マクラーレンのチーム代表であるアンドレア・ステラは、チームのふたりのドライバー……オスカー・ピアストリとランド・ノリスのふたりをコントロールするのは、非常に難しいことになるだろうと認めた。
グリッド上で最速のマシンと、ワールドチャンピオンにふさわしいドライバーふたりを擁するということは、チーム代表にとっては次善の策に過ぎない。
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チーム代表にとっての理想は、最速のマシンとものすごく速いナンバー1ドライバーを擁し、それをサポートできる十分に速くて自身を犠牲にする覚悟のあるナンバー2ドライバーを揃えることである。
現在マクラーレンは、グリッド上で最速のマシンを手にしているのは間違いないだろう。しかしドライバーのピアストリもノリスも、共にチャンピオンを目指せる資質を持っており、ナンバー2に甘んじるつもりは毛頭ないように見える。
このことは、マクラーレンのステラ代表にとっては、今後頭痛の種になることだろう。
「同じチームでものすごく速いマシンに乗り、チャンピオンシップを争うふたりのドライバーをコントロールするのは、常に難しい問題だ」
ステラ代表はそうスペインGPの週末に語った。
「しかしこれまでのところ、ふたりのドライバーがそれぞれの資質、スピードを発揮できるようなアプローチを取ってきたと思う。そして今のところ、比較的順調に進んでいる」
ステラ代表はミハエル・シューマッハーが絶頂期にあった時代のフェラーリで、パフォーマンスエンジニアとしてF1でのキャリアをスタートさせたため、ふたりのドライバーをコントロールする難しさを嫌というほど理解している。当時のフェラーリでは、シューマッハーが完全なるナンバー1ドライバーとして君臨していた。しかしナンバー2ドライバーのルーベンス・バリチェロは、常にシューマッハーをサポートしなければいけないという立場に、明らかに不満を抱いていた。
■2000年代初頭、フェラーリで見た悪夢
ステラ代表はミハエル・シューマッハーが絶頂期にあった時代のフェラーリで、パフォーマンスエンジニアとしてF1でのキャリアをスタートさせたため、ふたりのドライバーをコントロールする難しさを嫌というほど理解している。当時のフェラーリでは、シューマッハーが完全なるナンバー1ドライバーとして君臨していた。しかしナンバー2ドライバーのルーベンス・バリチェロは、常にシューマッハーをサポートしなければいけないという立場に、明らかに不満を抱いていた。
2002年のオーストリアGPでは、レース前のミーティングでバリチェロが、首位を走っていた時には、シューマッハーにポジションを譲るということを、渋々ながら同意したことが知られている。しかもレース中にチームは、このことをバリチェロに対して何度も念押し……機嫌を損ねたバリチェロは、ギリギリまでシューマッハーにポジションを譲らなかった。
この件には批判が集中。特にチェッカーフラッグを受ける寸前に順位を譲ったことで論争が巻き起こり、その後チームオーダーが禁止される事態となった。
ステラ代表はその後、フェラーリの内部で順調に昇格。2010年にはフェルナンド・アロンソのレースエンジニアを務めていた。その時にも、ふたりのドライバーの間を巡る問題が起きた。2010年ドイツGPでのことだ。
この時、もう1台のフェラーリを走らせていたフェリペ・マッサが、アロンソの前を走っていた。しかしチームは、アロンソを先行させたいと考え、マッサに対して「フェルナンドの方が君よりも速い」というあまりにも有名な無線が発せられた。
これに対してマッサは激怒。アロンソにポジションを譲らないようにペースアップした。またポジションを譲ってもらえないことに対して、アロンソも怒りの無線を飛ばしている。
この時の状況は、非常に複雑であった。当時マッサは、獲得ポイントでアロンソに対して大きく遅れを取っていたものの、自分がナンバー2ドライバーの役割をさせられるとは思ってもいなかった。また同年は、フェラーリ、レッドブル、マクラーレンによる熾烈なタイトル争いが繰り広げられたシーズン……最終的にはレッドブルのセバスチャン・ベッテルがチャンピオンに輝き、アロンソはわずか4ポイント差でタイトルを逃したが、1ポイントが特に重要な意味を持つ1年だったと言える。そのため、マッサにポジションを譲らせるのは、非常に重要だったのだ。
■マクラーレンはふたりのドライバーをコントロールできるか?
今季のマクラーレンは、第9戦スペインGPを終えた段階で362ポイントを獲得。これはランキング2番手のフェラーリの倍以上の獲得ポイントである。一方でドライバーズランキングでは、ピアストリが186ポイントで首位、ノリスが176ポイントで2番手につけているが、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが137ポイントにつけ、さらにランキング4番手のジョージ・ラッセル(メルセデス)も111ポイントと、まだまだ逆転の可能性を残していると言える。
マクラーレンのふたりは、後続をそれなりに離している。しかし、F1の歴史を振り返れば、チームメイト同士で骨肉の争いを繰り広げた結果、タイトルを逃したという事例はいくつも存在する。今のマクラーレンのふたりには、明らかな確執はまだ生じていない。しかしスペインGPの予選で、ノリスがピアストリのトウ(スリップストリーム)を使おうとしたところ、ピアストリがこれを阻止するような動きを見せたことから、確執の兆候は見て取れる。
マクラーレンはふたりのドライバーに対して、互いにしっかりとコミュニケーションさせつつ、それぞれに期待することを明確にしている。そして、コース上では、自由に戦うことを認めている。ただ、ひとつひとつの状況を明確にすることは実際には不可能であり、ピアストリとノリスが責任ある行動を取ると信頼するしかない。
「(予選での)あれは些細な状況だった」
そうステラ代表は語った。
「我々はふたりのドライバーに対して、常にこう言っている。『何も心の奥底に残すな。何でも吐き出せ。思ったことは何でも言うように』とね」
「今回のオスカーの件は、これまで話し合われてなかった状況を浮き彫りにするものだった。それ自体はそれほど物議を醸すようなモノではなかったが、我々は事前にそのことについて話し合っていなかった。話し合っていない状況で、ドライバーを驚かせたくはない」
「だから今回の一件は、ドライバーたちのせいというよりも、チームの責任の方が大きかった。今後のレースは間違いなくさらに興味深いモノになるだろうから、もっとしっかりと宿題をこなして、さらに万全の準備を整える必要がある」
■大事なのは透明性
マクラーレンが避けたいのは、1986年のウイリアムズに起きたような事例だ。同年はネルソン・ピケとナイジェル・マンセルがチームメイト同士で激しいバトルを展開し、コース上でポイントを奪い合った。その間にマクラーレンのアラン・プロストがポイントを積み重ね、最終戦で逆転。ウイリアムズはコンストラクターズタイトルこそ獲得したものの、ドライバーズタイトルは逃した。
2007年のマクラーレンの事例も最悪だった。この年は新加入のアロンソと、新人ハミルトンのコンビ。アロンソとハミルトンの関係は当初こそ良好だったが次第に悪化。アロンソとチームの間にも、亀裂が生じた。結果としてこのシーズンは、ハミルトンとアロンソが同点でシーズンを終了。しかしフェラーリのキミ・ライコネンに1ポイント差でタイトルを奪われることとなった。コンストラクターズランキングでは最も多くのポイントを獲得したものの、スパイ事件によって全獲得ポイントが抹消されることとなった。
ステラ代表は、前述の通りチーム内でオープンな議論を行なうことで、過去の悪しき事例を繰り返さないことを目指している。
「(レース前の)ブリーフィングは、厳しいモノにはなっていない」
そうステラ代表は言う。
「会話はいつもと同じだ。もちろんふたりのドライバーが並んでスタートし、最初のコーナーまで800mもあるような状況では、互いにレースする方法を細部まで繰り返し説明する必要があるかもしれない」
「しかし今のところ、ランドとオスカーがこのチーム内の戦いに強い責任感を持って取り組んでくれて、レースの原則とアプローチをほぼ忠実に守ってくれることについては、心から感謝している」
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