現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 『下町ロケット』で焦点になったCVTのトランスミッションの副変速機とは?

ここから本文です

『下町ロケット』で焦点になったCVTのトランスミッションの副変速機とは?

掲載 更新
『下町ロケット』で焦点になったCVTのトランスミッションの副変速機とは?

人気のドラマ、TBS日曜劇場『下町ロケット』。人気作家池井戸潤さんの『下町ロケットゴースト』と『下町ロケット ヤタガラス』が原作のこのTVドラマ。今回のテーマのひとつは、トラクター用のトランスミッションの開発だ。第5話では、「トラクター用のトランスミッションのCVT、その副変速」の特許についての裁判がドラマで展開されていた。さて、この「副変速機」ってそもそもなんだろう?

そもそも副変速機ってなんだろう

3気筒ならお手の物、ターボ仕様を加えたリッターカー用エンジン──ダイハツKR

「すげー!このエンジン25kgmも出てるよ!」とか「400Nmか、さすがターボエンジン」とか、昨今の乗用車用エンジンはトルク寄りの特性を訴えているものが多い。ひょっとすると購入してから一度も使われることのない最高出力よりも、日常で日々使われるであろう低中回転トルクを重視するのは、ユーザーの立場からも歓迎すべき傾向だ。

 しかし、いくら大トルクを発揮しようとも、その数値だけではクルマを動かすことはできない。その増幅のために備わっているのがご存じ変速機=トランスミッションである。エンジンが発揮するピンポイント(と言ってしまおう)のトルク発生エリアを逃さないように、変速してその回転数を使い続けるようにしているのがその役目だ。近年は効率追求が進んでいるため、トルク発生エリアよりもっともっと狭い「最適効率点」をつかんで放さないように多段化(ワイドレンジ化)が著しく進んでいる。

 多段化すれば最適効率点を狙い撃ちできる。しかし多段化は機械の大型複雑化を招いてしまう。そもそも高効率を図ってワイドレンジ化したいのに、システムが大きく重くなるのは本末転倒。そこで使われるのが副変速機である。



副変速機の例

 スポーツ自転車に乗っている方なら「3×9=27」とか「2×10=20」などの数字になじみがあるだろう。リヤディレイラーにおける複数枚スプロケットの変速に加えて、フロントディレイラーでも変速し、多段化する方式である。クルマの副変速機も同様の仕組みをとっている。

 日産/三菱自/スズキの軽自動車で用いられるCVTに、副変速機を備えているものがある。ジヤトコ製のJF015E:通称CVT7である。主変速機であるCVT(ベルト&プーリ)の後段において、遊星歯車機構で2段変速する幅変速機を置いている。

 軽自動車用のCVTなら小さく軽くしたいのは当然の要望。そして軽自動車用の660ccエンジンはトルクが小さい。だから変速機の変速比幅(レシオカバレージという)を大きくしてドライバビリティを高めたい。だけどCVTの変速比幅を大きくするためにはプーリの径を大きくする必要があり、すると猛烈に重くなり大きくなってしまう。

 そこでジヤトコは考えた。主変速機構の後段にもともと備わっている前後進切替機構を担う遊星歯車機構、これに前進2段変速を付与したのだ。こうすることでベルト&プーリはさらに小径化でき、変速比幅も増やせて一石二鳥。2018年現在ではCVT7に加えてさらにワイドレンジを実現したCVT W/Rという機種もラインアップしている。

 商用車のトランスミッションにも副変速機を備えているものがある。大型トラックのカタログを見ると12段や16段といった数字が見られる。これらは12セットや16セットのギヤを持っているわけではなく、副変速機機構で多段化を実現しているのだ。

 たとえばいすゞのMJX12型:通称スムーサーGxの例。12段変速機構は、2×3×2という内訳だ。最初の「2」はスプリッタ、「3」は主変速機構、最後の「2」はレンジチェンジを用いている。スプリッタとは平行軸ギヤ式の、レンジチェンジは遊星歯車式の切り替え機構だ。主変速機も平行軸ギヤ式、つまりMTである。スプリッタ&レンジチェンジによって、空荷からフル積載、発進から高速巡航まで、乗用車の比ではない負荷の増減がある大型トラックの走行を支える変速比幅を持たせている。

 四輪駆動車にも幅変速機は備わる。泥濘地などの脱出が難しい悪路において大トルクが必要な際に、主変速機に加えてローレンジを作り出すための機構だ。トランスファーと称され、シフトレバーに並んで小さなレバーがあるのをご存じの方もいらっしゃるだろう。こちらも、乱暴な言い方をしてしまえば、例えば6MTのクルマだったら2×6で12段変速だ。ランドクルーザーの例でいえば、変速機である6ATの後段にトランスファーが備わり、そこでHi/Loを切り替えている。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

FIA F2参戦のロダン、最終戦でFIA F3王者フォルナローリを起用。フォーミュラE参戦のマローニの代役
FIA F2参戦のロダン、最終戦でFIA F3王者フォルナローリを起用。フォーミュラE参戦のマローニの代役
AUTOSPORT web
快適ボックスシートから広々フルフラットへの変更も簡単! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
快適ボックスシートから広々フルフラットへの変更も簡単! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
もう[トヨタ]が開発してるだと!!!!!!!!!!! 次期型[GR86/BRZ]は1.6Lターボ+ハイブリッドでほぼ確定か!?  
もう[トヨタ]が開発してるだと!!!!!!!!!!! 次期型[GR86/BRZ]は1.6Lターボ+ハイブリッドでほぼ確定か!?  
ベストカーWeb
トヨタWRC、大荒れのデイ2を好位置で乗り切る。ラトバラ代表は「明日もトリッキーになる」と警戒/ラリージャパン
トヨタWRC、大荒れのデイ2を好位置で乗り切る。ラトバラ代表は「明日もトリッキーになる」と警戒/ラリージャパン
AUTOSPORT web
ARTグランプリ、ホンダのフランス法人とパートナーシップを締結。CR-VとZR-Vが提供される
ARTグランプリ、ホンダのフランス法人とパートナーシップを締結。CR-VとZR-Vが提供される
AUTOSPORT web
優れた燃費が自慢[アコード]!! [レクサスES]と比較した明確な違い
優れた燃費が自慢[アコード]!! [レクサスES]と比較した明確な違い
ベストカーWeb
レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
AUTOSPORT web
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
AUTOSPORT web
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
ベストカーWeb
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
AUTOSPORT web
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
AUTOSPORT web
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
ベストカーWeb
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
AUTOSPORT web
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
ベストカーWeb
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
Auto Messe Web
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
AUTOSPORT web
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
AUTOSPORT web
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村