新艦種「哨戒艦」は1隻約90億円
海上自衛隊の新しい艦種「哨戒艦」(OPV)の起工式が2025年2月14日、JMU(ジャパンマリンユナイテッド)横浜事業所磯子工場で実施されました。
防衛省は2022年末に策定した「防衛力整備計画」に基づき、約10年間で12隻の哨戒艦を整備する方針を掲げており、今回JMUで起工したのは2023年度予算で建造が決まった1番艦から4番艦の計4隻となります。1番艦と2番艦は今年(2025年)11月に、3番艦と4番艦は2026年3月に進水し、2027年3月に4隻全てが防衛省/海上自衛隊に引き渡される予定です。
哨戒艦は、中国など周辺国の海洋活動の急速な拡大、活発化が続く中、日本周辺海域の警戒監視を通常時から長期間にわたって行い続ける艦艇として導入することが決まりました。主任務である洋上での警戒監視の特性を踏まえて、長期滞洋性を確保するとともに、少人数での運用を可能とするため、自動化・省人化を図っているのが特徴です。
防衛大綱には12隻を整備することが明記されており、2019~2023年度の装備品の見積もりを定めた「中期防衛力整備計画」、いわゆる「中期防」では、このうち4隻を建造するとしています。併せて哨戒艦部隊の新編も明記され、FFMと連携した常続監視態勢の強化も図っていくとしています。
防衛省は2022年6月30日、哨戒艦の新造に向け、JMUを主契約者に、三菱重工業を下請負者に選定したと発表。2023年度予算で4隻の建造費として357億円が計上されています。ちなみに、単純計算では1隻あたり89億円になります。2024年2月には、正式な建造契約が約317億円でJMUと結ばれました。
多用途性と徹底した省人化が特徴
JMUが提案した哨戒艦のデザインは、ステルス性を考慮したと推察される角型船型が特徴です。基準排水量は1920トンで、全長は95m、最大幅は12m。機関はディーゼル電気とディーゼルの複合推進(CODLAD形式)を採用し、最大速力は約20ノット(約37km/h)以上となっていきます。
武装は、艦首に30mm機関砲1門を装備。艦尾にはヘリコプターの着艦も可能な多目的甲板を備えるほか、USV(水上無人機)やUUV(無人水中航走体)のような機材の運用を想定したと見られる艦尾揚収装置や多目的格納庫、多目的クレーンも確認できます。艦首喫水線下にはバウスラスターが装備されていますが、これがあるとタグボートの力を借りずに出入港が可能なため、十分な設備がない港でも利用可能です。もちろん波の荒い外洋で行動することを前提としているため、横揺れを抑えるための減揺タンクも備えています。
このため、広い甲板を活用して多用途支援艦のように「海上自衛隊の便利屋」のような活躍もしそうです。
乗員数は約30人。汎用護衛艦である「あきづき」型(基準排水量5050トン)の約200人、FFMの「もがみ」型(同3900トン)の約90人よりはるかに少なく、数だけでいえば「ひびき」型音響測定艦(同2850トン)や「ひうち」型多用途支援艦(同980トン)の約40人と同程度です。
これは哨戒艦が洋上の警戒監視をメインに運用する艦種であるため、人員を減らしても十分な能力を発揮できると判断されたためで、それらを支える自動で離着岸することが可能なシステムや、防火装置の遠隔化など省人化に対応した機能を盛り込む予定です。
装備や船体規模は海保巡視船と同レベル
これらに加えて哨戒艦にはUAS(無人航空機システム)の「V-BAT」が搭載されます。これは、アメリカの航空宇宙・防衛技術企業であるシールドAI社が開発したもので、同社では「V-BATは海自の水上艦艇に高度な諜報・監視・偵察能力を加え、インド太平洋地域における日本国の防衛体制ならびに作戦遂行能力強化に資する」としています。
V-BATの取得費用は、すでに防衛省の2025年度予算に盛り込まれており、水上艦艇の警戒監視・情報収集能力を向上させる艦載型UAV(無人航空機)として6機、約40億円が計上されています。
哨戒艦の船体規模としては、ヘリ甲板を備えた海上保安庁の巡視船「くにさき」(PL-09)が、1500総トン、全長96.6m、最大幅11.5mと近く、竣工後の大きさのイメージをつかみやすいでしょう。
なお、計画中の哨戒艦と同様の役割を持つ艦艇としては、フランス海軍がフロレアル級フリゲート(基準排水量2600トン)を保有しており、太平洋やインド洋に点在する海外県・海外領土の警備を担っています。
また、イギリス海軍のリバー型哨戒艦バッチ2(満載排水量2000トン)は、艦の前方に30mm機関砲を搭載するとともに、後部にAW101マーリンの着艦が可能なヘリ甲板を備えており、国境警備や海外領土の防衛、漁業資源の保護といった多様な任務に投入されています。
いよいよ建造が本格化した哨戒艦。多様な任務に対応する艦艇として導入が進む、もがみ型護衛艦(FFM)や、その発展型となる新型FFMと共に、次世代の海上防衛を担う存在として今後、目が離せません。
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みんなのコメント
追っかけっこは想定任務ではないということでしょうか?
中国海軍の行動が益々不穏に成って来ている現在、新型「哨戒艦」の活躍を期待します。