ポルシェ・ボクスターのテスト車両(1993年)
968由来のボディの下には、初代ボクスターのエンジンと駆動系が隠されている。このフランケンシュタイン的な車両は、新開発の機械部品に関するデータ収集のため、世界各地の過酷な気候条件下で何千kmもテスト走行を行った。こうしたテスト車両の大半は最終的にスクラップ処分となるが、この1台は廃棄を免れている。
【画像】パフォーマンスを極めたレジェンド級ポルシェ【911 GT1と918を詳しく見る】 全54枚
初代ボクスターは完全新設計のモデルで、1993年のデトロイト・モーターショーでコンセプトカーが披露された。公道を走るテスト車両には巧妙なカモフラージュが施され、ボクスターが968の単なる進化形であるかのように見せたが、両モデルは主要コンポーネントを一切共有していない。
ポルシェ911のテスト車両(1996年)
新開発の996型911のデザインを報道陣や一般の人々から隠すため、あらゆる手が尽くされた。このテスト車両では、996の流線型のヘッドライトユニットを隠すためにフェイクの直立型ヘッドライトを取り付けている。これは過去との繋がりを断ち切る新しいデザイン要素で、物議を醸した。
防弾ポルシェ911(1997年)
この唯一無二の防弾911は、敵から銃口を向けられるような環境下で運転する愛好家のためのポルシェだ。4インチ厚のフロントガラスと戦略的に配置されたスチール製インサートにより、乗員を銃撃から保護した。標準車より約180kg重いものの、それでも「911らしい走り」を実現しているという。
ポルシェ911のカットボディ(1997年)
コレクションには、ボディを一部剥がして外から見えない部品を露出させた車両も保管されている。こうした車両は世界各地のモーターショーや新型車発表会で展示されることが多い。写真のモデルでは、996型911における水平対向6気筒エンジンの収め方を見ることができる。
ポルシェ911 GT1シュトラッセンバージョン(1997年)
レーシングカーの911 GT1はホモロゲーション取得のため、公道走行可能なモデルとして『シュトラッセンバージョン(公道バージョンの意)』に改造された。959の後継機として期待され、高性能で希少価値が高く、そして途方もなく高価だった。キャビンとリアアクスルの間に搭載された3.2L水平対向6気筒エンジンは約550psという、当時としては驚異的な出力を誇った。シュトラッセンバージョンは約25台生産された。
ポルシェ・カイエン・カブリオレ(2002年)
ポルシェはカイエンのルーフを切り取ることで、スタイリッシュなSUVを作ろうとした。結果は美しいというよりむしろ不格好で、プロジェクトはすぐに中止となったが、そこから貴重な教訓が得られた。プロトタイプの折り畳み式ルーフ機構の進化形が、後の911タルガに搭載されているのだ。
ポルシェ918スパイダーのテスト車両(2012年)
映画『マッドマックス』に出てきそうな姿だが、こちらは918スパイダーの部品をカレラGTのボディに組み込んだテスト車両だ。ヘッドライトをそのまま流用することはできなかったため、ボンネットの真下に小型LEDライトを仕込んでいる。
918スパイダーのプラグインハイブリッド・パワートレインを、構造がまったく異なるカレラGTに無理やり収めるには、厄介なパッケージング上の課題があった。それでもこのプロトタイプは、2010年代初頭にプライベートサーキットで延々と駆動系のテストを重ねた。
積極的な車両収集
AUTOCAR英国編集部が訪問したとき、倉庫にはポルシェ創設以降の全モデルが保管されていた。保管業務を担当するアレクサンダー・クライン氏によれば、コレクションのほとんどは新車時から所有しているという。同じモデルでも複数台必要な場合、あるいは非常にユニークな個体、そしてコレクションに不足している車両については、積極的に購入を検討する。倉庫に収められるのは、レストアされていない完全オリジナル状態の個体のみである。
ひっそりと長期保管
直射日光、埃、そして人々の好奇の眼差しから車両を保護するため、カバーがかけられている。訪問時には一部のシートが例外的に外されていたが、アレクサンダー・クライン氏は「いくら丁寧に頼まれても隠したままの車両が数台ある」と説明した。この施設に保管されている車両の中には、これまで一度も一般公開されたことがないプロトタイプもある。
錚々たるスーパーカーのコレクション
施設には、1983年にコンセプトカーとして発表された959以降、ポルシェが生産してきたすべてのスーパーカーが少なくとも1台ずつ収蔵されている。アレクサンダー・クライン氏は研究開発部門のテスト車両も保存している。それらはデザインスケッチを実車へと変えるための過酷な開発過程を垣間見ることができるからだ。
フロントエンジン車の専用スペースも
フロアの一部は924、944、カイエン、パナメーラといったフロントエンジン車専用スペースとなっている。現代的なパナメーラ・スポーツツーリスモも、発売されるとすぐにコレクションに加わった。
ピットから倉庫へ
モータースポーツは創業期からポルシェの伝統を形作ってきた。床面積のかなりの部分がレーシングカーに割かれているのも当然だ。ル・マンで勝利を収めた耐久レーサーも、埃まみれのラリーカーや世界記録挑戦用に作られたワンオフ車両と並んで保管されている。
コンディション維持
ポルシェは、レーシングカーを可能な限りオリジナルの状態に保つことに力を注いでいる。保存チームの目標は、数週間、数年、あるいは数十年前にフィニッシュラインを通過した時の状態を維持することだ。コレクション内のル・マンカーの中には、一度も洗車されたことがないものもある。
ラッシュアワー
ポルシェのラインナップが増えるにつれ、コレクションも拡大していく。壁に沿って設置された巨大な棚には車両が3段積みされているが、それでも倉庫の一部は昔のニューヨークのラッシュアワーのように混雑している。年間平均15台が新たにコレクションに加わるため、クライン氏も保管スペースが無限ではないことを認めている。
コレクションを守るために
ポルシェはコレクションの維持管理のために、主任整備士1名と専任技術者5名を倉庫に配置している。所有する約570台(訪問時)のうち、レーシングカーを含む約350台が走行可能だ。2016年には、そのうち225台が世界中のさまざまなイベントで使用されたという。
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