南米ブラジルで最大の人気を誇り、同国出身の元F1ドライバーたちも数多く参戦するSCBストックカー・ブラジルの第10戦ロンドリーナが10月20~21日に開催され、F1最多出走記録保持者で2014年SCB王者でもあるルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ)が今季2勝目を飾り、ランキング3位に浮上した。
2018年シーズンも残り3戦となったSCBは、今季2度目となるアウトドローモ・インテルナシオナル・デ・アイルトン・セナのトラックが舞台。その予選で速さを見せたのはシリーズ最強チームのひとつであるシムド・シボレー・レーシング勢で、2016年チャンピオンのフェリペ・フラーガがポールポジションを獲得した。
ストックカーブラジル第9戦:王者ダニエル・セラが連続2位。元F1ドライバーのバリチェロが3位表彰台
そのチームメイトであるマルコス・ゴメスをセカンドロウ3番手に追いやりシムド勢に割って入ったのが、高額賞金の今季第6戦ゴイアニア“ミリオン・レース”で勝利を飾っているバリチェロで、今季2勝目に向け虎視眈々の最前列を確保した。
しかし32周で争われたレース1は、スタートからポールシッターがホールショットを決めると、3番手ゴメスがバリチェロをかわしてすぐさま2番手に浮上。これでシムド艦隊が元跳ね馬ドライバーからエースを護衛する盤石のフォーメーションを築いていく。
その後方では4番グリッドにつけていた現チャンピオンで今季もポイントリーダーを行くダニエル・セラ(ユーロファーマRC)がふたつ順位を落とし、こちらも元F1ドライバーのリカルド・ゾンタ(シェルVパワー・レーシング)らにポジションを明け渡すことに。
この上位勢の並びのまま進行したレースは、最初にして唯一のピットストップで波乱が起こり、すべての展開がひっくり返る事態となる。
その発端となったのは首位を快走していたフラーガだ。タイヤ交換作業に手間取ると、右リヤホイールの脱着がうまくいかずに大きくタイムロス。続くゴメスも作業確認優先で安全マージンを取り作業時間が長引き、ともにコース復帰時にはフラーガが首位から10番手、ゴメスが2番手から5番手にまでドロップする展開となってしまう。
これで首位を手にしたバリチェロは、背後にゾンタ、フリオ・カンポス(プラティ-ドナドッツィ・レーシング)、セラを従えてレースをコントロール。
最終ラップでミスを犯したゾンタがカンポスにオーバーテイクされるアクションも起こりつつ、バリチェロは2.5秒のマージンをキープして悠々のトップチェッカー。
5番手につけていたゴメスがセラに仕掛けに行くも、大きくロスを喫し最終的に8位。フラーガも望むポジションではなかったものの、最終的に10位でレース2のリバースポールを手にして逆襲を期す結果となった。
■バリチェロ「タイトル獲得の可能性を繋げられて本当によかった」
そのレース2は序盤からふたたびシムド勢が前戦を再現するかのような展開となり、トップを堅持したフラーガに続き3番手スタートのゴメスが、ディエゴ・ヌネス(フルタイム・バッサーに)をかわしてすぐさま2番手に浮上。
その背後にはゾンタのチームメイトで今季ここまで3勝を挙げているアッティラ・アブレウ(シェルVパワー・レーシング)が続き、チアゴ・カミーロ(イピランガ・レーシング)、セラのオーダーで16周目のピットストップまでこう着状態が続いていく。
そのピットレーンに最初に飛び込んだフラーガは、ここでも前日のリピートという悪夢を経験することになり、ふたたび右リヤホイールの脱着が上手くいかずに万事休す。このストップで驚くべき作業速度を披露した4番手アブレウが大逆転での首位浮上に成功する。
そのまま逃げ切ったアブレウが先頭でフィニッシュラインを通過し、見事に今季4勝目をマーク。終盤にオーバーテイクを見せたセラが2位に入り、自身の選手権リードを34点にまで拡大。3位にはリカルド・マウリシオ(フルタイム・スポーツ)が入り、フラーガは4位まで挽回が精一杯となった。
そして第9戦でSCBデビューを果たしていたエステバン・グエリエリ(HEROモータースポーツ)が、今回はフォーミュラEの公式プレシーズンテストで欠場したルーカス・ディ・グラッシの代役として好走を見せ5位に入り、チームの期待に応える活躍を演じた。
これで選手権争いは首位270点のセラ、236点で追う2位のフラーガ、そしてレース1勝利で3位に浮上した194点のバリチェロに絞られることとなり、3位バリチェロが望みを繋ぐには続く第11戦ゴイアニアでの勝利が絶対条件となり、12月の最終戦インテルラゴスでの最大60点獲得の可能性に賭けることとなる。
「とにかくタイトル獲得の可能性を繋げたことは本当に良かった。朝早くからレースを見に来てくれた大勢の観客の前で、なんとかスペクタクルなレースを披露したいと願っていたんだ」と、喜びを語ったバリチェロ。
「今季は僕にとって“小さな復活”のシーズンだと言える。今回は予選の速さでもそれを証明できた。今季2勝目が飾れてうれしいし、前回のここロンドリーナでは2位表彰台もあったから、ロンドリーナが僕を後押ししてくれているとも言えるね!」
「次戦のゴイアニアはレイアウトが変化するとはいえ、今季ミリオン・レースで僕が勝利を飾っているサーキットだ。もちろん、チャンピオン獲得を諦めてはいないよ」
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