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”暑がり”なメルセデス、F1スペインGPが転機になるか?「少し自分たちの力を発揮できた」

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”暑がり”なメルセデス、F1スペインGPが転機になるか?「少し自分たちの力を発揮できた」

 メルセデスは、ジョージ・ラッセルが今季開幕からの6戦で4度表彰台を獲得したものの、直近の3連戦ではふたりで18ポイント獲得に留まったことを受けて、高温なコンディションでの問題を解決できていないと認めた。しかしスペインGPが転機となる可能性があるようだ。

 バルセロナでのスペインGP後、ウルフ代表はオーストリアのテレビ局『ORF』に「とても奇妙なことだ」と語った。

■F1スペインGPで2本のチェッカーフラッグが振られる”怪”。実は事故ではなく、F1の新しいビジネスだった

「我々は何千人もの従業員を抱える巨大組織でありながら、暑いときにタイヤを適切なウィンドウに収める方法を理解できていないようだ。寒い時、例えば冬用のジャケットが必要なラスベガスなどでは、我々はとても速い」

「我々には、グリーンランドやアラスカのレーストラックが必要なのかもしれないね……」

 2022年にグラウンドエフェクトのレギュレーションが導入されて以降、それ以前の競争力が影を潜めたメルセデス。2022年以降のマシンに焼き付いた特徴のひとつは、気温が低いときに優れたパフォーマンスを発揮する一方で、気温が上昇するとタイヤパフォーマンスを管理するのが難しくなるというものだ。

 ラッセルは開幕から6戦、つまり春先のレースで4度表彰台に上った。中東バーレーンGPでの2位は砂漠というロケーションも考えると異例に見えるが、予選と決勝の時間帯が夕方ということもあり、コンディションは想像以上に冷え込んでいた。

 またマイアミGPのスプリント予選ではアンドレア・キミ・アントネッリがポールポジションを獲得したが、やはり5月初旬のフロリダは気温がそれほど高くなかった。

 一方で直近のエミリア・ロマーニャ~モナコ~スペインの3連戦はよく晴れ、暑くなった。特にスペインGPの決勝は路面温度がピークで50度まで上昇した。そうしたコンディションでのラッセルの4位は良い結果のように思えるかもしれないが、彼はレース終盤のセーフティカー導入までトップグループから大きく離されていた。

「どのマシンにも本質的なDNAがあり、それは設計に反映されていると思う」とウルフ代表はレース後の記者会見で語った。

「多くの科学者やエンジニアを擁する大組織であるにもかかわらず、クルマがなぜそうなったのかを理解できないことがある」

「マクラーレンがなぜ速いのか、彼らがその理由を正確に知っているかどうかはわからない。我々のマシンは、ここ数年他のマシンよりもリヤタイヤのオーバーヒートに苦しんでいたと思う」

「我々は寒い時、つまりそれが問題にならない状況では常にとても強かった。昨年のラスベガスを振り返ってみると、最初のフライングラップからドライバーたちは『クルマは素晴らしい、かつてないほどグリップしている』と言っていた」

「他のドライバーたちはみんな、文字通りグリップがない、滑ってばかりだと言っていた。セットアップの方向性によって、それを覆い隠したり、悪化してしまうこともあるが、それはクルマに備わっているものなんだ」

 ピレリのタイヤは温度に敏感であり、リヤは特にそれが顕著だ。しかし大半のチームは今年のコンパウンドが以前よりもサーマルデグラデーション(熱劣化)しにくくなっていると感じている。それだけに、メルセデスが苦しんでいるのは不可解だ。

 エミリア・ロマーニャGPを前に、メルセデスはリヤサスペンションのジオメトリをわずかに変更したが、パフォーマンスが期待に届かなかったため、モナコとスペインでは以前の仕様に戻した。

「この3レースで最も重要だったのは、最初の2レースでセットアップをかなり間違えてしまったことだと思う」と、チーフテクニカルオフィサーのジェームス・アリソンはレース後の定例ビデオ報告で語った。

「我々はリヤアクスルに多くを求めすぎた結果、ひどく苦しんだんだ。そしてバルセロナには、異なる考えで臨んだ」

「そしてイモラやモナコと同じように、攻めればタイヤがやられてしまうようなコースで、我々はもう少し自分たちの力を発揮できた」

 ピレリタイヤは熱劣化が少ないとは言え、最適な温度領域が存在する。レッドブルはマクラーレンがリヤブレーキカウリングにいわゆる相変化素材を使用して温度をコントロールしようとしていると、採算不正の疑いがあると指摘していたほどだ。

 サスペンションのジオメトリーとドライビングテクニックは、タイヤ温度を管理するための伝統的な手段であり、ほとんどのチームはリヤのスライドを防ぐためにアンダーステア傾向のバランスになるようマシンをセットアップしている。

 しかし魔法のような解決策は存在しない。だからこそ、メルセデスが得意としている寒いコンディションでは、他のマシンが最適な温度領域にタイヤを持っていくのに苦労するのだ。

 アリソンは、スペインGPで採用したアプローチがこれからのレースで役に立つだろうと語った。

「これからのレースでは、より多くのことができるようになるし、より深くレースに向けて取り組むことができるだろう。それは良いことだと思う」とアリソンは言う。

 メルセデスにとって今回のアプローチは、マシンが本来持っているパフォーマンスを引き出す手段なのか、それとも欠陥の”修正”なのかはまだわからない。

「これからデータを分析し、潜在能力を少しでも引き出したのか、それとも問題を少しでも解決したのかを確認する必要がある」とウルフは語った。

 F1はこれから、初夏のヨーロッパでのレースが続いていくことになる。例年ならメルセデスにとってはつらい時期が到来するが、今季これまでと同じように表彰台争いを継続できるとしたら、それはマシンのDNAに刻まれていた”暑がり”な特性を緩和できたということを意味するはずだ。

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