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【長く乗るほど、もっと一緒にいたくなる】トヨタ・カローラ(最終回) 長期テスト

掲載 更新 7
【長く乗るほど、もっと一緒にいたくなる】トヨタ・カローラ(最終回) 長期テスト

積算1万372km 近所の買い物にも最適

text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)

【画像】トヨタ・カローラ・スポーツ 全79枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

トヨタ・カローラ・スポーツは、近所の買い物に最適なクルマだった。英国でロックダウンが始まる数日前にトヨタへの返却が決まり、長期テストも間もなく終了。

しばらく屋外に止められていたカローラ・スポーツのホイルアーチ内に、コマドリは巣を作ったようだ。小鳥一家にとっても、素晴らしいファミリー・ハッチバックになっている様子。

積算1万372km 480kmの長距離も楽しめる

トヨタ・カローラ・スポーツの長期テストも最終回。英国仕様にも、もちろん日本の巨大な自動車メーカーのエンブレムがついている。でも製造は、英国ダービーシャー州の工場でおこなわれている。

そこで筆者は日英合作の成功モデルが生まれる現場を見るために、トヨタのバーナストン工場を訪ねることにした。同じ工場で生まれたハッチバック、トヨタ・カローラ・スポーツに乗って。

長期テストを振り返るだけではない。新しくカローラ・ファミリーに加わる、GRスポーツと、ツーリングのトレック(カローラ・クロス)にも出会うことができた。

新しいカローラのメンバーは、カローラ・スポーツで筆者が感じていた、細かな不満を解決してくれている。その内容にも触れてみたい。

ロンドンの英国編集部からダービーシャー州のバーナストン工場までは、480km。たとえ今回のきっかけがなくても、高速道路の長距離ドライブをカローラ・スポーツなら楽しめただろう。

カッコイイ見た目に追いつかないインテリア

ハイブリッドの時代を実感するような旅だった。賑やかなノイズから開放された、快適なクルージングを味わえる。

AUTOCARの編集部スタッフにも、外出時は頻繁に選ばれた。質素なクルマではあるが、快適に、経済的に長距離をこなせる。

英国でもオーリスと置き換わるように登場した、新しいカローラ・スポーツ。驚くほどの信頼性と、刺激の少ない献身的な走りという特徴は引き継いでいる。特に距離を走るドライバーには歓迎される要素だ。

しかし、それだけではない。トヨタ・カローラ・スポーツは、大きな前進を遂げていた。平凡なハッチバックから、フォード・フォーカスのライバルに匹敵するほどの進化を得ているのか、確かめずにはいられなかった。

筆者は、長期テストでカローラ・スポーツに乗る前は、フォード・フォーカスの担当だったから、比較にもちょうど良かった。

スタイリングの変化は大きい。控えめにいっても、カローラ・スポーツはかなりシャープになった。細部を観察しなくても、ひと目見ればカッコイイと思える。

一方でインテリアは、ボディのデザインに追いついていない。トヨタ製モデルを所有したことのある人なら、いつものことだと思うだろう。

すべての操作系が良くレイアウトされ、快適性も素晴らしい。だが、華やかさには欠ける。洗練性より実用性重視。特に目立った不満はないものの、長期間乗っていても、何か気持ちに変化を与えてくれる居場所ではなかった。

運転の容易さと心地良さが弱みを補う

カローラ・スポーツは、運転の容易さと心地良さで、インテリアの不満を補っていた。軽快なステアリングに優れた操縦性。サスペンションも、ほとんどの路面で快適な乗り心地を保ってくれた。

英国でも、当初からガソリンエンジンのハイブリッドが選べた。選んだ排気量は、日本未導入の2.0L。システム総合での最高出力は、180psだ。

トヨタはハイブリットの経験が長い。システムはとても静かで、パワーデリバリーは基本的にスムーズ。ガソリンエンジンと電気モーターの引き継ぎも、シームレスだ。

CVTの振る舞いは好きになれず、エンジンも時々荒々しく回ることがあった。それでもパワートレインは、現実世界のあらゆる場面に見事に順応できている。

少し気を使った運転をすれば、英国の交通環境でも17.7km/Lを超える燃費が得られた。プラグイン・ハイブリッドと比べれば見劣りするものの、充電を気にする必要はない。

トヨタ・カローラ・スポーツは、ダイナミックなモデルではない。気持ちが高まるというより、落ち着いた気分にしてくれる。AUTOCARの英国編集部にも好まれた、理由の1つだと思う。

荷室は広いとはいえない。2.0Lのハイブリッドの場合は、バッテリーがエンジンルームへ収まらず、荷室下に搭載されるため。1.8Lのハイブリッドの方が広い。

一番残念だったのが、インフォテインメント・システム。デザインや操作性が悪いだけでなく、アップル・カープレイにも非対応だった。

自分で購入するならフォーカスよりカローラ

その不満を解決しているのが、新しいツーリング・スポーツのトレック(カローラ・クロス)。まず、改良を受けたトヨタ製の最新インフォテインメント・システムを備え、アップル・カープレイに対応している。

旧バージョンのカローラ・スポーツでも、英国ではシステムのアップグレードが可能だという。インテリアの雰囲気を良くする、トリムパーツもあしらわれている。

ハッチバックで狭く感じられた荷室は、ステーションワゴンのツーリングなら、もちろん充分に広い。バーナストン工場の従業員にも人気だそうだ。

筆者はカローラ・スポーツをとても気に入っている。それでは英国編集部が選ぶ、ファミリー・ハッチバックのベスト、フォード・フォーカスの好敵手といえるのだろうか。

即答は難しいが、面白い比較にはなる。フォード・フォーカスは間違いなく運動性能に優れ、運転する楽しみや充足感は大きい。でも、どこまで気にするかは、人によって異なる。もし筆者が自分で購入するなら、カローラ・スポーツを選ぶだろう。

運転する興奮は得られなくても、カローラの持つ多角的な能力は、それを補ってあまりある。とても快適で、いつまでも所有していたいと感じさせる。長くいるほど、もっと一緒にいたくなる。

数世代前のトヨタ・カローラを、大切に乗っているオーナーもいると思う。新しいカローラへ乗り換えるタイミングが、やって来たようだ。

セカンドオピニオン

英国でのカローラ人気は高まる一方。街ゆく人の注目度も、衰えることはない様子。経済性に優れていても、走りは犠牲になっていない。

インフォテインメント・システムの操作性は悪く、CVTは大きく唸る。折角の仕上がりなだけに、修正を求めたい部分ではある。(フェリックス・ペイジ)

テストデータ

気に入っているトコロ

努力いらずの燃費:ほとんど気を使うことなく、優れた燃費が得られる。
好感触のステアリング:エキサイティングではない。でも間違いなく扱いやすい。
幅の広い実力:どんな距離でも、どんな路面でも、見事に受け止めてくれる。

気に入らないトコロ

インフォテインメント・システム:デザインは悪く、サブメニューが複雑すぎる。つまり操作しにくい。
限られた荷室:2.0Lのハイブリッドで最大の欠点といえたのが、狭い荷室だった。

走行距離

テスト開始時積算距離:1691km
テスト終了時積算距離:1万372km

価格

モデル名:トヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)・エクセル2.0ハイブリッド(英国仕様)
新車価格:2万9075ポンド(383万円)
現行価格:2万9140ポンド(384万円)
テスト車の価格:2万9870ポンド(394万円)
ディーラー評価額:2万3768ポンド(313万円)
個人評価額:2万1980ポンド(290万円)
市場流通価格:1万9870ポンド(262万円)

オプション装備

スターリングシルバー塗装:795ポンド(10万5000円)

燃費&航続距離

カタログ燃費:19.2km/L
タンク容量:43L
平均燃費:16.8km/L
最高燃費:19.1km/L
最低燃費:15.3km/L
航続可能距離:595km

主要諸元

0-100km/h加速:7.9秒
最高速度:180km/h
エンジン:直列4気筒1987cc+電気モーター
最高出力:180ps(システム総合)
最大トルク:19.3kg-m/4400-5200rpm
トランスミッション:CVT
トランク容量:313L
ホイールサイズ:18インチ
タイヤ:225/40 R18
乾燥重量:1340kg

メンテナンス&ランニングコスト

リース価格:241ポンド(3万2000円/1カ月)
CO2 排出量:89g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
燃料コスト:628ポンド(8万3000円)
燃料含めたランニングコスト:628ポンド(8万3000円)
1マイル当りコスト:11ペンス(14円)
減価償却費:9205ポンド(121万円)
減価償却含めた1マイル当りコスト:0.59ポンド(77円)
不具合:なし

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みんなのコメント

7件
  • 仕事兼用でツーリング買って半年乗ってるけど、もう既に飽きている。

    ・営業車が多すぎてプライベート使用が萎える。せめて色だけでもホワイトではない色(シルバーも営業車が多い)にすれば良かったかも。
    ・DAが酷い。デカイだけで機能不十分。せめて2dinのスペースがあればと思う。
    ・後席狭すぎる。運転席のポジションを作ったら、後席の足元がひどく狭いのでツーリングでもファミリーユースとは言えない。

    営業車としては優秀だと思う。





  • 後ろ乗れないけど狭すぎ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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