この記事をまとめると
■ホンダのシビックはイギリスでも生産されていた
世界最高のエンジン屋「ホンダ」の突き抜け方がスゴイ! 衝撃の世界記録3つ
■イギリス専売モデルとして「シビックツアラー」というモデルが存在した
■ディーゼル仕様が存在しており燃費のよさを武器にギネス記録まで獲得した
こんなクルマあったのか!
先日、筆者のある友人から「お前このクルマ知ってる?」と、1枚の写真を見せられた。そこに写っていたのは「なんだFK2(2015年に750台限定で販売された4代目シビックタイプR)か。知らないわけないだろ!」……と叫びかけたのだが、写真を見るとなんか妙にクルマが小さい。というか細い。しかも青ともグレーともいえないたとえ難い謎のボディカラー。しかもこれ、なんか後ろが長いぞ!?
「ジェイドの顔面スワップ車(他モデルのフェイスを移植)か!?」とも思ったが、しばらくしてようやく正体が判明した。そう。これは英国ホンダが欧州で販売していた、その名も「シビックツアラー」なる、ここ(日本)にいるのが異常な、超レアなクルマである。荷物が運べる便利なシビックという、往年のシビックシャトルやシビックカントリーを彷彿とさせる、この超魅力的なシビックを今回は紹介したい。
このシビックツアラーは、2013年にフランクフルトモーターショーでお披露目した、スポーツワゴン的なキャラクターをもつ1台。英国現地法人であるホンダモーター・ヨーロッパが手掛けた欧州専売車であり、ホンダ・UK・マニュファクチャリング(HUM)のもとで製造された。ちなみにこのクルマは、日本でもお馴染みの2代目シビックタイプR(EP3)や、3代目シビックタイプRユーロ(FN2)、4代目、5代目シビックタイプR(FK2/FK8)などを手掛けてきた、スウィンドン工場製だ。ただしここは2021年7月に稼働を停止している。
デザインは見ての通り4代目シビックタイプRに近い雰囲気で、見るからにスポーティ。Aピラーもかなり寝ており、相当な流線型であることが特徴で、リヤフェンダーの造形もなかなか流麗。見る角度によってはかなりボリュームを感じるデザインだ。ボディサイズは全長4520mm×全幅1770mm×全高1440mmといった具合で、イメージとしては、MAZDA3ファストバックやインプレッサくらいのサイズ感だ。そこはやはりシビックなので、まぁまぁ小さい。
なお、4代目シビックタイプRとさっきから繰り返しているが、シビックという車種で見るとベースは9代目であり、オーソドックスな5ドアハッチバックモデルをベースに、Bピラーから後ろを235mm伸ばしてワゴン化しているのが特徴だ。
参考までに、同時期に日本で販売されていたジェイドと比較すると、全長は130mm短く、全高は90mm低く、幅は5mm狭くなっているそう。こう見ると、ジェイドで事足りそうだとは、あえていわないでおく……。荷室は通常時で624リットル、リヤシートを全部倒すとなんと1668リットルと超広大に。
ギネス記録を獲得した名車でもある
車内も見た目に負けずかなりスポーティで、ドライバーを包み込むようなインパネが特徴的。タイプR同様にセンターにタコメーターを配置して、スピードメーターなどは分割された上の部分にデジタル表示されるようになっている。
と、ここで車内の写真を見て、なにか惹かれるものが目に入らないだろうか。そう、このシビックツアラー。なんとMTが存在するのだ! まあ欧州ではそれほど珍しいことではないのだが……。シビックツアラーには、1.8リッターの直4ガソリンエンジンと、1.6リッターのクリーンディーゼルエンジンが用意されており、前者はATとMT、ディーゼルはMTのみが選べた。
ガソリンエンジンは0-100km/h加速は9.5秒、最高速は210km/h(MT車)、ディーゼルエンジンは0-100km/h加速は10.5秒、最高速は195km/hほどと、びっくりするほど速くはないが、ディーゼルエンジンは燃費が素晴らしいようで、欧州複合基準燃費は26.3km/Lとしつつ、実測では20km/Lほど。これは、1タンクで1000km以上走れる計算だ。
実際に、「もっとも低燃費で欧州24カ国をまわる」というギネス記録に挑んでおり、平均燃費2.82L/100km(日本式換算:約35.5km/L)という結果を叩き出して、無事認定されたとのこと。1回の給油で平均1500km以上走れるそうだ。ホンダがエンジン屋と言われる所以を感じることができるエピソードといえよう。しかも、この車格をディーゼル+MTで操るのは相当面白いはず。
足まわりもじつはユニークで、リヤには「アダプティブ・ダンパー・システム」を採用したザックス製ダンパーがインストールされ、路面や走行状況に応じ、「ダイナミック」「ノーマル」「コンフォート」の3段階の調整が可能だ。これは世界初の機能とのことだ。
なおこのシビックツアラー、なんとイギリスの人気モータースポーツであるBTCCにも出走していたことがあり、”バトルワゴン”としても活躍していた。じつはワゴン形状は空力がよく、日本でもスーパー耐久でランサーエボリューションワゴンや、同じくBTCCでスバルのレヴォーグが使われていた実績がある。実際このシビックツアラーも何度か表彰台に上がっている。
そんなシビックツアラーは、現地で2万6140ポンド(2014年は1ポンド=約180円・日本円で約470万円)で販売されており、そこそこの人気を得ていたそう。
さて、もう10年も前のクルマであるが、このように「ただのシビックワゴン」と片付けるにはあまりにも惜しいこのシビックツアラー。じつは日本でも並行輸入専門業者が取り扱っていただけでなく、中古車としても扱っていた履歴を見つけることができた。どこにでも変わり者がいるものだ。
何台輸入されたかは不明だが、先日友人が見かけた1台がある以上、廃車になっていなければ日本に1台以上はいると考えていいだろう。なお、見かけたクルマは北関東エリアのナンバーだったとのことで、もしかするとホンダ本体が所有するクルマの可能性も……!?
超激レアなこのシビックツアラー。もし日本で見かけたら、ぜひ心のなかだけで大騒ぎしてもらいたい。
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