もくじ
ー 描く未来 「夢物語ではない」
ー 「大成長という責務」を担うまで
ー ハケットの個性的なキャリア
ー 重大な質問をしてみよう
ー ジム・ハケットとの一問一答
描く未来 「夢物語ではない」
ジム・ハケットはこの5カ月間、フォードの社長兼CEOとして大変革を陣頭指揮している。うまくいっている。
今回は彼のはじめての公式な英国訪問。フォードの欧州スマート・モビリティ・オフィスを新設するのだ。
スマート・モビリティ・オフィスは、多くのスタートアップ、大学のサテライトオフィスが集まるヒヤ・イーストという元オリンピック・ビルの中にある。よく考えられた場所だ。緑の少ない北東ロンドンのストラトフォードにもほど近いところだ。
フォードで最も聡明かつ優秀な技術スタッフたちが、世界中の同じようなオフィスにいるメンバーと協力して、「スマート・シティのためのスマートカー」(ハケットは好んでこう呼ぶ)を開発しようとしている。
電動化と自動化は大原則だ。ハケットの最大の関心事は変革だからだ。「未来は夢物語ではありません」彼は言う。「昔のわたしのフットボール・コーチは言ったもんです。上手くなるか下手になるか、どっちかしかない、とね」
「大成長という責務」を担うまで
わたしはスタッフやカメラマンとともに新しい本社ビルの外に立ち、ハケットがトランジット・レンジ・エクステンダーの実験車に乗って到着するのを待っている。
実験車は、発電機を回すための1ℓガソリン3気筒エンジンを積んだ電動バンだ。これは間違いなく生産モデルになる。
勢いよく現れた彼はちょっと時差ボケの様子われわれ多くの出迎えに一瞬たじろいだようだ。もちろん、彼はお祝いをされるためにきた訳ではない。
「CEOになるのは気が進まなかったんです」と彼は言う。「幸せのためにはCEOになる必要はなかった」
住み込みで働いているような朴訥な男。かつての大学フットボール・スターの面影はない。取締役会長のビル・フォードは、ハケットを「沈思黙考の男」あるいは「ドライビングの変容を経験したリーダー」と呼んでいる。
2006年にCEO職を辞したビルはチーフ・リクルーターに就任し、ボーイングで成功したアラン・ムラリーを引っ張ってきた。
ムラリーといえば「ワン・フォード」戦略を掲げた男。さらには2008年の政府の財政援助をうまく回避したことで、フォードはGMやクライスラーよりずっと早く成長路線に戻ることができ、会社は大きく成長した。
こうしてハケットは、大きな会社をより成長させる責務を負った。
多くの読者は最近辞任したCEO、マーク・フィールズのことを考えるだろう。彼がCEOの間、利益は数年にわたり最高となったが、新技術に対する取り組みは明らかにお粗末だった。
その間にフォードの株価はほぼ40%下がった。年間生産台数がわずか数千台で利益も出ていないテスラの株式時価総額よりも低くなったのだ。新聞の見出しはそう囃し立て、フィールズは辞任した。
ハケットの個性的なキャリア
その後、ハケットが就任してからの5カ月間、株価はやや上昇した。しかし無慈悲なウィール・ストリートの連中が注意深く見ているように、これは株価全体の上昇によるものだ。
米国の株式市場は臆面もなく短期的であり、そのためハケットはフォードの将来技術は金の卵を産むニワトリだとマーケットを納得させなければならない(テスラは例外だと彼らが思うように)。
ところで変革の伝道師であるハケットのキャリアが、長期間同じ会社なのは一見すると奇妙だ。大学を出て数年間プロクター・ギャンブルに勤務した後、35年間、オフィス家具の会社、スチールケースで働いている。
そして銀行と保険会社で管理職。長い間同じ会社、同じ場所で働いていた人間が、われわれに現代の会社の発展について講釈を垂れるのはいかがなものだろう。
なにはともあれ。ファイル・キャビネットのビジネスは大成功した。39歳の若きCEOハケットは、チームを率いてスマート・ワーキングを「発見」し、間髪を入れずオフィス・デザインの改革を始めたのだ。
この成功により、沈思黙考のハケットは変革の伝道師になった。そしてアメリカの主導的なデザイン思想家たちと日々連絡を取り合うようになった。
また、この成功により2015年に新設されたフォードのスマート・モビリティ部門のトップに引き抜かれた。フィールズの辞任後、ハケットがすぐにCEOとなったのはこういう訳だ。
クルマのコネクティビティの話になるとハケットはすぐに能弁になる。「スマートな世界のためにはスマートなクルマが必要です」と彼は言う。
もう少し詳しく聞いてみよう。
重大な質問をしてみよう
「しかし、街並みのほうをスマートにするのは難しい。道路を建設したときには情報ネットワークなんて敷設されていないし、今さら誰も掘り起こしたりしないでしょう。でも、コネクティビティが解決してくれるんです」
進歩は継続的でなくてはいけません。会社の振る舞いをつねに深く考察してきたハケットはこういう。自らの昔の強みにこだわり続けるあまり、結局は失敗してしまう優良企業は多いんです。
「ポニー・エクスプレス(米国大陸の東西を馬で結んだ郵便速達サービスの会社。電信技術の普及により解散した)を例にとりましょう」と彼は言う。
「ポニーをすべて売却すべきだとCEOが提案したとしたら、取締役会は却下したと思いますよ。でも本当は売り払うべきだったんです」
重大な質問をしてみよう。
そうすると、フォードはクルマの製造を止めてしまうことになるのか?(少し心配だ。フォード・マスタングが大好きなので)
「ははは! クロプリー編集長、それは違いますよ」驚いてハケットは言う。「われわれの調査では、エンスージァスト(クルマ熱愛家)はクルマの動力源が変わっても減ったりしません。何も変わりはしませんよ」
だがやはり、とわたしは言いたい。
エンスージァストがこの新しい理論のクルマを好きになるには時間がかかりそうだと。ハケットもすぐに同意するが、ただし、という。
「ただし技術は市場の要求に応じたものでなくてはなりません。そして、まだまだ不十分です。しかし、基本は信頼関係を築くことなのです」
「技術はフォードの将来を約束するものだと明確に示すことです。振り返れば2008年、われわれは信頼を勝ち得たんですよ。たぶん皆さんが予期しなかったやり方で」
ジム・ハケットとの一問一答
自動運転車の到来は?
「革新的なことです。コンピュータと一緒ですよ。もしどこへでも行ける、どんな環境でも自動運転できるクルマをお考えなら、実現は2021年よりずっと先になります。どこの自動車メーカーもそういうと思いますよ」
自動運転車はどのように広まる?
「ステーション・ワゴンに取って代わることはないでしょう。AV(自動運転車)はステーション・ワゴンができないことをやるでしょうからね。自動で走るだけでなく、他の何かを」
技術をユーザーの要求に適応させること
「技術は市場のニーズに応じて変わっていかなくてはなりません。単に可能だからといって、さかさまに飛び上がったりはしたくないでしょう」
技術競争におけるリーダーシップ
「われわれは未来を誰かに託すつもりはありません」
フォードの次の技術ステップ
「この秋にいくつかの技術を発表します。考えることと実行することの健全なバランスがとても重要です」
フォードの新しいロンドン・オフィス
「ロンドンは欧州最大のメガ・シティのひとつであり、新しいアイデアやパートナーに対してオープンである最も進歩的な都市です」
新たに考えることの重要性
「一言でいえば「過去の成功をもたらしたものが将来の成功を保証することはない」ということです」
古い伝統を捨てること
「何十年も続いてきた会社では、企業文化の面でも実務の面でも、変革の決断は容易ではありません」
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