修理相談首位が映すカーライフの変化
修理相談件数が最も多いクルマと聞けば、その車種は壊れやすいのではないかと思う人もいるだろう。しかし、実態はそう単純な話ではない。
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板金塗装を手掛けるイケウチ(東京都千代田区)が公表した2026年上半期の修理データでは、修理相談件数の首位はアルファードだった。続いてプリウス、フリード、セレナ、ハイエースが顔をそろえる。
ただし、この順位は同社34店舗で受け付けた修理相談3万2476件を集計した自社調査によるもので、日本で保有されている車両全体や修理市場全体を示す統計とは異なる。したがって、日本で最も修理されているクルマと読み替えることはできない。
とはいえ、このデータからうかがえる側面もある。目を向けるべきなのは、どのような車種に修理相談が集まっているのか。その顔ぶれを追うと、いまのカーライフが少しずつ変わり始めている様子が浮かび上がるだろう。
直して長く乗る選択の背景
同社によると、2026年上半期の相談件数は前年同期比で約1.9倍に達した。ただし同社は、この増加には店舗数の拡大によって受け入れ件数が増えたことも影響しているとしており、市場全体の需要が同じ割合で伸びたわけではないという。
それでも、修理して乗り続けるという選び方が広がっていると考えられる材料は少なくない。新車への買い替えを控える背景には、いくつもの経済的、技術的な事情が絡み合っている。
近年は新車価格の上昇が目立つ。自動ブレーキなどを備えた先進安全自動車(ASV)の普及や、電動化の進展によって車両価格はさらに高額化した。加えて、物価上昇や金利環境の変化が家計の負担を増やし、車を買い替える余力を奪いつつある。
価値観の変化も見過ごせない要素だ。新型車を次々と投入して買い替えを促す手法は以前ほど受け入れられなくなり、信頼性の高い車を適切に手入れしながら長く使う考え方に関心が集まっている。その結果、これまでなら買い替えていた人が、修理を重ねながら同じ車に長く乗り続けるケースが増加した。
修理市場で起きている変化は、単に修理件数が増えたという話にとどまらない。車を保有する期間が長くなり、人々の車との付き合い方が変わってきたことの表れといえよう。
高頻度で稼働する生活車の利用実態
ランキングを見ると、上位にはミニバンやコンパクトカー、軽自動車が多数並ぶ。
これらは趣味性よりも実用性を重視して選ばれる車種だ。とりわけ共働き世帯や子育て世代にとっては、移動のためだけではなく暮らしを支える存在である。通勤や子どもの送迎、買い物など、毎日の予定の中で出番は必然的に多くなる。
利用頻度が高くなれば、狭い駐車場での接触や細い道での擦り傷など、小規模な板金修理が必要になる場面も増えがちだ。家族で共用する例も珍しくなく、年間の走行距離も伸びる傾向にある。
そう考えると、修理相談件数は車両そのものの品質だけで決まるわけではなく、暮らしの中でどれほど頻繁に使われているかという実情が、色濃く反映された結果と捉えられる。
一方、高価格帯スポーツタイプ多目的車(SUV)の順位が相対的に下がったことも、それだけで人気が落ちたとは断定できない。販売台数や保有台数、使われ方の違いなど、さまざまな要素が順位に影響を及ぼしているからだ。
長期保有化が変える自動車産業の評価軸
こうした保有期間の長期化は、自動車メーカーにとっても見過ごせない動きといえる。新車価格の上昇を受け、消費者は車両価格だけでなく、修理費や点検費を含めた「総所有コスト」までシビアに意識して車を選ぶ傾向が強まった。
これまで販売競争では、新型車の投入や装備の充実が注目を集めてきた。しかし、長く乗り続ける人が増えるなら、修理部品を安定して供給できるか、補修費用を抑えられるか、整備網が充実しているかといった点も、車選びを左右する要素として浮かび上がる。循環経済への関心が高まる中、アフターサービスも修理対応にとどまらず、顧客との関係を長く保ち、収益の柱として機能する役割を担う領域へと変貌しつつある。一方、
・独立系整備工場
・板金事業者
も大きな転機を迎えた。修理の依頼が増える反面、人手不足が深刻な影を落としているためだ。この状況に対応するには、職人ごとの経験に頼る仕事の進め方を見直し、十分な品質を保ちながら、より短い時間で修理を終えられる体制づくりが急務となる。同社が進める修理工程の標準化やデータ活用による効率化も、その解決策のひとつに位置づけられるだろう。
もっとも、この修理相談ランキングは一企業の集計結果にすぎず、日本市場全体の動きを完全に示す指標とはならない。それでも、
・新車価格の上昇
・車齢の長期化
・物価高
といった変化を重ねて見れば、買うことよりも使い続けることの重みが増している流れは読み取れるだろう。
これが、日本のカーライフが買い替え中心から長く乗り続ける方向へ移り、その変化に合わせて自動車産業も、安心して長く使える環境づくりを求められる時代に入ったことを映し出す実態なのだろう。(作田秋介(フリーライター))
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みんなのコメント
自分の住む地域も〇〇通りと呼ばれる道ですらアルヴェルはセンターラインを平気で割って向かって来ます、何度接触事故になりかけた事か
自分はタイヤがL字側溝に乗ってるのが判るくらい寄せて避けますが、向こうはセンター割ったまま避けようともしない、ヘタクソにも程がある頭がオカシイとしか思えない。