近年の上海モーターショーは、欧州メーカーが新型モデルを発表する場でもある。2019年は、ポルシェ「カイエンクーペ」、アストンマーティンの市販電気自動車「ラピードE」、そしてメルセデス・ベンツのコンパクトSUV「GLBコンセプト」などが、お披露目された。
これらブランニューモデル以上に興味深いのが、欧州ブランドの中国専用モデルである。なかでも、ボディをストレッチしたロングホイールベース・モデルが目立つ。
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もっとも注目を浴びていたのは、BMWの「325iL」だ。日本でも販売が始まった新型3シリーズのロングホイールベース版で、通常モデルに対し、ホイールベースは41mm延長されている。
おなじドイツ勢のメルセデス・ベンツは、新型Aクラスセダン(日本未導入)のロングボディである「A200Lセダン」と、AMGバージョンの「AMG A35L セダン」をお披露目した。こちらもホイールベースは、ベースモデルに対し60mm延長されている。AMGモデルにまでロングホイールベース仕様を作るとはすごい。
ちなみに、Aクラスセダンのロングホイールベース・モデルは中国生産車に限られるという。AMGバージョンもおなじであるという。AMGがドイツではなく中国でも作られるようになったとは驚くばかりだ。
ちなみにメルセデスはAクラスのみならず、CクラスやEクラス、そしてSクラス(こちらは中国限定ではない)まで、基幹セダンにはすべてロング仕様を用意する徹底ぶりだ。
かつては中国の高官が好んで愛用し、現在でも中国国内で高いブランドイメージを保つアウディもロング・ボディを多くそろえる。「A4」や「A6」といったセダンにくわえて、なんとSUVの「Q5」にも設定されている。
ほかにもフォルクスワーゲンの「ティグアン」やプジョー「508」にもロングホイールベース・モデルが設定されていた。
なぜ、中国の人々はロングホイールベースを求めるのか? いくつかの欧州メーカーの担当者に聞いた答えを、端的にまとめると「面子(めんつ)」のためという。
中国においてクルマのリアシートは、運転手付きのリムジンを除けば、誰かを乗せてもてなすための空間であり、快適性の高さこそが、オーナーの面子を保つというのだ。
しかも、日本以上におもてなしが重要視されるため、必然的にベースモデル以上の豪華さと居住性の高さを求められるという。
したがって、居住性の高いロングホイールベース・モデルが求められるのだ。実際、これらモデルのリア・シートに乗ると広い。日本人の感覚からすれば広すぎるくらいだった。
なお、欧州ブランドの中国専用モデルはロングホイールベース・モデルに限らない。たとえばフォルクスワーゲン・ブースには「Tharu」というクロスオーバーSUVが展示されていた。
BMWは「1シリーズセダン」を中国専用モデルとして設定する。中国以外では販売されていない1シリーズセダンは、名前こそ1シリーズであるが、メカニズム上はハッチバックとは無関係である。ハッチバックがFRなのに対し、FFなのだ。
1シリーズセダンは現行「2シリーズ」のツアラー系や「X1」、さらには「MINIクラブマン」といったFF系のプラットフォームに、現行1シリーズのハッチバックに似たデザインのセダンボディを被せているのである。
かつて中国市場で販売される欧州メーカーのモデルといえば、商品価値と原価の下がった旧型モデルばかりであった。
たとえば古くから中国市場に参入していたフォルクスワーゲンは、欧州や日本で1980年代に販売されていた「サンタナ」が、改良を繰り返しながら、なんと2012年まで現役だった。
もちろん、今でもそういった廉価モデルは販売されている。フォルクスワーゲンは、2019年、「ジェッタ」と呼ぶ新しいブランドをつくり、若者向けの低価格モデルを販売している。
しかし、欧州メーカーが販売する旧型モデルや廉価モデルは少なくなった。とくに大都市圏では消費者の所得も上がり、より豪華で快適な新型モデルを求める傾向が強いという。
結果、欧州メーカーは、最新モデルのロングホイールベース・モデルや最新のプラットフォームを使った中国専用モデルを開発、販売しているのだ。
変わりゆく中国市場は、当面、世界最大規模を保ち続けると言われている。国内外200以上の自動車メーカーが競い合う激戦区のなかで、欧州メーカーの戦略も確実に変化していることを、2019年の上海モーターショーで、あらためて実感するのであった。
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