DC2またはDB8こと初代ホンダインテグラタイプRの中古車相場が、ちょっと凄いことになっている。前々から高騰はしていたが、このたびなんと車両価格約900万円(正確には889.9万円)のDC2が市場に登場してしまったのだ。
さすがに初代インテRが約900万円という価格には驚いた。しかし、これ以外の車種を調べていくと、下は200万円台からある。
エンジンを作らないホンダなんていらない!? いったいホンダは何処へいくのか?
上は約900万円、下は200万円台、いったいこの差はなんなんだ? 中古車事情に詳しい伊達軍曹が徹底解説していく。
文/伊達軍曹
写真/Sunkissed Valley、伊達軍曹、ホンダ
[gallink]
■まさか初代インテRがこんなに高騰するとは
まさに博物館級の初代インテR。価格は889.9万円、走行距離1.9万kmのワンオーナー車
この889.9万円という超高額物件は、東京都立川市の中古車販売店『Sunkissed Valley』が販売する1997年式。走行わずか1.6万kmの実質ワンオーナー車で、マフラー以外はフルノーマルだ。
Sunkissed Valleyの落合秀樹代表に確認したところによれば、こちらの物件はオークション経由で仕入れたものではなく、ホンダの某ディーラーで長きにわたってメンテナンスを受けていたワンオーナー車。
それを縁あって落合代表のお店が買い取ることになったというもので、H11年から28年までの2年ごとの整備記録簿と、平成29年、30年の2年連続の記録簿、そして直近の令和3年1月に車検を通した際の記録簿が保管されている。
落合代表いわく、令和3年1月の車検時には消耗品類を徹底的に交換し、そのコストだけでおおむね50万円に達したという。
だがそれにしても「初代インテグラタイプRが約900万円」というのは強烈である。今後、DC2を中心とする初代インテグラ タイプRの相場は1000万円近くまで上昇してしまうのだろうか……と暗澹たる気分になった筆者だったが、市場全体を見てみると、実はそうでもないようだ。
900万円級の価格が付いているのはこの1台だけで、他は高いものでも500万円前後。その下に「300万円台」というカテゴリーがあり、最安値カテゴリーが200万円前後――というのが、現在の初代ホンダインテグラタイプRのおおむねの相場である。
同じクルマでも最安値と最高値では約700万円もの開きがあるわけで、この差はいったい何なのだろうか? そしておおむねいくらぐらいの初代インテRを狙えば、「ちゃんと走り、VTECエンジンは上までちゃんと回る1台」を手に入れることができるのだろうか?
そのあたりについて、いろいろと考えてみよう。
■博物館級のこの個体を見ていこう
まさに博物館級といっていい状態。マフラー以外はオリジナル
走行距離1.6万km、ワンオーナー車だけにインテリアはきれいに保たれている
まずは最高値である「約900万円カテゴリー」について。まぁカテゴリーといってもSunkissed Valleyが販売している1台しかないわけだが、これの価格は「博物館級だから」というひと言で説明できる。
こちらの個体は、現在は社外品に交換されているマフラーを純正に戻しさえすれば、ほぼそのままツインリンクもてぎの「ホンダコレクションホール」に陳列できるような一台であり、機械そのものだけでなく「文化遺産としての価値」も、販売プライスに転嫁されているわけだ。
Sunkissed Valleyの落合代表も889.9万円という車両価格ですぐに売れるとは思っていないとのことで、「長い目で見て、このクルマの価値をおわかりいただける方がもしも現れたら、そのときはお売りしたい」というスタンスであるようだ。
そして実際、問い合わせの数は少ないという。国内からだけでなく海外の業者からの問い合わせも少ないとのことなので、「約900万円の初代インテグラタイプR」というのは「かなりイレギュラーなケース」と見ていいだろう。
資産ウン十億円かウン百億円レベルの超絶お金持ちが、数あるコレクションに加えるための1台――みたいな特殊な存在なのだ。
B18C型1.8L直列4気筒DOHC VTECエンジンは1993年に登場したインテグラSIRに搭載されたリッター当たり100馬力、許容回転数8000rpmを実現した1.8L直列4気筒DOHC VTECエンジンをベースに約60点に及ぶ専用パーツを新たに開発し、通常のエンジンであれば息つきが始まる領域からさらに伸び上がる爽快感と、自然吸気エンジンとして世界最高峰のリッターあたり111馬力の高出力を実現。圧縮比は11.1と高められ、最高出力200psを8000rpm、最大トルク18.5kgmを7500rpmで発生する
■500万円前後の初代インテRは?
500万円前後から500万円台前半の初代インテRの中古車は3台
500万~550万円の初代インテグラタイプRの中古車情報はこちら!
その下に位置する「500万円前後」のカテゴリーは、900万円級の初代インテRとある意味似ているフルノーマルの上質物件だが、「博物館に置く個体としてはやや弱い」といったニュアンスのカテゴリーである。
具体的には、走行距離は900万円級のような1万km台ではなく「5万km前後」が中心となり、その分だけ内装のスレなどは、ほんの若干だが目立つようになる。
とはいえ「準博物館級」ではある場合がほとんどなので、「金に物を言わせてでも最高のDC2/DB8が欲しい!」と考える富裕層なら狙ってOKなカテゴリーだろう。
■300万円級はフツーの人にとっての狙い目?
300万円台の初代インテグラタイプR。そこそこいいのが見つかりそうだが……
300万円台の初代インテグラタイプRの中古車情報はこちら!
そして富裕層ではない筆者のような人間、要するにフツーの人にとっての狙い目となるのが「300万円台の初代インテグラタイプR」というカテゴリーだ。
もちろんこのカテゴリーとて実際は玉石混交ではあるのだが、良心的な専門店がしっかりとしたメンテナンスを行い、経年劣化が生じている内外装やホイールにも仕上げ(リペア)を施したうえで販売している個体が目立つのが、この価格帯なのだ。
中古車の常として当たりハズレはあるため、販売店選びの段階から慎重になる必要はある。だが焦らずじっくり探せば、内外装も機関も普通に悪くないニュアンスのDC2またはDB8を見つけることができるだろう。
そう考えると、つまり「車両価格300万円台で割といいやつが買える」ということを考えると、初代インテグラ タイプRの中古車相場というのは「さほどの高騰はしていない」と言ってもいいのかもしれない。
いやもちろん昔に比べればバカ高い相場であり、正直もうちょっと安ければいいのにとは思う。だが「良質な骨董品の相場は高い」というのはジャンルを問わず世の必然であり、「R34型GT-Rは今や1300万円スタート!」みたいな世界と比べるなら、まだ買える金額であるだけありがたい話かもしれないのだ。
■最安ゾーン、200万円前後からの個体は?
170万円前後から流通している初代インテグラタイプR。この価格帯は走行距離は15万kmオーバーのクルマが多い
200万円前後の初代インテグラタイプRの中古車情報はこちら!
そして問題の最安値ゾーンである「200万円前後」というカテゴリーについて。
……これはもう玉石混交というか、「玉ではなく石が多めの玉石混交」だ。VTECエンジンがちゃんと回る個体もあるだろうし、回らない個体もあるだろう。
内装はヤレとスレが目立つ場合が大半だが、内装のヤレが少ない個体もある。だがその場合は、別の部分(機関や足回りなど)のヤレが進行している可能性は高いだろう。
■結論/おススメは300万~350万円あたりから
350万~400万円の価格帯の初代インテグラタイプR。ワンオーナー車もある
350万~400万円の初代インテグラタイプRの中古車情報はこちら!
結論としては「一般的にはお勧めしかねる」というのが、この200万円前後の初代ホンダインテグラ タイプRだ。
せっかく歴史的な価値を持つ、もう二度と似たような車は新車では買えない一台を買うのだから、あと100万円か150万円ぐらいは予算をプラスして、整備とリペアがある程度済んでいる個体を狙うべきだ。なぜならば、そのほうが結局は幸せになれるからだ。
とはいえこれはあくまで一般論ではある。世の中には「自分でコツコツと中古パーツなどを探し、週末のたびに自分でコツコツ直していく」という行為をこのうえなく好む車好きも少なくはない。
もしもあなたがそのタイプに該当するのであれば、最安値ゾーンの初代インテグラタイプRを狙うのもまぁ悪くはないのだろう。
その場合、「結局は高めの中古車を買うのと同じか、それ以上のお金がかかってしまった」となる場合が多いわけだが、イジるのが好きな人は「とにかく自分で部品を手配し、自分で仕上げる」という部分にこそ幸せを感じるため、そこを指摘するのは野暮というものだ。
クルマというのはオーナー本人が幸せなら、満足できているのなら、それでいいのだから……。
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みんなのコメント
うんざり
良い車だがそんな価値ないだろ?
なんでもかんでもプレミアム価値付きすぎ
投資目的の価格吊り上げ
買う馬鹿な金持ち
本当に車が楽しくなくってきた時代だわ