■ボンネットマスコットを見なくなったワケ
クルマのボンネット先端で美しく輝く「ボンネットマスコット」は、ブランドが持つ格式を示すシンボルでした。
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しかし近年では、ボンネットマスコットを採用するクルマは激減しています。なぜボンネットマスコットは採用されなくなったのでしょうか。
ボンネットマスコットとは、自動車メーカーのロゴやシンボルを立体化し、ボンネットの先端中央部に取り付けられるアクセサリーのひとつです。
平面的に作られるエンブレムは車内から見えませんが、ボンネットマスコットは立体的に作られるため車内からも見え、先端部の中央に設置されることから、クルマの先端を把握する目安にもなります。
また、ブランドのシンボルとして一部の高級車に採用されるため、羨望の眼差しを受ける存在でもありました。
そんな高級車に積極的に採用されていたボンネットマスコットですが、近年は見かけなくなりました。これは2001年6月に、クルマの国際基準調和の一環として道路運送車両の保安基準等が改定され、国際基準である「乗用車の外部突起(協定規則第26号)」が導入されたことが要因です。
改定された「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」では、2009年1月1日以降に登録したクルマについて、「自動車の外部には、衝突時又は接触時に歩行者等に傷害を与えるおそれのある形状、寸法、方向又は硬さを有するいかなる突起を有してはならない」と規定されています。
多くのボンネットマスコットは、この告示に抵触する恐れがあっただけでなく、メーカーとして歩行者保護の姿勢を示す観点からも採用を取りやめる例が増え、現在では街中で見ることも少なくなりました。
そんな絶滅が危惧されるボンネットマスコットは、現在でもメルセデス・ベンツの「Sクラス」や「Eクラス」の一部グレードで採用されているほか、ロールスロイスでは全車種で採用され続けています。これらの車両は法令には抵触しないのでしょうか。
法令では、「装飾部品であってその支持部から10mmを超えて突出しているものは、その先端部分に対し、装飾部品を取り付けた表面に平行な平面内のあらゆる方向から10daNの力を加えた場合に、格納する、脱落する又はたわむものでなければならない」と明記されています。
また、「装飾部品は、格納、脱落又はたわんだ後に残った突出量が10mm以下でなければならない」と規定されており、表記内の10daNとは、およそ10kgを荷重した状態です。
現在、メルセデス・ベンツで採用されているボンネットマスコットは可倒式となっており、衝突時に倒れることで衝撃を緩和します。また、倒れたときの突出量が10mm以下となっているため、法令に抵触しないようになっています。
また、ロールスロイスのボンネットマスコットは、マスコットへの衝撃を検知するとボンネット内に格納されるようになっています。
盗難防止としても実装された機能ですが、ロールスロイスのクルマにボンネットマスコットである「フライングレディ(スピリット・オブ・エクスタシー)」はなくてはならない存在です。
複雑な機構を搭載することなろうとも、ボンネットマスコットを採用し続けるロールスロイスの意地を感じます。
■ボンネットマスコットの意味とは
ボンネットマスコットは、コレクターズアイテムにもなっており、貴重なものは高値で取引されており、バブル期にはあえて自分のクルマにマスコットを装着するドレスアップカスタムもありました。
国産車でも、日産「シーマ」やトヨタ「クラウンマジェスタ」のように、ボンネットマスコットが特徴的なモデルがありました。
さらに輸入車では、メルセデス・ベンツにはロゴでもある「スリーポインテッド・スター」がマスコットとして使用されています。
これは、「陸・海・空」を意味し、陸海空とあらゆる乗り物において頂点を極めるという強い意思を示したものだといわれています。
ジャガーには、その名の通り動物のジャガーをモチーフにしており、飛びかかる瞬間を表現。また、ベントレーの「フライングB」は、1930年に発売された「8リットル」というモデルに初採用されたことから使用されました。
そしてロールスロイスの「スピリット・オブ・エクスタシー(フライングレディ)」は1911年以来、ロールスロイスのアイコンとして使用されています。
世界でもっとも有名なシンボルのひとつといわれ、「美しさ、富、スタイル、完全さ」を具現化したボンネットマスコットです。
いまでは、安全性の問題から廃止されたものや、当時から大幅に進化した形で採用されるものなど、代わりつつあるボンネットマスコット。
しかし、自動車メーカーを代表する高級車に採用されていたボンネットマスコットは、そのクルマに乗る人だけでなく、街でボンネットマスコットを見る人すらも魅了する存在だったといえるでしょう。
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基本、キーのロック/アンロックで出たり入ったりですが、それも車内でゴチャゴチャやっているとたまに隠れっ放しになったりします。