若者に限らず、売れ筋のクルマはハイブリッドなどのエコカーばかり。しかし、ソニー損保が新成人1000人を対象に行った「新成人のカーライフ調査2014」によると、欲しいクルマのNo.1に輝いたのは日産のキューブだという。「なぜキューブが1位なのか?」を中心に“新成人のクルマ観”に迫ります!(本稿は「ベストカー」2014年3月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:編集部
日産キューブが「欲しいクルマ」5年連続ナンバーワン!? 10年前の「新成人のクルマ観」に仰天!!【ベストカーアーカイブス2014】
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■2014年 日産キューブが5年連続新成人の「欲しいクルマ」トップに!
新成人の免許取得状況(ソニー損保調べ・2014年)
まず気になるのは、新成人が実際に運転免許を持っているのかどうか? 上は新成人の運転免許の保有状況に関する表だ。
AT限定を含めた運転免許の保有率は56.7%という数値。2010年に行われた調査では同保有率は51.9%だったので、“5年前の新成人”と比べると、4.8%新成人の運転免許保有率は上昇したことになる!!
そして下の表が先に触れたソニー損保が行った調査のなかの、「新成人が欲しいクルマランキング」からベスト10を抜粋したものだ。
2014年 新成人が欲しいクルマベスト10(ソニー損保調べ)。2013年販売は自販連、メーカー各社のデータをもとに作成した国産車の2013年年間販売台数ランキングから抜粋。BMW、レクサス、アウディは車種ではなくブランドのため除外
この結果を見ると、純粋なハイブリッドカーは3位のプリウスと9位のアクアだけ。一番右の欄には参考としてランクインしたクルマたちの実際の2013年販売ランキングの順位を併記した。するとわかるのが、新成人が欲しいクルマは実際に売れているクルマとはかなり違った傾向だということ。
たしかに“欲しい”と“実際に買う”クルマの間にはギャップがあり、例えばBMWやGT-Rを欲しいとは思っても実際に買えないのはなにも新成人に限った話ではないだろう。
ただ、ここで気になるのが1位に輝いたキューブ。実はソニー損保が新成人を対象に行うこの調査、始まったのは2010年で今年の調査は5回目なのだが、5年連続で新成人の欲しいクルマの1位はキューブなのだ。
5年連続で新成人の欲しいクルマ1位に輝いた日産キューブ
どうしてキューブが気になるのか? その理由は3つある。
まずは販売台数。キューブの2013年、年間販売台数の順位は37位。月販平均では1750台と実績では飛び抜けた人気車ではないことがわかる。そして価格。キューブの売れ筋グレード、15X Vセレクションは171万1150円。対してアクアの中間グレードSは181万円と若干キューブが安い。日本一売れているアクアとほぼ同じ価格帯のキューブはBMWなどと異なり“欲しいけど買えない”クルマではない。ということは新成人が単なる憧れとしてキューブという車名を挙げているわけではなさそう。
そしてもうひとつは燃費。エコカー減税制度の影響もあり、燃費のいいハイブリッドカーが人気の昨今だが、表にもあるようにキューブのJC08モード燃費は19.0km/Lと同クラスのアクア(37.0km/L)やフィット(36.4km/L)と比べて、いいとは言えない。
この3つから考えると新成人が欲しいクルマNo.1がキューブだというのは全体の傾向とはちょっと違った印象に映る。
じゃあ新成人たちはどんな事をクルマ選びのポイントに選んでいるのだろうか? 下の表は新成人が初めてのクルマ選びで重視するポイントの上位10項目だが、73%の新成人が重視すると答えトップとなったのは価格。しかし意外なことに2位は55.4%でデザインだった。しかも3位の燃費とは20%以上差で新成人はデザインを燃費以上に重視している。
新成人のはじめてのクルマ選びの基準(ソニー損保調べ・2014年)。複数回答(3つまで)という条件で各項目のなかから選択
ちなみに調査会社の(株)バルクが10~60代の1271人を対象に行った調査によると外観デザインを「とても重視する」と答えたのは33.8%で価格(57.2%)と燃費(38.7%)には及ばず3位。
この結果からも新成人はほかの世代より「クルマはやっぱデザインがよくなきゃ!!」と考えているようだ。
10~60代のクルマ選びの基準(株式会社バルク調べのデータより・2014年)。各項目に対して「とても重視する」と答えた人数の割合を抜粋
■ハタチの男はクルマ好き!?
2014年 新成人の欲しいクルマ・男性編(ソニー損保調べ)
じゃあ実際の新成人男性はクルマに対してどんな価値観を持っているのか?
その生の声を聞くべく今年、新成人を迎えた5人の大学生、Aくん、Bくん、Cくん、Dくん、Eくんに話を聞いた。
ソニー損保調べの調査(上表)によれば、新成人の免許保有率は56.8%だったが、この日集まった5人中4人が免許を保有!! しかも4人中3人はMT免許を持っているという。
案外、若者のクルマ離れは幻想か!? と思い、「クルマに興味ある?」と質問。これに「興味がある」と答えたのはDくんひとりだけ……。「愛車はS15シルビアなんッスよ!!」と嬉しそうに語るDくんに対し、クルマに「興味がない」と答えた4人は「何のこっちゃ」という表情。新成人のクルマ好きは少ないかも!?
さて、そんな5人に将来クルマを選ぶ時に最も重視する点は? と聞くと、全員が口を揃え「デザインのよさ!!」と即答。上の表をみると新成人男子にはプリウスも人気だが、実際にクルマに興味がない人でも値段や燃費ではなく真っ先にデザインを挙げるということはやはり新成人はデザインを重視する傾向があると言えそう。
じゃあ男女総合1位に輝いたキューブに対してはどんなイメージ? と聞くと「デザインが可愛い系でオシャレな印象」とのこと。ちなみにクルマ以外に欲しいモノは? との質問には「単位が欲しいッス!! あとはマックのPCです」といかにも新成人学生らしい答え。
クルマに対する興味は高くないものの「ミニクーパーはオシャレでいいですよね」という意見も出た。新成人の男子学生にはクルマに限らず新鮮でオシャレなデザインのモノが琴線に触れるようだ。
ミニクーパーのデザインはクルマに興味のない男性新成人にも好評
■キューブ1位を探るカギ! イマドキ女子の意見とは!?
2014年 新成人の欲しいクルマ・女性編(ソニー損保調べ)
本題に入る前に上の表を見てもらうとわかるが、総合1位のキューブは女性のみのランキングでも欲しいクルマの首位で、「なぜキューブが1位なのか?」を探るには新成人女子の声を聞くことはとっても重要。そこでイマドキ新成人女子の生の声を探るべく大学に通うFさん、Gさん、Hさん、Iさんの4人の新成人に話を聞いた。
まずはクルマに対する意識から。4人中、自動車免許を保有しているのはFさんのみ(AT限定)。Gさんは「3月から教習所に通う予定です」というが、残るふたりは免許取得の予定なしとクルマへの興味は薄め。
ただ「どんなクルマが好き?」と聞くと「丸くてライトが大きいクルマが可愛くていいです!! ラパンはそんな印象があっていいですね」ときちんと車名を交え、好きなクルマ観を語ってくれた。
そして「このなかだとどのクルマがいい?」と総合トップ10車種の写真をみせると「キューブはおもちゃみたいで可愛い」「窓の形も丸くてオシャレ」とやはりキューブに対して、かなりの高評価!! またモコやマーチの名前も挙がり、ほぼランキングの結果を裏付ける形に。
キューブ以外で最も4人の評判がよかったモコ
ちなみに86の写真を見つけ「ドアが2つしかないんですか!?」と女子たちは驚きの表情。もはやスポーツカーという概念は通じないのかもしれない。
さらに「(彼氏のクルマだったら)ちょっとやりすぎかな……」とひと言。ここで担当の脳裏には「いや水平対向エンジンが……」というフレーズが浮かんだが、即座にそれをしまったのはいうまでもない(笑)。
「燃費も大事だけど、ダサいクルマは嫌。それほどの頻度で乗らないならデザインが可愛いクルマがいい」。
新成人女子たちにとって“丸くて可愛いデザイン”はクルマ選びの最重要ポイント。四角いながらも角が取れたデザインのキューブに人気が集まるのも納得できる。
■日産に聞く“新成人キラー”キューブ 販売促進の秘策とは?
キューブが新成人の特に女子から高い支持を受けていることはわかったが、日産はそれをどう捉えているのか? 日産自動車広報部に聞いた。
「ソニー損保の調査でキューブが2年連続No.1を獲得した際、弊社のキューブのチームも新成人がどのようなマインドを持っているのか、具体的にキューブのどういう点が“欲しい”と感じるツボなのか調査をした経緯があります」(広報部)
とやはり日産自身もこの調査結果をかなり興味深く受け止めた様子。ではその後具体的にどんなことをしたんですか?
「(調査結果を受けた企画の)ひとつとして、シート地などの内装でキューブ独自の世界観を大切にし、毎年新しいテーマで内装に特化した特別仕様車を投入しています」(広報部)
細かくみると、2009年10月には横浜の海をイメージしたインディゴブルーの内装色を採用したインディゴセレクションを投入。そして、昨年10月には北欧のカフェをイメージしたチェック柄のシートを採用したロルブーセレクションを投入するなど、頻繁に新しいテーマの内装色に特化した特別仕様車を投入。15Xロルブーセレクションは2番目の人気グレードとなっている。
ロルブーセレクションのインテリア
インディゴセレクション内装
スエード調クロス地シートを採用のパーティレッドセレクション
キューブ人気の裏にはこうした新成人に向けたインテリア面の新しい提案も隠されていた!!
■まとめ
ここまで、データや実際の新成人の声などさまざまな点から新成人のクルマ観を探ってきたが、男女ともに共通していたのは、クルマ選びの基準として他の世代以上に「デザインのよさ」を重視していること。
それは女性にとっては「丸みがあって可愛いデザイン」だし、男性にとっては「個性的で新鮮なオシャレさ」と意味が少し変わる。
キューブは男性の欲しいクルマでも8位にランクインしているように、女性が支持するモコやマーチなどの丸いフォルムのクルマたちとは違い、男性にも「新鮮でオシャレなデザインだ」と思わせたからこそ、総合1位を獲得できたのだろう。
新成人たちを取材していて意外だったことは「クルマに興味がない」といいつつも「こういうのはデザインがいいクルマだよね」という彼らなりのクルマ観がそこにはあったこと。
燃費や価格以上に新成人たちの琴線に触れる個性的なデザインのクルマが増えれば、新成人のクルマへの興味がグッと増すかもしれない!!
【画像ギャラリー】日産キューブが「欲しいクルマ」5年連続ナンバーワン!? 10年前の「新成人のクルマ観」に仰天!!(13枚)
【番外コラム】2014年 新成人が選ぶ一緒にドライブしたい新成人は?
こちらでは新成人が選ぶ「一緒にドライブしたい新成人」の有名人ランキングをご紹介。その結果が下の表だ。
一緒にドライブしたい新成人ランキング(2014年)
堂々の1位は志田未来。2位の神木隆之介とともに子役時代から活躍したコンビがワンツーとなった。志田未来は新成人が欲しいクルマ8位のダイハツムーヴのCMにも出演中。
ということは「ムーヴ+志田未来」の組み合わせは新成人への訴求効果大か!? 実は彼女、男性新成人が選ぶ同ランキングで1位を獲得しただけでなく女性が選ぶ同ランキングでも3位と同性からの支持も高いのだ!!
(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)
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みんなのコメント
ちゃんと存続させて欲しかった
乗り心地も、大きさ広さも良かったし
何より外観が好きでした。