ナンバープレートの分類番号(地名のとなりに記載)が2桁のクルマを探しては、そのオーナーを訪ね歩くシリーズ。30年以上もおなじクルマに乗り続ける理由とは? 第14話は“横浜33”の日産の初代「シーマ」に乗り続ける俳優・伊藤かずえさんが再登場!
まさかの新品に
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30年以上、日産の初代「シーマ」に乗り続ける俳優・伊藤かずえさん。日産自ら手がけた大規模なレストアによって、新車当時の輝きが蘇った。
【前編はこちら】
「レストア前、ボディカラーは日産から『何色にしましょうか?』と、質問されたんです。全塗装するのでどんな色でも対応出来たのかもしれませんが、もともとの『イエローイッシュホワイト』が気に入っていたので、それと同じで、とお願いしました。ただし、今では同じ色がなかったようで、このシーマのために作ってくれたそうなんです」
あらためてエクステリアを見ると、さまざまなパーツが新調されていることに気が付く。
「アルミホイールも新しくなっているんです。オリジナルの新品が存在しなかったので、ゼロから作って下さいました。今まで、どうやっても落ちなかった汚れが、まさか“新品”に交換されることで解決するとは夢にも思いませんでした(笑)」
フロントグリルやモール類もピカピカだ。それゆえ、色が若干落ちている“横浜33”ナンバーが歴史を物語る。
「実はナンバープレートも、フロントは1回交換しているんです。色がかなり落ちてしまい、読めないということで……おそらく、そのままでは車検に通らなかったんでしょう。マジックで塗るわけにもいかないですからね。リアはそのままなので、だいぶ色褪せました」
エンジン・ルームも見せてもらった。以前より、ピカピカなパーツが目立つ。赤いヘッドカバーは新車時と遜色ない美しさだ。タイミングベルトなど消耗品も交換されているし、フードを支えている2本のダンパーも新しくなっているから、開閉はスムーズ。
「ボンネット裏側に貼付されたシール類も、当時のものを再現し、新しくなっています。ほら? すごいでしょ。私もびっくりするぐらい、細かい部分にまで手が入っているんです」
ボディにサビなどはなかったという。伊藤さん自身、こつこつとタッチペンやヤスリなどを使い、補修してきたのが功を奏したようだ。かつてはお父様とふたりで作業することもあったという。
「レストアされたシーマを父に見せたら感動していました。そして『いくらやってもこの艶は出なかった』と、言われました(笑)」
実はレストア直前、全塗装を請け負う業者が見つかったそうで、依頼するかどうか悩んでいたという。そのタイミングで、日産からレストアの話が舞い込んだというから、絶妙なタイミングだったのだ。
2桁ナンバー物語の記事はこちら
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エクステリアとおなじくインテリアもさまざまなパーツが交換された。
「シート地は『本革にしましょうか?』と提案されたのですが、もとのモケットが気に入っていたので同じものでお願いしました。レザーの香りがあまり得意ではないので……とはいえ、新車当時とおなじ素材はなかったので当時風に再現してくださいました。新車のときよりもちょっと毛足が長くなったように思います」
以前取材したときは、伊藤さんがかつて履いていたジーンズをリメイクしたシートカバーが装着されていたが、それは見当たらない。
「ジーンズだと色移りしちゃうじゃないですか? せっかくシート地が新しくなったので、今は、別のカバーを使っています。ただ、今日は撮影なので外してきました」
ステアリング・ホイールに巻かれたレザーも新しくなったという。「握った瞬間、『あ、違う』と、気がつきました」とは、伊藤さん。
ほかにもドアトリムが張り替えられた。ただし、ここも当時とおなじ材質がなかったため、新たに選んだものを使う。伊藤さんいわく、微妙に色合いは異なるというが「限りなく、もとの色合いに近づけて下さったので感謝しかありません。長年乗ってきたからこそ違いに気が付いてしまうんでしょうね」。
フロアマットも新調されたのかと思いきや「そこはオリジナルのままですよ」とのこと。新車時に覆われていたビニールをそのままにしていたという。なるほど、だから綺麗だったのか。
「レストアされた部位には保証が付帯しているんです。だから、なにかあったらオーテックに持ち込むことになるのだと思います」
最新の日産車にも乗ったけれど……
現在、シーマの年間走行距離は約5000km。基本的には自宅付近でしか乗らないという。
「コンビニなどの駐車場で声を掛けられる機会は増えました。ただ、オーナーが私であることに気付いていない人は多いです(笑)」
宅配業者の人にもよく声を掛けられるという。そういえば撮影中も「いいクルマですね~!」と集荷にやってきた業者の人が話しかけてきた。
「これだけ注目されると、運転は慎重になります。たとえば信号待ちのとき、前走車との車間距離は、今まで以上にあけるようになりました」
シーマを深く愛する伊藤さんは、いまのところ乗り換えたいクルマはないという。
「シーマのレストア中、おなじ日産の『キックス』に乗っていました。見た目よりもコンパクトで運転しやすかったです。しかも燃費がかなり良くて、給油回数が減りました。鮮やかなボディカラーも魅力的で、シーマとは異なる良さがありました」
キックスで最新日産車の良さを知った伊藤さん。BEV(バッテリー式電気自動車)の「アリア」にも試乗済みだ。
「すっきりとしたインテリアは落ち着きがあって素敵でした。“和”のテイストを盛り込んでいるのも印象的でした。もしかするとちょっとシーマに通ずるデザインかもしれませんね」
アリアはグローバルモデルなので、国内専売車だった初代シーマとは立ち位置が異なるけれど、ウッドを多用せず、質の高いプラスチックなどを巧みに使う点は似ているように思う。
「でも、自分で乗るならマニュアルのクルマに憧れます」
そういえば伊藤さんはシーマ購入時、R32型の「スカイラインGT-R」とも悩んだそうだ。ちなみに現行GT-Rはオートマのみの設定である。それを伝えると「なるほど……やっぱり私はシーマに乗り続けるのが1番でしょうね」。
伊藤さんの愛車はシーマ以外あり得ないのだ。現在、走行距離は26万7763kmだが、はたしてその距離はどこまで伸びていくのか……目が離せない!
【プロフィール】伊藤かずえ1966年12月7日生まれ、神奈川県出身。1978年デビュー。1982年4月21日「哀愁プロフィール」で歌手デビュー。「ポニーテールは振り向かない」など大映テレビ制作のドラマを中心活躍し、現在も数々のテレビドラマや映画へ出演している。
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Vol.1 春日部33のブガッティ EB110 前編/後編
Vol.2 品川35のアルピナB8 4.6 リムジン 前編/後編
Vol.3 練馬34の日産 ステージア 前編/後編
Vol.4 八王子33のディーノ246GT 前編/後編
Vol.5 三重33のBMWアルピナ 3.0CSL B2S 前編/後編
Vol.6 横浜33のフェラーリ テスタロッサ 前編/後編
Vol.7 横浜34のポルシェ 911 前編/後編
Vol.8 品川35のランチア・テーマ・ステーションワゴン 前編/後編
Vol.9 品川35のランチア・テーマ8.32 前編/後編
Vol.10 品川33のメルセデス・ベンツ500SL 前編 /後編
Vol.11 横浜33の日産シーマと女優・伊藤かずえさん 前編 /後編
Vol.12 湘南33のトヨタ・ランドクルーザー・プラド 前編 /後編
Vol.13 大宮33の日産スカイラインGT-R 前編/後編
特別編 横浜33の日産シーマと俳優・伊藤かずえさん第2弾 前編
文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・大内悠子 ヘア&メイク・杉村恵理子
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