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宮田莉朋、マルチクラッシュを前に立ち往生「クラッチを握り続けましたが、エンジンが止まりました」/FIA F2第5戦レビュー

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宮田莉朋、マルチクラッシュを前に立ち往生「クラッチを握り続けましたが、エンジンが止まりました」/FIA F2第5戦レビュー

 5月21~25日に開催された2025年FIA F2第5戦は、オーバーテイクが困難なモンテカルロ市街地コースが舞台。それだけに、予選の重要度がかなり高い一戦だ。

「モナコの予選は2つのグループに分けられ、1グループ16分間しかないので、フリー走行終盤にオプションタイヤ(スーパーソフト/パープル)を履いて予選シミュレーションを行うクルマが少なくありません。僕もフリー走行終盤からオプションを履いてアタックシミュレーションを行いました」と、宮田莉朋(ARTグランプリ/TGR-DC)は、レースウイーク後の取材で振り返った。

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「ただ、フリー走行は予選と違い全車が走るので混雑も多く、満足のいくウォームアップはできませんでした。それでも、オプションタイヤの感触も確認でき、オプションタイヤに対する悪い印象もなくフリー走行を終えることができました」

 45分間のフリー走行は赤旗中断も挟むなか、宮田は1分23秒285を記録し12番手で終えた。明けた22日(金)の予選は11台づつのグループ分けが行われ、宮田はBグループに出走。ただ、Bグループは、序盤にラファエル・ヴィラゴメス(ファン・アメルスフォールト・レーシング)がウォールにヒットしてマシンを止めたことで赤旗中断を挟むことに。Bグループのセッションは残り12分で再開されたが、アタックできるタイミングはさらに狭まれることになった。

「予選はグループ分けされてはいましたが、それでもトラフィックはありました。トラフィックの影響を受けないようにもう少し工夫をしたかったのですが、赤旗が出たことでそのような時間もなく、自分のポテンシャルを出し切ることに注力するしかない状況でした」

 宮田の予選自己ベストは1分22秒179となり、Bグループ6番手/11番グリッド獲得となった。フリー走行で得たオプションタイヤに対する悪い印象は影を潜めるかたちとなり「残念な予選となりました。最低限トップ10入り/グループ5番手までに入りたかったのですが、そこに至るポテンシャルはありませんでした」と、宮田も悔しさを口にした。

 24日(土)に行われた30周のスプリントレース(レース1)。宮田はオープニングラップで、ジョシュア・デュルクセン(AIXレーシング)、オリバー・ゲーテ(MPモータースポーツ/レッドブル育成)の2台にかわされ13番手にポジションを下げることに。その後、ゲーテがアレクサンダー・ダン(ロダン・モータースポーツ/マクラーレン育成)の前に出たことで、宮田は5周目からダンの背中を追う展開となった。

 タイヤ交換義務がないスプリントレースかつ、オーバーテイクにリスクが伴うモンテカルロ市街地コースではポジションアップのチャンスは少ない。宮田は10位でチェッカーを受けたが、これもクラッシュや接触、ペナルティで他車が後退したことによるもので、最後までダンをかわすことは叶わなかった。

「モナコはオーバーテイクが困難なので、トップ10に入れそうなクルマはファステストラップポイントを狙います(編注:各レーストップ10に入った車両のなかでファステストを記録したドライバーに1点が与えられる)。そのため、予選のようにプッシュ、クール、プッシュという走り方となり、自分の前にいたアレクサンダー・ダンもそういう走り方で、ときにはかなり危ないブレーキングを見せていたこともあって、彼の隙をつくというリスクを冒すことは難しい状況でした」と、宮田。

 なお、スプリントレースでは1分22秒531を記録し、9位に入ったダンがファステストラップポイントの1点を獲得している。

「レースではありましたが、どの車両もファステストを狙ってプッシュ、クール、プッシュをしていたので、レース感はありませんでした。そんななかでもタイヤをクールダウンさせ、いいタイヤのパフォーマンスを作れたドライバーがファステストを争っていたという印象です」

 明けて25日(日)に行われた42周のフィーチャーレース(レース2)は10位までが入賞となり、11番手スタートの宮田にも十分に入賞のチャンスはあった。抜群の蹴り出しでスタートをきった宮田は8番手でターン1(サン・デボーテ)を迎えた。しかし、ポールスタートのダンとフロントロウスタートのビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/ウイリアムズ育成)がターン1で接触し、アウト側のウォールにクラッシュする。

 後続の多くの車両がクラッシュした2台や前車を避けきれずに接触、マシンを止めた。宮田もダンのリヤにヒットしたガブリエレ・ミニ(プレマ・レーシング/アルピーヌ育成)のリヤに軽くヒットし、狭いモナコで前方を塞がれて行き場がなく身動きできない状況となった。

「ジェッダのときもそうでしたが、スタートで順位を上げることができているのはポジティブです。少しでも順位を上げようとした努力が身になっているとは思います。ただ、ターン1であのような状況になるとは……。想定はしていましたが、あそこまで激しくなるとは思っていませんでした」と、宮田。

「昨年はクラッシュもなく、ターン1で守りに入った結果、順位を失っていました。そのため、(周りのドライバーを)信頼してターン1を迎えたのですが、ターンインしたところにクルマが止まっていたので、どうにもできない状況でした。マシンを停止してからもクラッチパドルを握り続け、エンジンが止まらないようにしていました。ただ、エンジン自体の温度が高くなったせいか、詳細は(取材時点では)まだわかっていませんがエンジンが止まってしまいました」

 この混乱で赤旗が提示され、赤旗中もエンジンが動いていた車両は隊列に復帰が叶うも、エンジンが止まった車両はエスケープゾーンに運ばれた。

「自分のクルマは大きなダメージはなく、エンジンさえ掛かれば走れる状況でしたし、チームは赤旗中もずっとFIA国際自動車連盟に訴え続けていました。『再スタートできるかも』という話も一時的にあったので、マシンがエスケープゾーンに運ばれてからも、僕はマシンを降りずにステイしました」

 ステイ中はチームの指示を待ち続けていた宮田だったが、エンジン停止車両のリスタートが認められることはなく、スタート直後のアクシデントで宮田を含む7台がレースを終える結果となった。

 歯がゆいかたちでモナコを去る結果となった宮田。ただ、次戦となる第6戦はまもなく5月30~6月1日に、スペイン・バルセロナのカタロニア・サーキットで開催される。バルセロナは開幕前のプレシーズンテストの舞台でもあり、3日間のうち宮田は2日目に総合2番手、3日目に総合4番手タイムを記録するなど、好走を見せていた。また、2024年のスプリントレースでは2番手でチェッカー(編注:5回のトラックリミット違反に伴う10秒タイムペナルティにより正式結果は7位)を受けた場所でもある。

「テストのころとは季節も違うので、テスト時のパフォーマンスを再現できるかは未知数です。ただ、チームは違いますが、昨年のスプリントレースで表彰台を争える走りを見せていたので、まずは予選をいいポジションで終え、スプリント/フィーチャーレースともにポイント獲得したいと思います。結果がついてくる週末にしたいですね」

 FIA F2参戦2年目、序盤戦は苦しい戦いが続いている宮田。1年目に表彰台争いを見せたバルセロナでは、どのような戦いを見せてくれるだろうか。

[オートスポーツweb 2025年05月28日]

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みんなのコメント

1件
  • ven********
    流石にモナコGPのF2フィーチャーレースに関しては運営側の不手際のような気がする。
    トップ2台がクラッシュでタダでさえ狭いコースなので、アウト側にポジションしていたマシンは逃げ場所が無く、マシンを止めざるを得なかった訳で、マシンに大きなダメージが無くレースを出来る状態ならば、グリッドに戻すべきだった。
    そもそも、フォーメーションラップをスタートすることが出来なかったモントーヤが、元々のグリッド(除外されたマシンがあるので更に上位)から復帰できているのも意味不明。

    まぁソレとは別の話で、流石に2年目で今の成績では「通用しない」と思われても仕方ないでしょう。しかも、F1昇格の目は無いだろうチームメイトのマルタンスが常に予選10位以内に入って決勝では表彰台争いしているだけに、尚更印象がわるい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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