昔からずっと変わらない美味しさ
その街に昔からずっとあり、昼は近隣で働くサラリーマンが、そして夜や週末は家族が、誕生日などの特別な日に食べに行く店。建物や店内も趣があり、親、子、孫と愛され続ける、そんな「町洋食」の店を紹介していきます。
【画像】一度食べるとヤミツキになる絶品エビフライを画像で見る(17枚)
日露戦争の時代から戦後まで、海辺に面した風光明媚な花街として栄えた大森海岸エリア。
料亭、置き屋、待合などが集まる「大井三業地」にはさまざまな料亭や茶屋が並び、最盛期には大森に400名近い芸者が在籍していたそうです。
現在はマンションやビルが並び、花街の面影はすっかり消えてしまいましたが、今でも残る唯一の店が「お座敷洋食 入舟」。1924(大正13)年創業、100年を超える洋食のお店です。
「曽祖父が日本橋宝町にあった『東洋軒』という店で、洋菓子職人、パティシエとして働いていたのですが、デザートはコース料理の最後だけなので、他のシェフの仕事を手伝ったことから洋食を始めたそうです。その後、親戚のいる長野県上田市、千曲川のほとりにある『入舟」という店で腕を磨いたことから、大正13年に現在のJR大森駅の駅前に店を持ったのが最初ですね」
と話すのは4代目の松尾信彦さん。
当時、洋食料理は一般的なものではなく、ハイカラ的なもの。そのため、正装で家族と食べにくるような、ハイソサエティーなお店だったそう。
「今店舗にしている1階は、昔は運転手さんの待機室だったんですよ」
現在テーブル席のある1階の横には、2階の個室に上がる、趣のある広い玄関があります。
「2階は昔のまま、今もご利用いただいています」
1階は1~4人でふらっとランチやディナーなど、そして昭和の雰囲気を色濃く残す2階はすぐ予約で埋まるほど人気が高く、「ご家族の記念日やビジネスランチなどにご利用いただいています」とのこと。
1970年代の中盤に、一般のお客様向けにリニューアルし、現在の形に。
「基本的にメニューは昔から変わっていませんね。自分の代になってから、新たに食材を見直して改善したものもあります」
それが現在、この店の看板メニューに。
101年の歴史を今に伝える「お座敷洋食 入舟」で食べたい3品を紹介します。
エビの太さも旨味も満足度が高い「天使の海老 海老フライ」
店の看板メニューであり、一番人気なのが天使の海老 海老フライ。天使の海老って?
「天使の海老は、美しい島としても有名なニューカレドニアで養殖された、100%自然食、一切添加物を使わずに育てている、高級寿司店で使うようなエビです。ある日市場で『入舟さん、こういうのが出始めたから使わない?』と聞かれまして。ただ、いいお値段なので、ずっと断り続けていたんですが、ある日1箱だけ買って常連のお客様に出したところ、一口食べて『これにして』と。ちょっとどころじゃない、雲泥の差だと。それから仕入れ値などを交渉して、天使の海老を使うようになったんですよ」。
お皿には立派なサイズの海老フライ3本に、サラダ、自家製のタルタルソース、レモンが添えられています。
「1口目はそのまま食べて。プリッとした食感と香りを楽しんでもらいたいですね。甘味の強いエビなんですよ」。
実際に味わってみると、確かに違う! 食感も香りも、そして旨味も。胴はプリプリだし、頭と尾はカリカリザクザクで全部が美味しい。
本当に頭から尻尾まで全部が美味しい海老フライ。1本目はそのままで、2本目はレモンを少し絞って。タルタルソースもつけて味わいます。
店の一番人気というのに納得。このエビフライを食べるために、大森に来る価値あり! と言い切れる美味しさです。
淡路島で釣った鮮度抜群のアジで作る「アジフライ」
美しいハート型のアジフライ。海老フライと同じくサラダ、自家製のタルタルソース、レモンが添えられています。
「アジは網ではなく、1匹1匹釣り上げたアジを使っているんですよ」。と店主。
店内に掲示された黒板には「淡路産 釣りアジ」「佐島産 かすご鯛」「愛媛産 真鯛」などが書かれています。産地にも獲れ方にもこだわりのある魚介類を使っている、ということですね。
「いいアジは尻尾の近くを食べると全てわかります。生臭さが一切ない、ふわっとした食感を味わってほしいですね」
こちらも海老フライ同様に、最初は何もつけず味わいます。衣のカリッと感からのふわっとした身。アジの持つ旨みが口の中にバッと広がってきます。
カリッとザクっと、そしてふんわりと。食べ続けていると幸せな気持ちになってきます。
ちなみに揚げ油はサラダ油。そしてパン粉はできる限りパンの耳を入れず、細かめのものを使用しているとのこと。このカリッと感からのふわっと感。たまらない!
そして、多少冷めてからもカリッと食感は継続。これはテイクアウトしたくなる、冷めても美味しいアジフライです。
夜限定メニュー、とろっとろの究極がここに!「トロトロ卵のスペシャルオムライス」
たまごが、口の中で一瞬にして溶けてしまった!? と思えるほどとろっとろのオムライス。
「卵は3個使っていますね。ソースはデミグラスソースで、中のライスはチキンライス。具は鶏モモ肉とタマネギのみです」
口に入れた途端、美味しさにうっとりするほどのオムライス。これ、ランチタイムにも出してほしい、という人は多いのでは?
「トロトロ卵のオムライスは元々賄いメニューなんですよ。お客様に喜んでいただけるとは思うのですが、ランチタイムの忙しい時に、オムライスの注文が重なると結構大変になりそうで。夜なら比較的余裕を持って作れるので、夜限定にしているんです」。
いざ食べ始めると、もう一口、あと一口とスイスイとスプーンを口に運んでしまう。止まらない美味しさです。
たまごのなめらかさにデミグラスソースが絡み、後からチキンライスの旨みが一気にやってくる。シンプルなのに贅沢な美味しさです。
店主が見せてくれたのは、昭和30年代に使っていたと思われるメニュー。『出前迅速二致シマス』、や、住所が大井三業地内など、花街が大森にまだあった頃のもの。
芸者さんたちが、出前でサンドヰッチなどを食べていたのかなぁ。など想像してしまいます。
タンシチューが250円とか、マカロニーグラタンが150円とか。物価がおそらく今の1/8~1/10くらい? ビーフシチューとチキンソーテが同じ300円? と、読んでいると店主に色々聞きたくなってくる。
「私は大学を出てすぐに継いだのですが、祖母から昔の話を聞いておいて良かったと思いますね」
美味しいものを作ることはもちろんですが、大井三業地で唯一残った店として、街の歴史を伝えることも、店主の志なのかもしれません。
今回は魚介類2種にオムライスだったので、次回はお肉メニューにしようかなぁ。昭和30年代のメニューにもあった、ビーシチューやポークソテー、チキンカツが気になる。黒板に、鳥取県産大山鶏や岩手県産岩中豚のこだわりも書かれていたし。
次回は友人を誘って、いろんなメニューをシェアして楽しみたいと思います!(いしざわりかこ)
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みんなのコメント
ハンブルク・ステーキとかコキールとか。
コースを定食と訳すの好きだ。
ちゃんとオードブルからメイン、デザートまで、町食堂で食べられる。
その下に親子丼とかあるのが凄い。
食材の揃えから下拵え、食器類の揃え。
朝から晩までサービスに徹してたんだろうなぁ。
今の人には出来ないね。
国もこのような文化的遺産を残すような政策とは真逆だから、個人店は継続するだけで大変だ。
チェーン店とコンビニあれば困らない。
外食は高額店か一品料理屋しか客が足を向けない。
そういう部分を考えると日本は貧しくなったと思う。
庶民価格で拍子抜けした
近所の人が裏山鹿