を続けてきたアイコンスポーツカー ポルシェ911にモデルチェンジの時期が訪れている 試乗記を含む全情報
AutoBild Japan
中東向けにわずか5台が限定生産された“史上最速のスーパーカー”がオークション登場 予想価格は3億円超え 15年前に登場した最高時速400キロの「スゴいブガッティ」とは
中東向けにわずか5台が限定生産された“史上最速のスーパーカー”がオークション登場 予想価格は3億円超え 15年前に登場した最高時速400キロの「スゴいブガッティ」とは
VAGUE
50万円台で新車購入できる 安くたって“それなり”じゃない!軽量ボディでコーナリングが楽しい「国内メーカーのバイク」3選
50万円台で新車購入できる 安くたって“それなり”じゃない!軽量ボディでコーナリングが楽しい「国内メーカーのバイク」3選
VAGUE
V12のNAエンジンにMTを組み合わせた「最新」ハイパーカーってマジか! しかも800馬力で1トン切りの「ガラジスティGP1」がクルマ好きの夢すぎる
V12のNAエンジンにMTを組み合わせた「最新」ハイパーカーってマジか! しかも800馬力で1トン切りの「ガラジスティGP1」がクルマ好きの夢すぎる
WEB CARTOP

みんなのコメント

17件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

160 . 5万円 193 . 9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

12 . 8万円 185 . 0万円

中古車を検索
トヨタ bBの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

160 . 5万円 193 . 9万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

12 . 8万円 185 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村