日産の新型エルグランドの受注が約9000台超とかなり好調だ。公道での試乗をする機会を得たのでさっそくレポートをお届けしよう。テストコースでの試乗を含めて「レクサスLMを超えている」と豪語する編集部員だが、公道での振る舞いはどうだろうか?
文:ベストカーWeb編集長 塩川雅人/写真:平野陽、ベストカーWeb編集部ほか
【画像ギャラリー】ホントにミニバンか!? 百聞は一見に如かず! ワインディングをグイグイ曲がる新型エルグランドの走行ショットを大公開!(15枚)
走行性能に関してはライバルはいないと思わせる
新型エルグランドは全車e-4ORCEを搭載し、パワートレインは第3世代e-POWER。日産としても先代E52を厳しい台所事情のなかで15年以上も存命させていたわけで、エルグランドへかける思いは並大抵ではない。
日産のアイコニックな存在としてエルグランドの火を絶やしてはならないという意気込みは開発陣からもヒシヒシと感じるし、実際にテストコースで意地悪な試乗をしてもその乗り味はまさに日産らしさと、ライバルを見据えた乗り味に仕上がっている。
今回は御殿場を基準に箱根方面のワインディング、そして新東名を走ってほしいというまさに走りを売りにした試乗コース。さっそく401号線に繰り出そう。
非常にタイトでツイスティーなコーナーが続く。ミニバンで走れば「お父さん、気持ち悪くなってきた」と必ず言われるであろうコースだ。もちろん試乗推奨コースにも入っていないがあえてこの道を選んだ。
e-4ORCEは生活四駆ではないというのをヒシヒシと実感する。グイグイと向きを変え、リアタイヤがトラクションを絶妙な塩梅で路面に伝える。「これはアテーサET-Sだよなぁ、もはや」。思わず呟くほどの走りを見せる。
FRベースの4WDとしてR32 GT-Rなどで採用されたいわば「飛び道具」のアテーサ。4WDを都合よく使うという部分はe-4ORCEも同じコンセプト。さらにエルグランドには電子制御サスも装備されている。1/100秒で演算を繰り返すサスペンションと、この圧倒的な4輪制御。こんなミニバンは現状で存在しない。
ドライブモードを正しく理解したい
6種類のドライブモードが選択できるエルグランド。主に使うのがコンフォート→スタンダード→スポーツの3つだろう。険しい峠道ではスポーツを使う。当然ながら足回りの減衰もしっかりとして、操舵感もダイレクトになる。
ただこれはクルマ好きが、フロントシートだけで好き勝手に走るシーンだ。家族、そして法人需要でのショーファードライビングを考えればより快適な「コンフォート」を積極的に選びたくなる。
峠から御殿場市内にくだり、早速コンフォートモードへと変更する。たしかに10-30km/hでの路面の凹凸の吸収性は高くなる。しかしそれと同時にふわふわとした浮遊感を覚える。大きな船に乗っているような「ドンブラコ」という感じだ。
相当に注意してアクセルワークをしてみたが、キャプテンシートではやはりユサユサ感が気になる。これは好みの問題かもしれないがあくまで夕方の銀座通りのような、トロトロしか進まない道路などでは相性はいいのかもしれない。
そのまま高速道路に入り100km/h巡航をしてみる。やはりコンフォートはかなり厳しく、底付きするような印象すら受ける。実際に開発陣の設計思考としてはコンフォートは低速よりのモードというが、いかんせん「コンフォート」と聞くとどこでも快適な雰囲気が出てしまうのは少しもったいない。
開発陣に聞くと、当然ながらコンフォートのなかでもサスペンション制御は演算を繰り返して最適な減衰を提供しているというから、できればオートモードなどを新設してドライブモードと足回りの協調制御を全自動化できるのではないだろうか(日産ならできないことではないかと思うし)。
圧倒的静粛性も備えてエルグランドが直面する課題とは
また静粛性もとんでもないレベル。60扁平のタイヤも効いているが、新東名の120km/h区間でも車内の会話はオフィスにいる時よりも小声でできる。2列目との意思疎通も問題ない。道案内のガイダンスがヘッドレストから聞こえるのはちょっとゾワっとしてしまったが、これはオフにすればいいこと。
しかしエルグランドにはまだ課題がある。それは「わかりやすさ」だ。日産のクルマは乗れば絶対に気に入る消費者は多いはず。ただディーラーに行くまでが非常に長い道のりになってしまう。それは「わかりにくい」のだ。今回のようは圧倒的な操縦安定性、いわゆる乗り味についてもミニバンユーザーからすればかなり興味は薄い。
なぜ4WDしか設定がないのか、なぜこの価格なのか、e-POWERとトヨタハイブリッドとの違いなどもっと説得力を販売現場が持たなければならない。今はいわゆる「ご祝儀相場」であり、一巡すれば販売は落ち着いてしまう。現状の勢いをどこまで維持できるかはメーカーも販売現場も考えていかなければならない。
そしてアルファード/ヴェルファイアと直接競争をしても意味がないという意見が日産にもあるようだが、それは断じて違う。高級ミニバンのパイオニアとして勝って当然だし、15年以上ぶりの新型なのだから現行のライバルを圧倒するのは当然だ。
新型エルグランドは先代のようなロングライフなモデルにはならないと思うが、ライバルはどんどん進化する。レクサスLMにしかない電子制御サスも、今回のエルグランドを徹底研究してアルファード/ヴェルファイアにも採用してくるだろう。
そうなった時にエルグランドのアドバンテージはどこなのか? 2027年にエルグランドに搭載されるAI制御の次世代Pro PILOTはまさにその期待を背負うことになるだろう。今後のエルグランドの進化に大いに期待したい。
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みんなのコメント
みんなニッサンに急げ!、、、笑