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【量産するワケじゃない】ソニーがEVプロトタイプを世界初公開 なぜ量産しない?

掲載 更新 2
【量産するワケじゃない】ソニーがEVプロトタイプを世界初公開 なぜ量産しない?

ついにソニーが動いた!?

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】テスラ似? ソニー「ヴィジョンS」とテスラ「モデル3」【比べる】 全57枚

ソニーがついに自動車メーカーになる。

ITと家電の世界的見本市CES 2020(2020年1月7日~10日:米ネバダ州ラスベガス)で、ソニーは「ヴィジョンS」を世界初公開した。

同車はEV(電気自動車)、かつデザインがテスラ・モデル3を意識したように見えるスポーティセダンであるため、発表当初、一部では「ソニーがついに自動車メーカーとしてEV量産」という見方もあった。

だが、ソニー側が重ねて「(クルマとしての)量産計画はない」と説明した。

一部報道では、「ヴィジョンS」の設計と製造は、カナダのマグナインターナショナルが請け負ったとされている。

同社は世界的な自動車部品大手で、オーストリアにある子会社のマグナ・シュタイアは欧州メーカー各社のOEM生産を行っている。BMW Z4とトヨタ・スープラの生産も同社が担う。また、EVについてはフォード・フォーカスEVなどの開発と量産を行っている。

マグナの他、ドイツのボッシュも「ヴィジョンS」の開発に関わったとされる。

こうしたEVに知見のあるメーカーと組んで、ソニーブランドとしてEVに参入する選択肢は十分にあるはず。

だが、現状でソニーとしてのEV量産化はNOである。

理由は、「もっと儲かる商売」があるからだ。

電池事業は儲からない?

EVというと、まず頭に思い浮かぶのが、電池とモーターだ。

EVはガソリン車などの内燃機関を搭載するクルマに比べて、駆動系の大型部品の点数が少ない。

そのため、駆動用モーター、インバーター、そして駆動用の大型電池の開発と供給を抑えることが、EV事業を牛耳る条件だと言われてきた。

電池といえば、ソニーは1975年から開発事業を始め、1991年には世界に先駆けてリチウムイオン二次電池を量産化している。

筆者(桃田健史)は、ソニーの電池開発初期に携わっていた関係者から直接話を聞いたことがある。

「テスラなどに利用されている円柱型の電池18650は、社内の開発呼称であり、まさか一般名詞化されるようになるとは思っていなかった」と当時を振り返った。

18650はパーソナルコンピュータ用としてソニー以外のメーカーでも大量生産され購入コストが安いことから、パナソニック製品がテスラ「ロードスター」「モデルS」「モデルX」にも採用された。

一方、ソニーは2016年7月、リチウムイオン二次電池事業を村田製作所に売却することで合意。将来の事業性が定まらなかったのだ。

これによりEVとのつながりも途絶えたように見えた。

ソニーの関心事、EVより自動運転

電池事業からの撤退と入れ替わるように、ソニーは経営資源を画像処理センサーとなる半導体事業に集中的に投下した。

背景にあるのが、ADAS(高度な運転者支援システム)や、その延長上にある自動運転で必要とされる、画像認識技術だ。

商品としては、ソニーではCMOSイメージセンサーと呼ぶ。

筆者はこれまで、世界各地の各種会議等でソニー関係者から直接、CMOSイメージセンサーについての詳細な説明を受けてきた。

販売先としては、自動車メーカー、またはティア1と呼ばれる自動車部品大手を上げていたが、近年はCMOSイメージセンサーの売り上げは順調に推移し、ソニーは国内最大級の半導体メーカーにまで成長した。

ソニーの事業は現在、大きく6つ。
・ゲーム&ネットワークサービス
・音楽
・映画
・エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション
・金融、
・CMOSイメージセンサーが好調のイメージングセンシングソリューション

2019年通期の予想では、イメージセンシングソリューションの売り上げ高は1兆400億円となり、映画事業を抜く可能性がある。

焦点はデータプラットフォームか?

ADAS機能搭載の義務化や、自動運転レベルの向上など、今後数年間はソニーの半導体技術を使ったセンサーの需要が右肩上がりになる可能性がある。

今後、ソニーとしては、車外カメラと車内カメラを中核として、ソニーが直接関与していないレーダーやライダーなど他のセンサーとの連携を、ソニーが主導して行いたいとしている。

そうなると、焦点となるのが集まったデータを解析/分析し、より価値の高いデータとして多角的に活用することだ。

こうしたデータ活用ビジネスについては、単眼カメラでの画像認識向け半導体ビジネスの大手で、現在は米インテル傘下のイスラエル・モービルアイが提唱している。

こうした車載センサーを基盤とした、データプラットフォーマーになることが、ソニーにとって大きな利益をもたらす可能性がある。

さらにいえば、ゲームやテレビなどソニーの他の事業を、車載エンターテイメントとして活用し、そこから得られる個人データも大きな収益源となるだろう。

今回、ソニーがCES 2020で世界初公開した「ヴィジョンS」は、単なるEVプロトタイプではなく、ソニーの次世代ビジネスを象徴するプラットフォームだといえる。

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みんなのコメント

2件
  • 試作車を作るのと販売するのは別問題
  • これポルシェの古臭さを無くした感じでカッコいいです。
    本当に勿体ないと思うので、ソニーから自動車メーカーに生産委託すればいいのに。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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